今日の1枚(23)

今日は成人の日。私にはまるで関係の無い祝日ですが、親類縁者には該当者もあって、朝は何かと騒がしかったですね。
これに伴って散歩も遅め、今年初めて蘇峰公園に足を踏み入れました。紅梅が咲き出したばかり、まだ香りが漂うところまでは至っていませんが、春はすぐそこに来ていることが実感できます。
一日休んだ今日の1枚、カラヤンとベルリン・フィルの初期CD盤を聴きます。
①レスピーギ/交響詩「ローマの噴水」
②レスピーギ/交響詩「ローマの松」
③レスピーギ/リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲
これは日本盤で、品番は 35PO 3111-28(413 822-2) 。日本ポリドールが発売した1枚3500円という高額商品です。ブックレットの解説は藁科雅美ですから、時代を感じませんか。
データは、
①と②が1977年12月5・6日、1978年1月26日、更に2月13・16日と5日間も要したベルリンのフィルハーモニーでの録音。
③は1969年8月5日と6日、サンモリッツのフラルス教会での収録。
①②のプロデューサーはハンス・ヒルシュとマグダレーネ・パトベルク、③はオットー・ゲルデス。
エンジニアは全てギュンター・ヘルマンスとクレジットされています。他にディレクターの名前もありますが、①と②では別人。カタカナ表記なのは日本盤故のことです。なにやら入り組んだデータですが、これ以上のことは判りません。
このCDが発売された1984年当時(四半世紀前!)、アナログ録音のCD化は珍しかったものです。何の記載もありませんが、基準だった16ビットのディジタル・マスタリングによるもの。オリジナルに収録された情報が十二分に再生されない憾みがあります。
現在の、より上のフォーマットなら、と思われる一品。
③は弦楽合奏でもあり、ベルリンの豪華なアンサンブルが聴かれます。全ての繰り返しを実行した演奏。
ローマの2曲はそもそも録音で聴くこと自体が無理な作品。ここでも限界を露呈しています。演奏云々以前の問題でしょう。
あまりにもダイナミック・レンジの広い作品なので、弱音は聴き取り難く、強音はマイクに収録し切れていません。
①の最初のトライアングルは全く聴こえず、最後の鐘も余程注意しないと認識不可能。
②のジャニコロの松。鳥の囀りを支える弦合奏でコントラバスが最低音を2度下げて(スコドゥラトゥーラ)、低い「シ」を鳴らす所がありますが、これも全く聴き取れません。
しかしこの録音が珍品中の珍品であるのは、①のトレヴィの泉のクライマックス。3拍子で高まった音楽がラルガメンテで頂点に達するところ。
何とカラヤンはこの8小節を二度続けて演奏するのです。つまり繰り返し。もちろん楽譜にそんな指定はありませんし、こんな解釈(というか改竄)も聴いたことがありません。
(まさか編集ミスとは思われません)
故に珍品の極み。カラヤンもこんな荒業を駆使するという実例です。そもそもカラヤンはこの作品をコンサートで取り上げていないと思いますがね。
これを指摘したレコード批評、というものを見たことがないのも不思議と言えば不思議。みんなチャンと聴いているのかしら、ね。
参照楽譜
①リコルディ PR438
②リコルディ PR439
③リコルディ PR476

 

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