久石譲、ベートーヴェンを振る!(オンライン)

フェスタサマーミューザも十日目だそうで、残り1週間。この回は、久石譲が新日本フィルを率いてベートーヴェンを振るというキャッチコピーになっていました。
個人的には、ライヴ配信のセット券があればこそ。日頃あまり馴染みでないコンビを聴かせて頂きました。かなり長いプログラムで、休憩が入り、アンコールが無くても2時間を優に超えます。

久石譲/Encounter for String Orchestra
ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲
     ~休憩~
ベートーヴェン/交響曲第7番
 管弦楽/新日本フィルハーモニー交響楽団
 指揮/久石譲
 ヴァイオリン/豊嶋泰嗣
 コンサートマスター/崔文洙

本編に先立って室内楽コンサートがありました。フェストでは開演前にプレトークがある回と室内楽を披露する会があり、新日フィルとN響が後者。その代わり、指揮者・久石譲氏とファゴット首席へのインタヴューが開演前と休憩時間中に放映され、その意味では配信はかなりお得な内容になっています。川崎まで出掛けて聴かれた方は、後日アーカイヴ配信をご覧になると良いでしょう。
開演前の室内楽は、
ショスタコーヴィチ/弦楽四重奏曲第8番
ヴァイオリン/崔文洙、ビルマン聡平
ヴィオラ/篠崎友美
チェロ/植木昭雄

今回最大の話題は、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲でしょう。プログラムにも書かれていましたが、今回のカデンツァは久石譲が構成したものだそうで、ベースになっているのはベートーヴェン自身が同曲をピアノ協奏曲に編曲した際に書き下ろしたカデンツァ。通常は一部カットされるようですが、久石はそれを復活させて更に手を加えたもの。ソロ・ヴァイオリンだけでなく、オケの中のヴァイオリン、チェロ、ティンパニのソロも加わる珍品で、曰く世界唯一の完全版。ま、それは些か大袈裟だと思いますが、世界で初めて聴かれたカデンツァでしょう。

それだけではなく協奏曲本編も少し、いやかなりソロ・パートが違っていました。久石氏の解説では、豊嶋氏がベートーヴェンの手書き総譜を細密に検証した結果、オリジナルのパッセージを採用したのだそうな。あれ、豊嶋さん間違えたんじゃない、と思うのは早とちりで、敢えてこういう演奏を試みたのでした。従ってカデンツァも豊嶋氏が久石氏に依頼して書き上げたもので、フェスタの特別仕様という貴重なライブでもありました。

久石氏、私は氏の指揮は始めて見ましたが、既に新日フィルとベートーヴェン交響曲全集を録音していて、レコード・アカデミー賞特別部門特別賞を受賞している由。私は音楽情報誌を見なくなってうん十年が経過していますから、全然知りませんでした。
またインタヴューでNHKの番組が話題になっていましたが、私はテレビにせよラジオにせよ電波で発信されるものを聴かなくなって久しいので、こちらも初耳。ということでごめんなさい。

久石氏はミニマル・ミュージックの分野、アニメの音楽を書く人という認識しかなかったので驚きです。ベートーヴェンも得意中の得意だったんですね。
新日本フィルの Composer in Residence and Music Partner に就任されたそうで、来シーズンからは日本センチュリー交響楽団首席客演指揮者も兼ねられるそうな。いろいろ勉強させてもらいます。

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