ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(８)
閉鎖中のウィーン国立歌劇場が配信しているアーカイヴ・シリーズ、現地４月１日に放送された「影のない女」が当面発表されていたプログラムの最後のオペラ演目となります。このあとバレエ「ペール・ギュント」が放映されて第一弾が終わりますが、スターツオパーの閉鎖は、現時点では１５日の水曜日まで継続されると発表されています。
この間もウィーンではアーカイブ配信が続きますが、日本ではオッタヴァ・テレビが未だ予定を発表していないため、３日以降どうなるかは決まっていません。私のブログ記事も、一応これで区切りとしておきましょう。
ということで、４月２日に見ることが出来る「影のない女」は去年の５月２９日に行われたプレミエ・プロダクションの模様です。実は本公演は日本でもライブストリーミングされた映像で、私はこの時点でオッタヴァから配信されていることを知らず、見逃していたもの。幸か不幸か、このような事態になったために鑑賞することが出来たのはラッキーでした。
加えて、今回の新演出は去年秋に始まった新シーズンでも再演されており、１０月に同じティーレマンの指揮、キャストを一部入れ替えた公演がライブで配信され、そのレポートを当ブログでも紹介しました。その時のキャストや演出、作品に関する感想はここでは繰り返しません。興味ある方は私のアーカイヴを参照してくださいな。
２０１９年５月２９日、プレミエ公演のキャストは以下のもの。この他に舞台裏で歌われる配役も多く、その他大勢については名前を省略しました。
皇帝／ステファン・グールド Stephan Gould
皇后／カミラ・ニールンド Camilla Nylund
乳母／エヴリン・ヘルリツィウス Evelyn Herlitzius
霊界からの使い／セバスチャン・ホレチェク Sebastian Holecek
バラック／ヴォルフガング・コッホ Wolfgang Koch
バラックの妻／ニーナ・シュテンメ Nina Stemme
若い男の声／ベンジャミン・ブリュンス Benjamin Bruns
天上界からの声／モニカ・ボヒネク Monika Bohinec
鷹の声・霊界の護衛者／マリア・ナザロヴァ Maria Nazarova
片目男／サミュエル・ハッセルホーン Samuel Hasselhorn
片腕男／ライアン・スピード・グリーン Ryan Speedo Green
せむし男／トーマス・エベンシュタイン Thomas Ebenstein
指揮／クリスチャン・ティーレマン Christian Thielemann
演出／ヴァンサン・ユゲ Vincent Huguet
舞台／オーレリー・メーストル Aurelie Maestre
衣装／クレマンス・ぺルノー Clemence Pernoud
照明・映像／ベルトラン・クーデルク Bertrand Couderc
脚色／ルイ・ガイスラー Louis Geisler
プレミエ公演と紹介しましたが、２０１９年はリヒャルト・シュトラウスの歌劇「影のない女」がウィーン国立歌劇場で初演されてから丁度１００年目となる記念の年でした。従って去年のプレミエは、ウィーン国立歌劇場の総力を結集した素晴らしい舞台になっています。
開幕前にマイヤー総裁が挨拶されたのも、恐らくそんな内容だっと想像します。(ドイツ語がまるで解らない私にはチンプンカンプンでしたが・・・)
ところで「ナクソス・ミュージック・ライブラリ」(略してＮＭＬ)というクラシック音楽の配信サイトがあるのをご存じでしょうか。有料ではありますが、ナクソスに会員登録すれば膨大な音源にアクセスでき、無限と言ってよいほどのレパートリーを常時楽しむことが出来ます。
ＮＭＬでは原則として日曜日を除く毎日、新着タイトルとして新しい音源が配信リストに加わるのですが、何と昨４月１日に今回の「影のない女」の別の日のテイクが加わりました。恐らくプレミエ初日と思われる５月２５日の公演をオルフェオがＣＤ化したもので、キャストは全く同じです。もちろん偶然でしょうが、２５日公演をＮＭＬで、２９日公演はオッタヴァで聴くことが出来るという奇跡のようなことが起きました。
外出自粛が要請されている今、自室で２種類の音源を聴き比べるという贅沢を味わってみるのは如何でしょう。幸いなことにインターネットが発達した今日、興味ある方は「影のない女」のフル・スコアを、これも無料閲覧サイトのペトルッチ楽譜ライブラリー(略してＩＭＳＬＰ)でダウンロードすることもできます。今回の初演１００周年記念公演はノーカットによる完全演奏ですから、スコアを見ながら映像で、ＣＤで楽しむという夢のような世界が広がっているのです。しかも追加費用は一切無し。
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