サルビアホール 第126回クァルテット・シリーズ

待ちに待ったサルビアホールが復活しました!!! !マークを三つも付けてしまう程の感激ですが、今年2月18日にべネヴィッツQを聴いて以来のクァルテット・シリーズ。実に7か月半ぶりに鶴見に降り立ちました。
前回のシーズン38・第125回は、大阪国際室内楽コンクール・シリーズの真っ最中で、そこからベートーヴェン生誕250年を記念するピアノ・トリオ全曲演奏会や、もちろん弦楽四重奏曲ツィクルスが賑々しく開催される予定でしたが、全て疫病メの為に中止。来る回も来る回も払い戻しが続いていましたから、さぞ主催者は苦労されたことでしょう。ここは先ずそれを労いたいと思います。

ということで漸くコロナは小休止。これから冬に向けて未だ予断は許しませんが、ここはシリーズが再開したことを喜びましょう。
とは言いながら、海外からの団体が次々と登場することでも話題になってきたサルビアホール。10月に再スタートを切った第41シーズンは、日本の団体による演奏会で構成されています。そのトップバッターが、昨夜鶴見を沸かせた澤クァルテット。次のプログラムでした。

モーツァルト/弦楽四重奏曲第19番ハ長調K465「不協和音」
ドビュッシー/弦楽四重奏曲ト短調作品10
     ~休憩~
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第9番ハ長調作品59-3「ラズモフスキー第3」
 澤クァルテット

澤カルは、2012年1月(第7回)、2015年11月(第51回)に続き、5年ぶり3度目の登場。当ブログでは全2回も詳しくレポートしていますので、不動のメンバーのこと、その歴史、演奏の特徴などを併せてお読み頂ければ幸甚です。
プログラムの構成も、コロナ前と後とでは全く変わりがありません。初登場の時はモーツァルト(狩)、シューベルト(ロザムンデ)、ベートーヴェン(ラズモ第2)であり、5年前はモーツァルト(K387)、ベートーヴェン(セリオーソ)、ドビュッシーでしたが、今回もモーツァルトとベートーヴェンを並べ、前回とはダブルものの彼等得意中の得意、ドビュッシーという3曲プロ。今回やや変わったことがあるとすれば、曲間に換気のための時間が設けられていたこと位のものでしょうか。

今年が結成30年、不動の4人が不動の演奏スタイルでじっくりとクァルテットの名曲に取り組む。前回、リーダー澤和樹ファーストが “最近は演奏回数が激減しているので、今や不働の4人” と冗談を飛ばしていましたが、気負いの無い、教科書的な模範演奏でありながら、中身のギュッと詰まったコクのある表現は、それこそ不動というもの。
休憩前に演奏されたドビュッシー、弱音器を付けて演奏する第3楽章の息を呑むような美しさがこの日の白眉、と感じたのも前回と同じでした。そしてメインのラズモ第3。フィナーレのテンポも昨今のスピード競争には見向きもせず、彼らのペースで慌てず騒がず。日曜日にスプリンターズ・ステークスを制したグランアレグリアの如く、先行争いを後方でジックリ待機し、最後の直線で一気に前を捉えて圧勝する。突拍子もない比喩かも知れませんが、正に王道を行くベートーヴェンに納得してしまいました。

アンコールもありました。これまでの2回ではユーモラスな澤スピーチが聞かれましたが、今回は淡々と曲名を紹介するに留めます。彼らがサルビアで初めて披露してくれたモーツァルトの狩(K458変ロ長調)から第3楽章アダージョ。7年前を思い出すじゃありませんか。
客席100のサルビアホールは、市松模様の50%を守っているためか、これまで以上に響いていると感じます。名手が名器を奏でるからでもありましょうが、やはりサルビアホールは室内楽の殿堂であることを実感しました。余計なことでしょうが、私の定席は2列目、前回は故あって最前列で澤カルを聴きましたが、今回は再配席の結果3列目での鑑賞。偶然ながら、私は澤クァルテットを1列目、2列目、3列目で聴いたことになりますね。次は何処で聴くことになるのかな。

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