ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(23)
先の25日、そして今日28日にウィーン国立歌劇場アーカイヴとしてプッチーニの「蝶々夫人」が配信されています。25日は2018年12月7日の公演、そして今見ることが出来るのはそれより2年前、2016年9月14日の公演だそうです。もちろん同じ演出ですが、スズキ以外のキャストは全て異なっています。
この舞台、戦前からウィーンで俳優、演出家として活躍していたヨゼフ・ギーレンの演出で、ウィーン国立歌劇場は戦後長きに亘って親しまれてきました。ギーレンは妻がユダヤ人であったため戦中はナチスから逃れて南米に移住していましたが、戦後ウィーンに復帰。息子が有名な指揮者ミヒャエル・ギーレンであることでも知られています。
しかし我々が注目したいのは、舞台装置を手掛けたのが藤田嗣治であること。そもそもこの舞台は1951年にスカラ座での上演に際して藤田が制作したもので、1957年からウィーンでも導入され、現在に至るという歴史あるものなのですね。この機会に是非見ておきたいものだと思います。
前回の「ヘンゼルとグレーテル」でも紹介しましたが、ウィーン国立歌劇場が来シーズンのプログラムを発表し、予定されているプレミエの中に「蝶々夫人」もあります。ということは、ギーレン演出・藤田舞台のバタフライは今回の配信が見納めと言うことでもあり、シッカリと目に焼き付ておこうじゃありませんか。
2種類のキャストを併記しておきましょう。
プッチーニ「蝶々夫人」(2018年12月7日公演)
蝶々夫人/アナ・マリア・マルティネス Ana Maria Martinez
スズキ/ボンジヴェ・ナカニ Bongiwe Nakani
ピンカートン/アンドレア・カレ Andrea Care
シャープレス/ガブリエル・ベルムデツ Gabriel Bermudez
ヤマドリ/ペーター・イェロジッツ Peter Jelosits
ゴロー/ミヒャエル・ローレンツ Michael Laurenz
ボンゾ/ライアン・スピード・グリーン Ryan Speedo Green
ケート/シミナ・イヴァン Simina Ivan
勅使/マーカス・ペルツ Marcus Pelz
指揮/イェーダー・ビグナミーニ Jader Bignamini
演出/ヨゼフ・ギーレン Josef Gielen
舞台装置/藤田嗣治 Tsugouharu Foujita
プッチーニ「蝶々夫人」(2016年9月14日公演)
蝶々夫人/クリスティーネ・オポライス Kristine Opolais
スズキ/ボンジヴェ・ナカニ Bongiwe Nakani
ピンカートン/ピエロ・プレッティ Piero Pretti
シャープレス/ボアズ・ダニエル Boaz Daniel
ヤマドリ/ペーター・イェロジッツ Peter Jelosits
ゴロー/ヘルヴィッヒ・ペコラーロ Herwig Pecoraro
ボンゾ/アレクサンドルー・モイシウツ Alexandru Moisiuc
ケート/リディア・ラスコルプ Lydia Rathkolb
勅使/ハンス・ペーター・カンマラー Hans Peter Kammerer
指揮/フィリップ・アウグィン Philippe Auguin
演出/ヨゼフ・ギーレン Josef Gielen
舞台装置/藤田嗣治 Tsugouharu Foujita
どうでしたか?
感想は夫々でしょうが、私は日本が舞台というより、やはりプッチーニのオペラだなぁ、という印象が強く残りました。特に2016年のオポライス蝶々は七転八倒の最後で、例えば日本人演出家が作ってきた舞台とは相当に趣が異なります。う~ん。
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