今日の1枚(22)
今日の日の出は6時51分。この時間に合わせて朝の散歩に出ました。夜来の雨も上がり、久々に潤った都会は清々しいものです。
今朝は素心ロウバイが満開のお宅を発見。朝露(雨滴)に朝日が反射して、美しい一時を楽しみました。
さて取り出したのは又してもシャンドスの一品。前回はリヒャルト・シュトラウスでしたが、今日はプロコフィエフです。演奏は同じくネーメ・ヤルヴィ指揮スコティッシュ・ナショナル管弦楽団。シャンドスのディジタル・ステレオ CHAN8442 。
①プロコフィエフ/交響曲第7番嬰ハ短調作品131
②プロコフィエフ/シンフォニエッタ作品5/48
さてプロコフィエフの交響曲は何曲か? 番号なら7番まであるので7曲、と言うわけにはいかないようです。
実は、第4番は2種類あって夫々作品番号も違うし、初期に習作として作曲したものもあります。ホ短調のものは第1番以前に作曲されて初演もなされています。ト長調のものは更に前の習作で未完成。第1楽章は完成し、第2楽章の途中で断念したものらしいですね。
これらとは別にシンフォニエッタという5楽章の作品もあります。今日の1枚に収録されているのがこれ。
指折り数えると、未完を含めて最低11曲はある勘定。プロコフィエフ研究は端緒についたばかりですから、新発見があるかもしれません。
プロコフィエフ交響曲全集は、マルティノン、ウェラー、小澤、ロストロポーヴィチなどがあったと思いますが、7曲シリーズが多いと思います。
ヤルヴィ・パパがシャンドスに録音した全集は、第4番の2種類とシンフォニエッタが含まれているのが特徴。私としては第一にカウントしたい全集です。
録音データは、両曲とも1985年4月と5月、グラスゴウのSNOセンター。スコティッシュ・ナショナル管の本拠地だと思います。
プロデューサーは Brian Couzens 、エンジニアが息子(長男)の Ralph Couzens で、アシスタントとして Philip Couzens の名前も。次男坊でしょうかね。
シャンドスはディジタル録音を真っ先に導入したレーベルで、カズンズ一家の家内工業。マイナー・レーベルに分類されていましたが、現在ではメジャー級のカタログを誇っています。旧メジャーが決して手を出さなかった作曲家・作品を積極的に紹介してきました。
録音はホールトーンをたっぷり取り込んだもので、ホールなら2階正面で聴くバランスでしょう。必ずしも私の好みではありませんが、最初からその覚悟で、また繰り返し視聴するうちに耳が慣れ、違和感が薄れていくのが不思議。まあ、人間の耳というのは案外アバウトなものです。
①は第4楽章の終わり方に2種類の版があって、最初にプロコフィエフが完成させたのは静かに終わる版。
ところが初演のリハーサル中に、もっと華々しく終わる方が共産党幹部に受け入れらるのでは、という意見に基づいて新たなコーダを付け加えたのが初演版。これが出版されて第1版ということになっています。プロコフィエフもこの改訂に喜んで応じた、という資料になっていますけれど・・・。
楽譜を見れば判りますが、最初のアイディアの最後の弱音終止の1小節を演奏せず、テンポをヴィヴァーチェに戻し、22小節(全休符の1小節を加えれば23小節)のコーダを追加したのが第2版。
ヤルヴィ指揮のシャンドス盤では第2版(速いコーダ)が採用されています。
②は、精神的には「古典交響曲」と同じスタンスに立つもの。5楽章構成ですが、奇数楽章が8分の6拍子の速い楽章で、第5楽章が第1楽章の変奏になっているのが特徴。
もう一つ、全部の楽章が静かに終了するというのも目立つ点でしょうか。2管編成(ホルン4、トランペット2)に弦楽合奏、打楽器は使われていません。
オリジナルのスコアを二度に亘って改訂したもので、作品番号が5と48の二通り記されているのはそのため。
同じ「古典交響曲」のスタイルで書かれながら、一方は世界中で愛好されているのに対し、こちらはその存在すら忘れられてしまった。そのことをプロコフィエフ自身が、“この2曲の運命がかくも違ったものになってしまったことが理解できない”と嘆いた、ということがブックレットに書かれています。ノエル・グッドウィン Noel Goodwin の一文。
参照楽譜
①ペータース Nr.5716 (この版には2種類のコーダが印刷されています)
②ブージー&ホークス HPS990
なお、明日は終日外出します。従って「今日の1枚」はお休み。
最近のコメント