カスタリアン弦楽四重奏団(オンライン)

9月22日、ヴィグモア・ホールでカスタリアン・ストリング・クァルテットのコンサートが行われました。現地時間で夜7時半開演、日本では23日早朝午前3時半からユーチューブでライヴ配信されています。
いくら早起きの私でも午前3時半は無理で、起床してから追っかけ配信で聴き終わったところです。秋のヴィグモア・シリーズ、弦楽四重奏のストリーミングは初めて。

ハイドン/弦楽四重奏曲ハ長調作品76-3「皇帝」
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第15番イ短調作品132
 カスタリアン弦楽四重奏団 Castalian String Quartet

ハイドンとベートーヴェンの四重奏2曲という王道プログラム。私がこのジャンルを聴いている本拠地の鶴見サルビアホールでは未だコロナ以後の演奏会が開催されていないので、オンラインながら久し振りの弦楽四重奏でした。
日本では6月下旬からクラシック音楽のコンサートが再開し、オーケストラの演奏会では舞台上のソーシャル・ディスタンスに配慮して比較的小さい編成の作品だけが演奏されているのが現状。マーラーやリヒャルト・シュトラウスの大編成作品は暫く先のことになりそう。

しかし弦楽四重奏は、ハイドンだろうとショスタコーヴィチだろうと編成は全て同じの4人だけ。舞台上の問題は生じないと思われますが、中々この分野のコンサートが本格的に復帰していません。やはり客席、小さいホールでの換気問題、何より集客の問題があろうかと思慮します。
この日のヴィグモア・ホールも客席を限定しての演奏会でしたが、これまでの配信の中では客席がかなり埋まっていました。予定された席は完売したのかもしれません。彼の地での弦楽四重奏の人気の高さが伺えます。

カスタリアン弦楽四重奏団は、私には初めて。演奏会事情には詳しくないので間違っているかもしれませんが、日本には未だ登場していない団体じゃないでしょうか。
ホームページを検索してみると、結成は2011年。4人が夫々のキャリアを重ねてから出会って結成された団体のようで、同じ学校という共通項もないようですね。2015年のリヨン室内楽コンクールで優勝、2016年にはバンフ国際弦楽四重奏コンクールで3位になっています。クァルテットのスペシャリストである音楽ジャーナリストの渡辺和氏なら良くご存知でしょう。

第1ヴァイオリンのシニ・シモネン Sini Simonen はフィンランド出身の女性奏者、第2ヴァイオリンを弾くダニエル・ロバーツ Daniel Roberts がウェールズ出身。ヴィオラがフランス人女性のシャルロッテ・ボンネトン Charlotte Bonneton で、チェロはクリストファー・グレイヴス Christopher Graves 。全員がロンドン住まいだそうで、既にヴィグモア・ホールではハイドンの作品76全曲演奏会などを開いているそうです。
グループ名のカスタリアンは、デルファイの古代都市にあったカスタリアの泉に由来している由。我が国に上陸するのもそんな先のことではないでしょう。

例によってホール・プレゼンターの解説から始まりますが、最初は片側チャンネルだけだったり音声が途絶えたり。ハイドンが始まっても最初はモノラル音声で、30小節ほど進んでから漸く音声が安定しました。演奏会の開始時間に遅れ、途中から入場したと思えばよろしい。
しかし第1楽章提示部の繰り返しからは音楽に没入。休みなく演奏されたベートーヴェンの最後の和音まで、一気に楽しめました。

特にベートーヴェンの作品132は、第3楽章が病から回復したことへの感謝を表現していることもあって、この時期に聴く音楽としては最も相応しいものでしょう。そもそもベートーヴェンが採用した教会旋法の一つであるリディア調には、感謝と癒しという性格があるのだと思います。
もしこの演奏をライブで聴けたなら、泣いちゃうかもしれませんネ。

明日のヴィグモアも弦楽四重奏。そして25日には、第一生命ホールで生演奏が聴けることが出来そうです。漸くコロナ以前のコンサート・ライフが戻って来そうな予感。

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