没後150年のオラトリオ

今年はベルリオーズの没後150年ということで、プロムスでも通常では取り上げられない大曲が2曲取演奏されます。その一つが、14日のプロム37で紹介された「キリストの幼時」です。

8月14日 ≪Prom 37≫
ベルリオーズ/キリストの幼時
 ハレ管弦楽団
 指揮/マクシム・パスカル Maxime Pascal
 メゾ・ソプラノ/ジュリー・ブリアンヌ Julie Boulianne
 テノール/アラン・クレイトン Allan Clayton
 バリトン/ロデリック・ウイリアムス Roderick Williams
 バス/ニール・デイヴィス Neal Davies
 合唱/Britten Sinfonia Voices, Genesis Sixteen

このコンサート、予定されていたマーク・エルダー Mark Elder が健康上の理由で直前にキャンセル。若いフランスの指揮者パスカルがプロムス・デビューを果たしました。
またメゾ・ソプラノも、当初予定のデイム・セーラ・コナリー Dame Sarah Connolly からブリアンヌに交代しています。

急遽ピンチヒッターを務めたパスカルは、こんなプロフィール。

https://www.harrisonparrott.com/artists/maxime-pascal

2014年にザルツブルクのコンクールで優勝してからメキメキ頭角を現している若手で、アジアでは香港のベルリオーズ音楽祭に呼ばれたようです。日本には未だ上陸していないと思われます。
今回のキリストの幼時、楽曲の素晴らしさはもちろんですが、急な代役としてアンサンブルを纏め、独自のテンポ感で作品の真価を余すところなく聴かせて見せた辺り、相当な実力の持ち主と聴きました。

休憩は第1部と第2部の間。各部の最後にホール最上階(ルーフと呼ばれるスペース)で歌われる天使のコーラスは、女声のみ16人で構成されるジェネシス・シックスティーンと思われます。これが実に素晴らしい。
演奏の素晴らしさはネット中継でも十分に聴き取れ、例えば聴衆の反応からも窺うことができました。いつもは楽曲間、楽章間に拍手が入るプロムスの常連たち、この日途中で拍手が起きたのは第3部、有名なフルートとハープの三重奏の後だけでした。そして無伴奏の合唱だけで全曲が静かに終わった後、何と無音の静寂が長く続いたことか。

これまでこのオラトリオはミュンシュ、クリュイタンス、マルティノン、デーヴィス、デュトワなどの録音で聴いてきました。日本ではローゼンストックがN響で、更に時代を経て若杉弘が日本フィルで取り上げたことがあるようですが、残念ながら私は未だ生演奏に接したことがありません。何処かのオケがパスカルを呼んで実現してくれないものでしょうか。

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