今日の1枚(16)

昨日の散歩で思い立ち、今日はコースを変えてみました。そう、ロウバイの具合を見るためです。
丁度今満開を迎えたばかり、このお宅に近づいただけで仄かな香りが漂います。僅かに落ちた数輪の花を持ち帰って楽しんでいます。
今日の1枚は丑年に因んで、というわけではありませんが、ドヴォルザークの1枚です。

①ドヴォルザーク/交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」
②ドヴォルザーク/序曲「自然のなかで」作品91
③ドヴォルザーク/序曲「オテロ」作品93

カレル・アンチェル指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
CDはスプラフォンの SU 3662-2 011 。アンチェルのゴールド・エディション・シリーズの1枚、第2巻に相当します。

録音データは、
①②が1961年12月、③は1962年2月、いずれもプラハのルドルフィヌム・ドヴォルザーク・ホールでのステレオ収録。
ディレクターは①が Ladislav Sip 、エンジニアは Frantisek Burda 。②と③のディレクターが Milosla Kuba 、エンジニアは Miloslav Kulhan です。スタッフと録音日付が微妙に入り組んでいるのが面白いところでしょうか。

アンチェルはモノラル期からチェコフィルと録音を続けてきた巨匠で、その膨大な録音をシリーズ化したのが本シリーズ。CD42枚に金を装着した24ビットの新しいマスタリングです。
ところでアンチェルは1908年生まれ、去年は生誕100年だったのですが、カラヤンの影に隠れて日本では全く話題になりませんでした。スプラフォンでは去年、当シリーズ42巻の補完として、全集から漏れた録音を4枚組みセットで出して故人に敬意を表しています。

「新世界より」は膨大な録音があるので、好みは人様々でしょう。私はやはりアンチェル/チェコ・フィルを最右翼に置きたいですね。
録音された1961年当時、本家のチェコではターリッヒの旧版しかなく、新録音が待たれていたもの。勿論ターリッヒ盤の素晴らしさは疑うところがないのですが、何と言ってもモノラル。新技術のステレオによる新盤がどうしても必要だったのですね。

これと同時に、1962年から1963年にかけてスプラフォンは、ドヴォルザークの主要作品をステレオによって録音する企画を立て、序曲集の録音を委ねられたのがアンチェル。その成果が②③です。
(この時に交響詩集を分担したのはズデ二ェーク・ハラバラでした)

アンチェルのドヴォルザークは所謂本場物。この録音はホールの響きの素晴らしさを見事に捉えていますし、全体的なバランスが極めて適切。
オケの配置はアメリカ型で、チェロが右端に置かれていることが明瞭に判ります。
①では第1楽章の繰り返しは省略。トライアングルとシンバルが遠く、明瞭度に欠ける嫌いはありますが、実際のホールではこのようなバランスになるでしょう。

これに対し②③では更に細部がクリアーに聴き取れます。
②の178小節から186小節にかけて鳴らされるシンバル(スコアでは)がトライアングルに置き換えられているのは、アンチェルの意図なのか使用している版によるものなのか。
尚、このCDは収録されている音量が小さめなので、視聴する際にはアンプのヴォリュームを上げる必要があります。③はやや大き目の収録なので、小まめに調整する必要あり。

参照楽譜
①オイレンブルク No.433
②アルティア H2131
③アルティア H2175

 

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