キアロスクーロ・クァルテット@ヴィグモア・ホール

久し振りの記事更新です。

ここ数日、小生のスマホに海外からのニュースというか広告が頻りに入ってきます。見ればロンドンのヴィグモア・ホール Wigmore Hall からのアナウンス。
日本では6月下旬から変則的ながらも観客を入れたコンサートが再開していますが、欧米は悲惨で、ロンドンでもこれまで観客を入れたコンサートは行われていません。ところが漸く各ホールも開催に踏み出すようで、例えば現在進行中のプロムス2020も8月28日からライブ・コンサートを実施する由。その様子はBBCのラジオ3でインターネット中継されることになっています。

で、件のヴィグモア・ホールも秋の新シリーズをスタートさせるということで、9月13日からクリスマスまでのほぼ毎日、合計100回に及ぶ室内楽コンサートの内容が発表されました。
当面は聴衆56人(全席の10%)から始め、様子を見ながら112人までに増やすとか。観客がいてもいなくてもコンサートは実施され、その模様は無料でライブ・ストリーミングされる。出来れば寄付をお願いしたい、というがアナウンスの趣旨であります。

ヴィグモア・ホールと言えば、2011年の夏、プロムスを聴くために家内と二人で個人旅行した際、予定の無い日中にロンドン市中散歩を兼ねてホールを見に出掛けたものでした。地図を片手にウロウロしていると、親切なもので英国紳士が “何処に行かれるのか?” と尋ねてくる。この方もヴィグモア・ホールは知らなかったようで、近くのこれまた紳士に態々聞いて下さる。二人の説明で何のことはない、直ぐ目の前のヴィグモア・ホールを拝むことが出来ましたっけ。
ヴィグモア・ストリートを挟んだ真向かいに「Tsunami」というレストランがあって、時期が時期だけにまずいなと思いましたが、ホールの案内窓口でいろいろ資料を搔き集めて帰ってきました。

そんなヴィグモア・ホール、世界の室内楽ではメッカの一つでもあり、黙って無視することもないでしょ。早速ググってみると、ホームページに詳しい情報が出ていました。
横文字はよく判りませんが、取り敢えず名前とメールアドレスを登録。あとは9月13日に始まるライブ配信が見れるかどうか。100のコンサートの内28回はBBCでも中継されるとのことで、映像が見られなければラジオだけでも楽しみましょう。今後の予定などは登録したメールアドレスに情報が送られてくるはずです。

ヴィグモア・ホールには自前のユーチューブ・チャンネルもあります。ホールのツイッターに掲載された最新記事にはキアロスクーロ四重奏団のコンサート映像がアップされていて、早速視聴。どうやら2019年7月28日に開催されたサンデー・モーニング・コンサートのライブ配信にアーカイブのようで、こんなプログラムです。

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第4番作品18-4
シューベルト/弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」

冒頭にホール・ディレクターのジョン・ギルフーリー氏の挨拶があり、休憩無しの1時間20分ほど。演奏会の開始から最後まで全く編集せずにそのまま収録したもので、画質も音質も優秀。客席の様子もそのままリアルに中継されていて、実際にホールで聴いているようです。
キアロスクーロ・クァルテットは2016年4月に鶴見のサルビア・ホールで初体験しましたが、その時とメンバーは同じ。演奏の感想も寸分違いません(その時のレポートを参照してください)。2016年の来日時には前日に銀座で弾いた「死と乙女」が凄かったという印象を聞いていましたが、なるほどこれが彼等(彼女等と言うべきか)のシューベルトか、と納得しました。ガット弦とバロック・ボウ、歌うというよりディベートしているような彼らの演奏には、それなりの説得力があります。好き嫌いは別として・・・。

久し振りに弦楽四重奏を2曲楽しみ、興が乗っていろいろ探してみると、同じキアロスクーロ・クァルテットが今年1月にヴィグモア・ホールで演奏したベートーヴェンの第2(作品18-2)というのも発見。これも楽しみましたが、2019年の配信とはヴィオラとチェロの位置が入れ替わっており、こちらの方が纏まりが良いようにも感じましたがどうでしょうか。
それにしてもチェロ(クラーレ・ティリオン)のガット弦がゴリゴリと立てるノイズが凄い。

この秋の新シリーズで、弦楽四重奏ではアルディッティ、パーヴェル・ハース、エベーヌ、シューマンなど我々にも馴染みの団体が続々登場します。果たして映像付きで鑑賞できるのか、それとも音だけか。何れにしても秋が待ち遠しくなってきました。

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