ヘレヴェッへのハイドンとシューベルト(オンライン)
予告通り、9月4日のアムステルダム・コンセルトヘボウ演奏会がライブ配信されました。日本時間で5日早朝に見たのは、ヘレヴェッへが振るウィーン古典派からロマン派初期の交響曲が2曲。ハイドンの編成にシューベルトでは第2フルートとクラリネット2本が加わるだけというコンパクトな編成がコンセルトヘボウに鳴り渡ります。
ハイドン/交響曲第96番ニ長調「奇跡」
シューベルト/交響曲第6番ハ長調
指揮/フィリップ・ヘレヴェッへ Philippe Herreweghe
ヘレヴェッへは以前に読響定期でシューマンのシンフォニーなどを聴いた覚えがありますが、大分歳を重ねたな、という印象。対向配置による得意のレパートリーで18%の客席を酔わせました。
コントラバス首席のドミニク・セルディスDominic Seldis が案内する番組スタイルはすっかりお馴染みになりましたが、今シーズンのプレ画像では主要メンバーとのインタヴューと楽器紹介がシリーズになったようで、この日のゲストは25年間在籍、南米出身では唯一の楽員というファゴット首席のグスターヴォ・ニュネス Gustavo Nunez さん。因みに第1回、ロトの指揮の回でゲスト出演した美人ホルン主席はケイティー・ウーリー Katy Wooley というお名前で、回を重ねて行くに従ってコンセルトヘボウの楽員の名前と顔が一致していくのも当シリーズの楽しみと言えるでしょう。
今回は、髭が特徴的なニュネス氏の思い出や楽器に付いての解説に心から感心している、聴き手セルディス氏の驚きの表情が印象的でした。そのニュネスもセルディスも、今回の演奏では乗っていませんよ。念のため。
楽員の名前が出た序に紹介しておくと、コンセルトヘボウの公式ホームページにはメニューから Musicians というタグをクリックすると、メンバー全員の写真とプロフィールを見ることができます。
それによると、現在同オケには日本人も7名ほど在籍されているようですね。最も知られているのはヴィオラ主席の波木井賢氏でしょう。今やコンセルトヘボウの顔、今回のヘレヴェッへ指揮のコンサートでは首席の座で貫録を見せていました。
同じヴィオラで、波木井首席の後ろで弾いているのが、小熊佐絵子さん。彼女はロトのエロイカでトップを演奏していましたから、首席が降り番の時には頭を、つまりは副首席のような立場にあるものと思われます。
もう一人日本人で存在感があるのが、ティンパニの安藤智洋くん。海外オケで活躍する弦楽器奏者は多いのですが、ティンパニ首席は快挙でしょう。今秋のライブ・シリーズ、第1回からこの日の第3回まで、全て妙技を披露しています。特にロトのエロイカやヘレヴェッへの回ではバロック・ティンパニを駆使していましたから、オケの信頼が厚いことを証明しているようですね。
そのロトですが、今回の配信の冒頭でチャットにコメント。これに直ぐにオーケストラ側が反応しているのにはビックリしました。世界は狭くなったなぁ~、時代は変わったなぁ~、プロたちも見てるんだぁ~、ということを実感できます。
勇気を奮って日本からチャットに参加(いつだったか、日本語でコメントしている人もいました。オケからも日本語で返信!)、世界的な大指揮者と会話することも夢じゃないんですから。
ということで、今回も丁度1時間の配信を楽しみました。残念ながら音声と映像が終始ズレていて、最後まで違和感が残りましたけどね。この点でも日本の配信技術が世界標準を追い越した印象。
前回、ネルソンスのラフマニノフでは視聴期間が24時間と紹介しましたが、ユーチューブでは1日限りですが、コンセルトヘボウオルケストのホームページからなら1週間は見ることが出来ます。試してみてください、全て無料ですから見ない手は無い。
映像で見ると客席がかなり埋まっているようにも見えますが、一列置きに座席そのものが撤去され、空いたスペースにテーブルが用意されているのが今回ハッキリと映し出されていました。
中にはワインを飲んでいる人もいましたから、このアイデア、どうでしょうね? 日本ではあり得ない、いや参考にすべきだ、何れにしても文化の違いが実見できて楽しい見ものではあります。
次回はアラン・ギルバートが登場してガーシュインのラプソディー・イン・ブルーなどが予定されています。同時配信派はリマインダー設定を、アーカイブ派はコンセルトヘボウのホームページから視聴してください。
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