グラスゴウからのプロムス・ライブ(オンライン)

4日、シタールの演奏会はパスして、5日に無観客で開かれたプロムス・ライブです。BBCスコティッシュの担当とあって、今回はロンドンのロイヤル・アルバート・ホールではなく、グラスゴウのシティーホールからの中継でした。
ところで今年のプロムスは呪われているのでしょうか、前回、前々回に続いて3度目の出演者交代がありました。BBCフィルのヴェルバーは急病、二重協奏曲のイブラギモヴァは家族の不幸でしたが、この日予定されていた指揮者トーマス・ダウスゴー Thomas Dausgaard は旅行のトラブルでキャンセルせざるを得なかった由。トラブルの原因はコロナ禍によるものか天候不順かは分かりませんが、二度あることは三度あるの譬えが的中、なんとも付いてないプロムスですね。

替わって指揮台に立ったのは、同オケのアソシエイト・コンダクター(準指揮者とでも訳すのか)を務めるアルペッシュ・チョーアンという若手。プログラムは変更なく次のものでした。

9月5日
ジョージ・ウォーカー George Walker/弦楽のための抒情詩 Lyric for Strings
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第2番
ジェイ・カッペロウ Jay Capperauld/Circadian Refrains(BBC委嘱・世界初演)
R.シュトラウス/メタモルフォーゼン
 BBCスコティッシュ交響楽団
 指揮/アルペッシュ・チョーアン Alpesh Chauhan
 ピアノ/スティーヴン・ハフ Stephen Hough

最初に演奏された美しくも悲しい弦楽合奏曲は、黒人作曲家ウォーカー(1922-2018) が書いた弦楽四重奏曲の弦楽合奏版。24才の時に書かれ、祖母に捧げられた作品だそうです。

続いては英国人気のピアニスト、ハフを迎えてのベートーヴェン第2協奏曲。第1楽章のカデンツァはベートーヴェン作のものではなく、耳慣れないものでした。
ハフのアンコールは、珍しいリヒャルト・シュトラウスのピアノ曲で、4つの情緒のある風景から第4曲「トロイメライ」作品9-4。トロイメライってシューマンだけじゃないんだ。素敵な曲を教えてくれたハフに感謝です。

休憩なくコンサートは第3曲目に。BBC委嘱の世界初演で、その名前を初めて聞くジェイ・カッペロウ(1989-)は、グラスゴーを本拠にする作曲家で、サックス奏者でもあります。作品には「夜明けまでの172日間」という副題が付いていて、10分ほど。最後は大地の歌の冒頭のようなホルン・コールがあって、これが夜明けを描写しているのでしょうか。
8月30日から今日まで、1週間ほどの間に3曲もの世界初演に接しましたが、3曲とも「夜明け」をテーマにしているのは奇遇としか言いようがありません。アデスの Dawn 、五十嵐の櫻暁、そしてカッペロウの Circadian Refrains と、どれも繰り返し聴けるという現代ならではの比較もできます。この初演では演奏前に作曲家へのインタヴューがありました。

最後のシュトラウスは特に付け加えることもないでしょう。

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