今日の1枚(49)
今朝は昨日とは一転、風があって寒かったですね。正に三寒四温、今日は引き篭もりです。
さてベイヌムのCDですが、今日からは2006年に発売された廉価盤シリーズです。
時代は遷り、デッカもフィリップスも音楽とは何の関係も無い企業グループの傘下に入ってしまいました。デッカもフィリップスも別々の会社ではありますが、グループ企業の一部門に過ぎません。
従って、両方のレーベルに録音したものが1枚にカップリングされているという珍現象が生じているのです。
今日の1枚などはその典型で、一応デッカのロゴで販売されていますが、混成盤であることは間違いありません。
ユニヴァーサル・クラシックの UCCD-3518(476 9517) 。このシリーズはこれまで紹介したものもダブっており、私も全部買ったわけではありません。歯抜けもあります。2006年のものですから、まだ店頭に並んでいるものもあるかもしれません。
①ベートーヴェン/バレエ音楽「プロメテウスの創造物」作品43
②ベートーヴェン/交響曲第2番
①はデッカの録音で、1952年2月、ロンドンのキングスウェイ・ホールでの収録。オーケストラはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団。
②は確かフィリップス録音だったはずで、1954年8月31日、アムステルダムのコンセルトへボウ、もちろんコンセルトへボウ管弦楽団の演奏です。
①②共プロデューサーの名前は掲載されていません。フィリップスは当然でしょうが,デッカ録音も載っていないのは怠慢でしょうね。この廉価盤シリーズは全て同じ姿勢です。
(デッカ録音は、時期から想像してカルショー、ウィルキンソンのコンビだと思います)
1枚のCDに違うレーベルの録音が収められているので、両社の相違を確認するには便利かも。共にモノラル録音です。
①は全曲演奏ではなく、抜粋。この盤のために抜き出したのではなく、最初からこの選曲で録音されているものです。
内容は序曲に続いて、第1曲、第3曲、第5曲、第9曲、第14曲、第15曲、第16曲(フィナーレ)の計8曲です。
比較的テンポがゆったりな曲が選ばれているのが特徴でしょうか。
ブックレットにはほとんど内容について触れられていません。やや不親切。
序曲はバレエ音楽として演奏される場合、完全終止せず続けて序奏(イントロダクション、第1曲はこの次です)に流れ込むのですが、ベイヌム盤では別途演奏会用に書かれた完全終止版が使われています。
第5曲は、ベートーヴェンには珍しくハープが使われています。チェロの美しいソロも聴きどころ。
第14曲でソロを聴かせるのは、クラリネットではなくバセット・ホルン。この録音でもバセット・ホルンが使われています。(何ゆえに解説に指摘がないのでしょう)
第16曲のフィナーレはエロイカの終楽章と同じテーマが出てくるので有名。ここには繰り返しがたくさんありますが、実行しているのは最初の2箇所だけです。
更にフィナーレではカットが4箇所行われています。小節で言うと、176から179小節、239から242小節、285から292小節、313から314小節。小節数では計18小節です。特に最後の箇所は終止の直前ですから、オヤッと思う所ですね。
②は第1楽章提示部の繰り返しを実行していますし、当然第3楽章の繰り返しも慣習通り実行しています。
ベイヌムのベートーヴェン交響曲は他に映像の第3番があるだけですから、貴重なものでしょう。
第3楽章で、トリオに入る前にチョッとした息継ぎがあるのが目を引きました。
参照楽譜
①カーマス No.431、序曲だけはオイレンブルク No.625
②ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.8
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