ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(56)

「アイーダ」「ナブッコ」「仮面舞踏会」に続き、アーカイヴ配信によるウィーン国立歌劇場のヴェルディ週間第4弾は「シモン・ボッカネグラ」です。この演目は去年10月にライブ・ストリーミングの際に紹介しましたから、作品や演出に付いては10月の記事も参照してください。
その演出、昨日配信されて2日間は視聴できる「マクロプーロス事件」と同じペーター・シュタインによるものということに改めて気が付き、なるほど演出は作品によってこうも違うものかと改めて思った次第。ヤナーチェクはリアルな舞台で驚かせてくれましたが、ヴェルディは逆に簡潔で余分なものを排した舞台。作品が複雑であるが故に、音楽そのものに語らせるという意図があるのでしょうか?

去年の公演と共通している主な配役は、アメーリアのマリーナ・レベカだけ。他はガラリと入れ替わり、こんなキャストでした。こちらは2018年5月13日の舞台だそうです。

シモン・ボッカネグラ/トーマス・ハンプソン Thomas Hampson
フィエスコ/ドミトリー・ベロッセルスキー Dmitry Belosselskiy
ガブリエーレ・アドルノ/フランチェスコ・メーリ Francesco Meli
アメーリア/マリーナ・レベカ Marina Rebeka
パオロ/オルハン・イルディス Orhan Yildiz
ピエトロ/ライアン・スピード・グリーン Ryan Speedo Green
射手隊長/カルロス・オスナ Carlos Osuna
侍女/リディア・ラスコルブ Lydia Rathkolb
指揮/エヴェリーノ・ピド Evelino Pido
演出/ペーター・シュタイン Peter Stein
舞台/シュテファン・マイヤー Stefan Mayer
衣装/モアデール・ビッケル Moidele Bickel

やはりハンプソンのシモンが聴きどころ、見所でしょう。最後の死の場面は思わず涙を誘う迫真の演技でした。
そして去年も同役を歌ったレベカのアメーリアが見事。彼女は去年のザルツブルク音楽祭でもこの役を歌っており、私の中ではアメーリアと言えばレベカ、という条件反射が起きています。ザルツブルクは別の演出、ゲルギエフの指揮でオーケストラは同じウィーン・フィル。彼女のホームページで近々ブルーレイ・ディスクが発売と案内されていましたが、もう出たんでしょうか? ストーリーが難解なだけに、DVDを買って繰り返し復習する価値があるかも。

アメーリアにとってシモンは父、フィエスコは祖父に当たるわけですから、一種のファミリー・ストーリー。レベカにとっては、ザルツブルクと併せると6人の父・祖父を相手にしていると思うと不思議な感覚になってきました。歌っていて混乱しないんでしょうかね、と、これは余計なこと。
マリーナ・レベカの公式ホームページを紹介しておきましょう。

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