目から鱗のベンベヌート・チェルリーニ

ダブルヘッダーに続いて月曜日のプロムスは、没後250年を記念してベルリオーズの歌劇「ベンベヌート・チェルリーニ」が取り上げられました。英国でベルリオーズと言えば、ジョン・エリオット・ガードナーとオルケストル・レヴォリューショネール・エ・ロマンティークの古楽器アンサンブル。今旬のベルリオーズを楽しみましょう

9月2日 ≪Prom 59≫
ベルリオーズ/歌劇「ベンベヌート・チェルリーニ」(演奏会形式、フランス語上演)
 Orchestre Revolutionnaire et Romantique
 指揮/ジョン・エリオット・ガードナー John Eliot Gardner
 ベンベヌート・チェルリーニ/マイケル・スパイアーズ Michael Spyres
 テレサ/ソフィア・ブルゴス Sophia Burgos
 バルドゥッチ/マウリツィオ・ムラーロ Maurizio Muraro
 教皇クレメント7世/タレク・ナズミ Tareq Nazmi
 フランチェスコ/ヴィンセント・デルハウム Vincent Delhoume
 フィエラモスカ/リオネル・ロート Lionel Lhote
 アスカニオ/アデル・シャルヴェ Adele Charvet
 ベルナルディーノ/アシュリー・リッチズ Ashley Riches
 ペルセウス/ダンカン・メドウズ Duncan Meadows
 合唱/モンテヴェルディ・コーラス

最初に注意しておきますが、現在のこのオペラの上演はオリジナルの2幕版が当たり前で、以前比較的安価で入手できたカーマス版の3幕改訂版はほとんど役に立ちませんから念のため。ペトルッチの無料サイトでは3幕版しかアップロードされていませんので、スコアを参照する場合は新全集版が必要でしょう。2幕版と3幕版では全く別の作品と言えるほどの違いがあります。

演奏会形式上演とアナウンスされていましたが、ツイッターなどでコンサートの様子を見ると、どうやら衣裳も付けたセミ・ステージに近い上演だったのでは、と想像します。
当初の発表から二つのキャストが変更され、バルドゥッチはマシュー・ローズ Matthew Rose からムラーロに、フランチェスコもクリスチャン・アダム Krystian Adam からロートに替わりました。

休憩は第1幕と第2幕の間。因みに改訂3幕版では第2幕と第3幕の間に該当しますが、これは余り意味が無いかも。
残念ながら私はオリジナル2幕版のスコアを所有していないので、音のみの鑑賞でした。それでも音楽の圧倒的な面白さ、スリリングな展開は目からウロコ。

我が国の歌劇界はイタリア・オペラとドイツ・オペラが主流で、積極的にフランス・オペラを取り上げる団体が無いことは不幸と言わざるを得ません。若手の山田和樹辺りが何とか上演に漕ぎ着けてくれることに期待しましょう。
一つの提案として、冒頭にベンベヌート・チェルリーニの序曲を置き、続けて第1幕後半(改訂版なら第2幕相当)の全曲を紹介、最後に序曲「ローマの謝肉祭」で締めるというのはどうでしょうか。このオペラとローマの謝肉祭は同じ音楽が使われており、ベルリオーズの天才に触れる入り口として最適じゃないでしょうかね。

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