フランス最初のクラシック

次に日曜日の結果レポートですが、たくさんあるので二度別けにします。まずロンシャン競馬場で行われたフランス最初のクラシック。
仏版2000ギニーと仏版1000ギニーは同じ日に続けて行われます。ここで歴史には触れませんが、元々は一つだったレースが分割された経緯がありますからね。
プール・デッセ・デ・プーラーン(GⅠ、3歳、1600メートル)は11頭立て。実は最近の仏2000ギニーはややレヴェル落ちという傾向があります。出走馬も揃わないし、勝った馬のその後もパッとしない。
でも今年は例年よりハイ・レヴェルのような気がします。
フランスでの最終的な1番人気は、グラン・クリテリウムの覇者ナーコース Naaqoos で3対1。
ヘッド厩舎の本命馬、ペースが速かったにも係わらず引っ掛かってしまい、勝つチャンスはほとんどありませんでした。それだけではなく、直線で射行、直接的にはペリエ騎乗のハンサム・マエストロ Handsome Maestro の進路を妨害したという判定で、3着でゴール板を通過したものの6着降着という結果が待ち受けていました。
(フランスでは、審議対象になった馬は、直接に被害を蒙った馬の次の着順に降着されます)
この混乱とは無関係、外から圧倒的な脚で駆け抜けたのがシルヴァー・フロスト Silver Frost 、最後はスミオン騎手が抑える余裕もあって2着ル・アーヴル Le Havre に2馬身差を付けていました。
イヴ・ド・ニコライ調教師。
3着は短首でナーコースが入線しましたが、既に書いたように失格。結果4番手で入線したウェストファリア Westphalia が繰り上がって3着。
ムルタ騎乗のウェストファリアも直線の混乱で不利を被った1頭で、良い脚で伸びてきただけに残念な結果でした。
ボルジャー厩舎の期待、ヴォーカライズド Vocalised は不可解な10着惨敗。
勝ったシルヴァー・フロストはトライアルのフォンテンブロー賞に勝っていますし、このときの2・3着(ウェストファリア、オワゾ・ド・フ)は本番でも結果3・4着。
またもう一つのトライアル、ジェベル賞の覇者ル・アーヴルが2着で、このときナーコースを破ったことが決してフロックではなかったことを証明した形になっています。
二つのトライアルがほぼ結果どおり本番にも繋がった。これ即ちレヴェルが高いことを立証しているようにも思われます。
今年のフランス牡馬勢は意外に強いかも・・・。
一方のプーリッシュ(GⅠ、3歳牝、1600メートル)、去年はザルカヴァ圧勝で沸きましたが、今年はそれほどのスターは不在でした。
このクラシック、実は外国勢が制したことはこれまで5回しかなく、今年は6回目になるのでは、と期待されたのがネル・グィンを圧勝したファンタジア Fantasia 。ここでも6対5の被った支持です。
しかし結果はエルーシヴ・ウェイブ Elusive Wave の逃げ切り。2着に追い込んだタマジルテ Tamazirte は半馬身。前走の末脚は不発に終わったファンタジアが更に1馬身半遅れて3着。
イギリスとフランスの1000ギニー、共に大本命馬で臨んだストローブリッジ・オーナーは、結局共に勝てず。あまりにも早い時期から選ぶレースを決めすぎている、という批判も集めそうです。
“・・・・、一兎をも得ず”
しかし勝ったエルーシヴ・ウェイブの価値は決して下がるものじゃありません。2歳時はリチャード・ハノン厩舎所属でしたが、マルセル・ブーサックではプロポーショナル Proportional の2着、トライアルのアンプルーダンスではライヴァルを破っているのですから、ここは実力上位と見るのが当然でしょう。
調教師はジャン=クロード・リュゲ、2着に追い込んだタマジルテも同厩ですから、リュゲのワン・ツー・フィニッシュという快挙でした。
勝馬はルメール騎手、2着はメンディザバル騎手。
2歳牝馬女王のプロポーショナル、トライアルに続いて復権ならず、本番は4着に終わっています。
この日はもう一つ、サン=ジョルジュ賞(GⅢ、3歳上、5ハロン)というスプリントのパターン・レースが行われています。
ここには何と言っても去年のスプリント・チャンピオン、マルシャン・ドール Marchand D’Or が注目されましたが、ドバイに続いて凡走、4着に沈んでしまいます。
勝ったのはハナ争いに勝って逃げ切ったイングザイル Inxile 、と思われましたが、直線の射行でベンバウン Benbaun を妨害したと判定され、3着降着。繰り上がって2着入線のムード・ミュージック Mood Music が漁夫の利を得ています。
結果、ベンバウン2着、イングザイル3着が公式記録。
ムード・ミュージックはグイヨン騎手、ホーファー厩舎。
ベンバウンに騎乗していたムルタくん、2000ギニーでも射行の煽りを食っていますから、何とも後味の悪いロンシャンだったでしょう。
それにしてもムルタ、最近は天国と地獄を行き来している感があります。名騎手の運命かも知れませんが・・・。

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