第387回・鵠沼サロンコンサート

鵠沼サロンコンサートが戻ってきました!!

現在は鵠沼海岸にある瀟洒なレストラン、レスプリ・フランセで継続されている鵠沼サロンコンサートは、今春に蔓延したコロナ・ヴィルスの影響をもろに被り、3月以降は中止せざるを得ない状況が続いていました。
最近のサロンは酷寒の1・2月、酷暑の7・8月を避けて年8回の開催でしたから、昨日9月15日に行われたサロンは、何と2019年12月以来のこととなります。今年最初のサロンでもありました。

このサロンが誕生したのは、1990年9月25日。即ち今年は創設30周年となる記念の年なのです。本来なら大々的に宣伝し、多くの聴衆を集めて盛大に開かれる筈でした。
今年の春シーズンは全休、それでも何とか秋シーズンが再開されたことを祝福しましょう。これまでの30年を第1期とすれば、2020年9月から始まるシーズンからは第2期、とでも呼ぶことにしましょうか。

そして記念すべき第2期のスタートを飾ったのは、ヴァイオリンの加藤知子と、ピアノの加藤洋之によるデュオ・リサイタル。この二人は第1期の常連で、言わば鵠沼サロンコンサートの顔、と紹介しても過言じゃないでしょう。プログラムは、

モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ第25番ト長調K301
R.シュトラウス/ヴァイオリン・ソナタ変ホ長調作品18
 ヴァイオリン/加藤知子
 ピアノ/加藤洋之

そう、感染症対策のため休憩は無く、1時間チョットのミニ・サロンの趣を呈していました。
その感染症対策は何処よりも増して万全と思えるほどで、来場者はマスク着用、会場内での会話は控えめにすることが求められていました。スタッフは全員がフェイス・シールドを着用し、入場時には手指消毒と検温が徹底される。もちろんプログラムは自分で取る。

いつものように冒頭、平井プロデューサーから挨拶と曲目解説があるのですが、来場者からは出来る限り遠く離れた所に立ち、極力大きな声を出すことを避けます。ホールと違ってサロンは演奏者と聴衆の距離が極めて近いため、この点に最大の注意が払われていたのでしょう。もちろん客席もいつも以上に椅子の間隔が広く取られ、恐らくサロンの会員のみの参加だったと思われます。
演奏者も同じで、常にマスク着用。演奏する時だけマスクを外し、弾き終えれば直ぐにマスクを着けるという徹底ぶり。加藤知子氏、楽器を持ちながらマスクの着脱に手古摺っておられましたが、“初めてのことで慣れませんもので” とおっしゃられましたが、見ていて気の毒になる程でしたね。

その加藤知子、サロンに名誉会員の顕彰制度でもあれば、受賞者第1号になる方でしょう。平井氏が挨拶の中で触れておられましたが、記念すべき第1回サロンの演奏者が正に彼女だったのです。
その後も定期的に出演され、過去のアーカイヴを数えてみると、今回が14回目かと思われます。第1回のほか、第51回、第101回、第201回、第300回と、節目となるサロンは殆ど彼女が務めてきました。直前の出演は、2015年9月。これは鵠沼サロンコンサート25周年記念の回(第345回)でもありました。

一方の加藤洋之氏。彼こそ受賞者第2号の資格がある方で、やはり平井氏の紹介ではサロン最多出場者なのだそうな。彼に付いてもアーカイヴを拾うと、何と今回は18回目。日本が誇る殆どの名ソリストたちと共演を重ねてきたことになります。
直前の出演は、ヴァイオリンの加藤氏と同じ第345回。つまりこの日は、25周年記念と同じ出演者で30周年を祝った、ということでもありました。

久し振りの室内楽ナマ体験。30名ほどの聴き手の耳は研ぎ澄まされ、聴衆を前にしての演奏は久し振りと言う演奏者も全身全霊を込めて音楽に打ち込みます。モーツァルトとシュトラウスのソナタ2本立て、曲間には5分間の換気タイムも設けるなど対策も万全で、9か月ぶりとなる眼前演奏を満喫しました。
名曲2曲と言えども、やはりもう少し聴きたいですよね。そんな聴き手の気持ちを察知したのでしょうか(そんなことないか)、アンコールが2曲。マスネのタイス瞑想曲と、クライスラーのシンコペーションが演奏され、加藤知子氏から「サロンがこれからも長続きしますように」という短いスピーチ。例会より1時間弱早くレスプリ・フランセを後にしました。

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