BBCウェールズのアメリカ特集(オンライン)

今年のライブ・プロムス、9月6日はシンガー=ソング・ライターのコンサート、7日もジャズの回でしたから何れもパス。3日振りにオーケストラの演奏会を聴きました。9月8日の夜に配信されたBBCナショナル・ウェールズ管弦楽団のコンサートです。
このオーケストラは長く尾高忠明が首席指揮者を務めていたことで知られるオケで、尾高は現在でも時々指揮台に立っているようです。

今回のプロムス出演は、例年のようにロイヤル・アルバート・ホール遠征ではなく、彼らの本拠地であるカーディフのBBCホディノット・ホールでのライブ演奏を中継したもの。指揮は、今秋から首席指揮者に就任するライアン・バンクロフト。バンクロフトにとってプロムス初登場ですが、無観客の演奏会でした。前日のジャズからの流れを受け継いだ以下のプログラム。

9月8日
マルティヌー/ジャズ組曲
ジョン・アダムス/室内交響曲
ガヴァン・ヒギンズ Gavin Higgins/Rough Voices(BBC委嘱・世界初演)
バーバー/ノックスヴィル-1915年の夏
コープランド/アパラチアの春
 BBCナショナル・ウェールズ管弦楽団
 指揮/ライアン・バンクロフト Ryan Bancroft
 ソプラノ/ナタリア・ロマニウ Natalya Romaniw

バンクロフトは1989年のアメリカ生まれ、黒人指揮者ということで、アメリカに因んだプログラムが組まれています。このオーケストラの首席指揮者としては最初のアメリカ人なのだそうですね。
最初のマルティヌーはアメリカに亡命したチェコの作曲家。アメリカに敬意を表して書かれたジャズ組曲は、4楽章から成る室内アンサンブルのための一品。この日の選曲は、全て編成の小さな室内オーケストラ用の作品が選ばれました。

ジョン・アダムスの名前の通りの室内交響曲に続いて取り上げられたのは、英国の作曲家ヒギンズが今回の演奏会のために委嘱された室内オケのための新曲。フルート1、オーボエ1、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、トロンボーン2、チューバ1にピアノ、ハープ、打楽器に弦楽アンサンブルという編成。もちろんロックダウンを意識したもので、演奏時間12分ほどでした。

最後の2曲は、古き良きアメリカを象徴するような作品。バーバーの作品は一種の管弦楽伴奏付き歌曲で、第2次大戦が終結して2年後に亡くなった父親に捧げられた極めて美しい佳曲。もっと聴かれてよい音楽でしょう。
コープランドの有名なバレエ音楽は、どうしても大編成で聴く機会が多いものですが、今回は13人で演奏する室内アンサンブルによるオリジナル版の組曲。こうしてしっとりとした雰囲気で聴くと、開拓時代のアメリカを彷彿とさせるようでした。

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