読売日響・第511回名曲シリーズ

昨日はコートが鬱陶しくなるほどの陽気の夕刻、本郷経由で溜池山王に出掛けました。
本郷については別途書くことにして、先に溜池山王、サントリーホールの報告です。
今や、下野実験工房の感を呈しつつある読売日響のプログラム。
《下野竜也・ドヴォルザーク交響曲シリーズⅢ》
ドヴォルザーク/「オセロ」序曲 作品93
ドヴォルザーク/チェコ組曲二長調作品39
     ~休憩~
ドヴォルザーク/交響曲第4番二短調作品13
 指揮/下野竜也
 コンサートマスター/藤原浜雄
 フォアシュピーラー/鈴木理恵子
この日は「名曲」シリーズですが、客席はあまり埋まっていません。何処かで魅力的なコンサートがあってバッティングしているのかと思いましたが、それも無い様子。単に曲目が聴き慣れないからでしょうか。
それは勿体無いですぜ、皆さん!
今日の曲目は、私もナマで聴くのは全部初めてだと思います。下野が拘り続けているドヴォルザーク交響曲全曲演奏シリーズの第3弾。
最初は曲順に疑問がありました。まぁ、最も長い交響曲を最後に置くのは自然な発想ですが、作曲年代から見れば逆行ですし、録音などで聴く限りでは、むしろ逆の方がコンサートとして感銘が深いと思ったのです。
しかしこの懸念は杞憂に終わりました。下野が披露した第4の「若さと情熱」は作品の未熟さを補って余りあるもの、ドヴォルザーク若書き作品の価値を再認識させてくれましたね。
とは言っても、冒頭の「オセロ」序曲が作品としては最も優れていることに疑いの余地はありません。この日の演奏でも、作品の劇的な性格が良く表現されていました。
これに更なる深味が加われば、とも感じましたが、今の下野にはそれを求めません。
チェコ組曲。弦の編成を12型に落とします。第4曲「ロマンス」では楽譜通りイングリッシュ・ホルンが演奏。読響にはこの楽器のスペシャリスト・浦丈彦がいますからね。
プログラム誌には、第2曲「ポルカ」が大ヒットしたドラマ「のだめカンタービレ」の初回で登場し、一気に多くの人に知られるようになった曲だ、ということが書いてありました。
そんなこととは露知らず、ドヴォルザークの美しいメロディーを楽しませてもらいました。
コンサートの白眉は、何と言っても第4交響曲。下野は楽譜を隅々まで読み込んでおり、その成果は第4楽章に最も良く現れていました。
兎に角テンポが速い。時にスピード違反ではないかと思うほどに速い。
しかしその速さが、作品のどちらかと言えば冗長な側面を覆い隠し、聴衆をスリリングな展開に巻き込んでしまうのでした。
時に合奏が緻密さを欠く場面もありましたが、それは普段演奏し慣れていない作品故。その種の粗探しは野暮というものです。
思えば、これはドヴォルザーク33歳の時の作品。指揮する下野は40歳位でしょう。年齢的な意味で考えても、これを演奏するには正に旬。これは極めて大切なことだと思います。
演奏が終了、サッと席を立つ人が目立ちましたが、その人たちは折角のご馳走を食べ損なったのかも知れません。
知られざる作品を並べた名曲シリーズ、真打名曲がアンコールされました。同じドヴォルザークのスラヴ舞曲集から第15番(作品72の7)。
第4フィナーレの勢いをそのまま引き継いだ猛スピードのアンコール。
少なくなった客席から大きな拍手が沸き起こって、幕。
このシリーズの次回、どうやら「ヅロニチェの鐘」(第1交響曲)をやるみたい。下野のドヴォルザーク初期交響曲、冗長で退屈という評価を覆す快演を聴き逃すことがないように・・・。

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