ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(22)

昨日の日曜日、4月26日にウィーン国立歌劇場2020-21シーズンの公演ラインナップが発表されました。新シーズンは総裁がボグダン・ロシュチッチ、音楽監督がフィリップ・ジョルダンに交代して最初のシーズンとなります。詳しくは歌劇場のホームページで見て頂くこととして、プレミエがオペラだけでも9本、キャストもこれまでとは変わったメンバーが起用されるようですね。
新シーズンのプログラムが発表されるとほぼ同時に、閉鎖期間中のアーカイヴ配信に付いても5月一杯の予定が公開されました。正確には6月1日までの日程ですが、オッタヴァ・テレビでは未発表。アーカイヴに付いてはダブル演目も多々ありますから、当欄では適宜取り上げていくことといたしましょう。

ということで、27日の月曜日はエンゲルベルト・フンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」が放映されています。2017年1月5日公演の模様で、年末年始恒例の演目、もちろん新総裁・新監督の下でも今年の年末の予定にシッカリと組み込まれていますよ。
このオペラは、今年のお正月にライブ・ストリーミングされた別指揮者・別キャストの公演を紹介しました。19世紀末のロンドンで家族が魔法のランタンを見る場面から始まるノーブル演出の見所などは、そちらを参考にして下さい。今回のキャストは以下の通りです。ヘンゼルだけが同じキャスト。

箒職人ペーター/セバスティアン・ホレチェク Sebastian Holecek
ゲルトルード/ドンナ・エレン Donna Ellen
ヘンゼル/マーガレット・プラマー Margaret Plummer
グレーテル/チェン・レイス Chen Reiss
人食い魔女/ミカエラ・シュースター Michaela Schuster
砂の妖精・露の妖精/マリア・ナザロヴァ Maria Nazarova
指揮/アクセル・コーバー Axel Kober
演出/エードリアン・ノーブル Adrian Noble
舞台及び衣装デザイン/アンソニー・ワード Anthony Ward
照明/ジャン・カルマン Jean Kalman
振付/デ二・セイヤーズ Denni Sayers
映像/アンジェイ・グールディング Andrzej Goulding

改めて見直してみて、何かほのぼのとしたものを感じました。子供が大勢舞台に登場するということで、ウィーンが継続している子供のためのオペラ・シリーズから自然に大人の仲間入りをしていくステップとしても大切なレパートリーだということが、良く判ります。

グリム童話と言っても、フンパーディンクはワーグナーの後継者。ワーグナーの楽劇から演奏会用のエンディング版を編んでもいる作曲家ですから、指揮者には錚々たるワーグナー指揮者が登場します。ウィーンの「ヘンゼルとグレーテル」と言えば、かつてアンドレ・クリュイタンスが指揮したLPがありましたし、ゲオルク・ショルティが指揮して制作した映像版もウィーン国立歌劇場の舞台じゃなかったでしょうか。
最近でもクリスチャン・ティーレマンが振っていますし、今回のアクセル・コーバーもバイロイト音楽祭にも登場する堂々たるワークナー指揮者ですしね。

毎年「ヘンゼルとグレーテル」を親子連れで楽しむ週間が、日本にも生まれると良いな、と思います。

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