新監督と登場したゲヴァントハウス管
23日のプロムスは、ライプチヒからの賓客を招いての一夜。前半にオルガンのコンサート、後半は世界でも最も歴史あるオーケストラが、プロムスではお披露目となる新監督とのコンビで伝統的ブルックナーという、一粒で二度美味しいプロムスでした。
8月23日 ≪Prom 47≫
バッハ/幻想曲ト短調BWV542
カンタータ第147番よりコラールBWV147
バッハ/前奏曲変ホ長調BWV552
バッハ/コラール・プレリュードBWV645
バッハ/フーガ変ホ長調BWV552
~休憩~
ブルックナー/交響曲第8番(1890年稿ノヴァーク版)
オルガン/ミハエル・シェーンハイト Michael Schonheit
ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
指揮/アンドリス・ネルソンス Andris Nelsons
前半にオルガン、後半がオーケストラという公演は、小林研一郎がベートーヴェンの第9を取り上げるときに好んで組むプログラムですが、流石にプロムスでは二つのコンサートに関連を持たせています。
今回ロイヤル・アルバート・ホールの大オルガンを弾くのは、ライプチヒのオルガニスト、ミハエル・シェーンハイト。ライプチヒの大先輩バッハの作品を十分に味わい、オルガンとの繋がりからブルックナーを思い浮かべた所で、後半に流れ込むという構成でしょう。
バッハの5作品は、間に拍手も入らず、続けて演奏されます。最初は前奏曲とフーガ第12番として知られてきたBWV542から、前半の幻想曲と題されたもの。通称「幻想曲とフーガ ト短調」の幻想曲部分で、後半のフーガは演奏されませんでした。
2曲目は「心と口と行いと命もて」で知られるカンタータから、有名なコラールをオルガン・ソロにアレンジしたもの。このコラール、「主よ、人の望みの喜びよ」というタイトルで知られており、全バッハ作品の中でも最も有名なものでしょう。
続く前奏曲は「オルガン・ミサ」という曲集に収められているもので、この日最後に演奏されたフーガと組み合わされて「前奏曲とフーガ変ホ長調」として演奏されることもあります。この日は前奏曲とフーガの間に6つのシュブラー・コラール第1曲が挟まれました。このコラールも「目覚めよ、と呼ぶ声あり」で知られるもので、クラシック・ファンでなくとも聴いたことがあるでしょう。
オルガン・コンサートの締めは、前述BWV552のフーガ部で、俗に「聖アンのフーガ」として知られるもの。4拍子、6拍子、12拍子と次第に信仰を高め、最後に壮大な変ホ長調が鳴り響いて前半を終えました。
後半はブルックナーの第8交響曲で、いわゆる第2稿のハース版。ブルックナーの第8交響曲はハース版、ノヴァーク版と表記されていても、指揮者によって両版の良い所を取捨選択する混合版であることが多いのですが、ネルソンスは律義にもノヴァーク版そのものを演奏していました。
ネルソンスはウィーンでベートーヴェン、ボストンでショスタコーヴィチ、そしてライプチヒではブルックナーと交響曲全集の録音に取り組んでおり、百科事典派の指揮者なのでしょうか。ブルックナーについて言えば、私は第3・4・6・7・9をCDで聴きましたし、5月の来日時には5番を振っていましたね。今回の8番を加え、残す所は1番と2番だけでしょうか。
全曲が終了するや、間髪を入れずに拍手。日本なら文句が出そうな客席でしたが、ブルックナー・シリーズの一環を楽しみました、というレポートです。
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