ヴィグモア・ホールの秋シーズンが開幕(オンライン)

首題に入る前に、オンライン配信に関する話題を一つ手短に。
一昨日12日の夜8時から、スカラ座のレクイエムが配信されています。9月初めにミラノ大聖堂で開催されたコロナ犠牲者に捧げる追悼音楽会の模様。ミラノスカラ座のオーケストラと合唱団をリッカルド・シャイイーが指揮し、クラッシーナ・ストヤノヴァ、エリーナ・ガランチャ、フランチェスコ・メーリ、ルネ・パぺという豪華ソリストが集ってヴェルディのレクイエムが演奏されました。

この配信は有料で視聴でき、料金は3千円が基本で、更に寄付金として千円、二千を上乗せした3コースがあります。日本ではイープラスが扱っており、9月20日まで視聴可能。未だチケットは手に入ると思いますので、体験したい方はチャレンジしてみてください。
このレクイエム、歌がどう、オーケストラはこう、という以前にイタリアが負った深手、大統領閣下を筆頭に現地の人々の万感の思いが伝わってきて涙無しに聴けるものではありません。美しい大聖堂内部の映像も、時折霞んで見えるほど。演奏内容についてあれこれ触れるべきではないと判断し、この短いレポートに止めることにしました。

ということで、ロンドンに移動しましょう。
英都では12日にプロムスが幕を下ろしたばかりですが、そのバトンを引き継ぐようにヴィグモア・ホールの秋シーズンが開幕しました。以前速報でお知らせしたように、このシリーズは全てオンラインで配信され、クリスマスまでの毎日視聴できるとのことです。コンサートの数は凡そ100。

私も早速ヴィグモア・ホールの会員に登録し(確かミスター・ミス・ミセスの別、姓名、メールアドレス、パスワードだったと思います。登録するとメールが着信)、本当に聴けるのか不安も交えながら心待ちにしていました。そして今朝、ヴィグモア・ホールのユーチューブ・チャンネルから無事に映像が配信されました。
記念すべき第1回は、9月13日に行われたシューベルティアーデ。以下のプログラムでした。

シューベルト/夕べの光景D650
シューベルト/天の花火D651
ベルク/4つの歌曲作品2
シューベルト/ソネット第1「アポロよ、栄あれ」D628
シューベルト/ソネット第2「ただひとり、憂う」D629
シューベルト/ソネット第3「今ぞ天と地は静まり」D630
ベルク/私の眼を閉じさせて
シューベルト/竪琴弾きの歌D478
シューベルト/竪琴弾きの歌D479
シューベルト/竪琴弾きの歌D480
ベルク/アルテンベルク歌曲集作品4
シューベルト/窓辺にD878
シューベルト/アリンデD904
シューベルト/春にD882
 バリトン/クリスチャン・ゲアハーハーChristian Gerhaher
 ピアノ/ゲロルト・フーバー Gerold Huber

曲目を一覧してお分かりのように、シューベルトのリートの間にベルクの歌曲を挟む斬新なプログラム。ドイツの巨匠 Gerhaher は、日本では「ゲルハーヘル 」と表記することで一致しているようですが、この日の案内役を務めたキャサリン・ボットさんは「ゲアハーハー」と発音しておりましたので、上のように表記しておきました。
ゲアハーハーとフーバーは長年コンビを組んでいるヴェテラン同士で、切っても切れない間柄。二人が一心同体となって繰り広げられるドイツ・リートの世界を満喫しました。少し前には考えられないような素晴らしい時空を超えた時間でしたね。

ここでは歌われた数々については触れません。私は先ずユーチューブで視聴しましたが、画面・音質とも最高クラス。明示されてはいませんが、いわゆる4K映像なんでしょうか。告知されているように、ヴィグモア・ホールのウェブサイトでは30日間視聴できる由。ユーチューブのチャットでは “たったの30日か、永久に残してくれ” という要望もあったほど。このチャットにしてもツイッターにしても、ヴィグモア・ホールの英断に寄せる賞賛と感謝の言葉は途切れることがありません。

ホールの客席は、ソーシャル・ディスタンに配慮して見た目半分ほどに映りました。ほぼ全員がマスク装着で楽しんだようです。それでもブラヴォ~が飛び交い、アンコールはシューベルトの「水に寄せて歌う」D774。
聴かれる方は、最初と最後は音量に注意してください。回を重ねれば、こうしたアクシデントはなくなるでしょう。私も全てのコンサートに参加する自信はありませんが、あっと驚くようなアーティストが続々登場します。詳しくはヴィグモア・ホールの公式ホームページをご覧ください。

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