カルドゥッチ弦楽四重奏団(オンライン)

昨日は一日中外出、季節の変わり目も手伝って酷く疲れてしまい、音楽は聴けず終いでした。
いつもの平日は夜9時からヴィグモア・ホールからライブ配信されるランチタイム・コンサートを聴くのですが、昨日は7時には寝ていましたよ。ということで今朝聴いたのが、9月28日のマチネ。このプログラムです。

ハイドン/弦楽四重奏曲変ホ長調作品33-2「冗談」
フィリップ・グラス/弦楽四重奏曲第2番「カンパニー」
ショスタコーヴィチ/弦楽四重奏曲第9番変ホ長調作品117
 カルドゥッチ弦楽四重奏団 Carducci String Quartet

1997年に結成されたアングロ=アイリッシュの団体。今年が結成23年目となる中堅からヴェテランの域に入りつつある団体ですが、私は今回初めて聴くことが出来ました。何故か幸松辞典でも取り上げられていないようなので、未だ来日したことは無いのじゃないでしょうか。彼らの公式ホームページを探しても、日本に関する記載は見当たりません。
第1ヴァイオリンはマシュー・デントン Matthew Denton 、第2ヴァイオリンがミシェル・フレミング Michelle Fleming 、ヴィオラはエオイン・シュミット=マルタン Eoin Schmidt-Martin 、チェロがエマ・デントン Emma Denton という4人。創設から同じメンバーかどうかも判りません。団体名のカルドゥッチに付いても調べが付きませんでしたが、19世紀から20世紀初頭にかけて活躍、ノーベル文学賞を受賞したジョズエ・カルドゥッチというイタリアの詩人に因んでの命名でしょうか? 私の勝手な想像ですから信じちゃいけませんよ。

今回メインに取り上げたショスタコーヴィチは、その全曲演奏プロジェクトを敢行していて世界的に評価されているもの。またフィリップ・グラスの弦楽四重奏曲は、その全曲を含む室内楽作品をナクソスに2枚録音していて、得意のレパートリー。録音も多彩で、自社ブランドのカルドゥッチ・クラシック、シグナム(ショスタコーヴィチ)、ナクソスなど。シグナムとナクソスはNMLで聴けます。
毎年世界で90回以上のコンサートを行い、グロスター州ハイナムでカルドゥッチ・フェスティヴァルを開催。現代作品の初演も多く、教育にも熱心と言いますから、なぜ今まで日本であまり知られていなかったのか不思議に思えるほど。ロックダウン期間中はオンライン・コンサートも実行していて、ユーチューブで見ることもできます。

これまでの海外評を読むと、「運動能力の高い前向きな演奏」「クリアな質感」「率直なトーン」「大胆なアーティキュレーション」と言った賞賛が並び、今回のヴィグモア・ホール公演を聴いてなるほど、と納得しました。
冒頭のハイドンは、如何にも英国らしいウィットに富んでおり、終結部の騙し効果にクスクス笑いで反応するSD聴衆も素敵です。グラスの第2弦楽四重奏曲は、クァルテットでも弦楽合奏でも演奏できるように書かれており、「カンパニー」という題が付せられた、4楽章ながら極めて短いエッセイ。静かなグラスとは対照的に、手に汗握るショスタコーヴィチの名演で締め括られました。

コロナが終息したら、是非サルビアホールに登場してもらいたい団体です。

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