英シーズン最後のパターン・レース
昨日の土曜日、二つの競馬場でイギリスの2009年平場シーズンを締め括るパターン・レースが行われました。
先ずドンカスター競馬場で行われた最後のGⅠ戦、レーシング・ポスト・トロフィー(GⅠ、2歳、1マイル)。
当初12頭の登録がありましたが、1頭取り消して11頭立て。新たなスターの誕生です。13対8の1番人気に支持された無敗馬の圧勝。早くも来年のクラシックはこの馬で決まり、という評判を勝ち得たのです。
その馬はセント・ニコラス・アベイ St Nicholas Abbey 。既に9月28日の日記でも「来年のダービーはこの馬?」というタイトルで紹介していましたが、夢の実現にまた一歩近付いたようです。
厩舎での評判も物凄く、たった一発の気合だけで繰り出す瞬発力の凄さが話題になっていました。
この日のレース振りも正にそれ。鞍上ジョニー・ムルタは自信満々、最後方から悠然と馬を進め、ゴール前で気合一発。瞬時に2着を3馬身4分の3切って捨てました。その2着はエルーシヴ・ピンパーネル Elusive Pimpernel 、更に2馬身半の差が付いて3着にアル・ジール Al Zir の順。
セント・ニコラス・アベイは、もちろんアイルランドのエイダン・オブライエン師の管理馬。これで3戦無敗となり、早々と来年のクラシック、2000ギニーとダービーの両方に3対1というオッズを出したブックメーカーもあるほどです。
オブライエン師は、“特別な馬、信じられないほど特別な馬” とコメントしていますが、前走ペレスフォード・ステークスの前年の覇者シー・ザ・スターズとの比較は避けられないでしょう。
二年連続で歴史に残る大スター誕生となるか。
イギリスは早くも来シーズンへの期待で沸いているようです。
さてニューバリー競馬場では二つのパターン・レースでシーズンを終えました。
ホリス・ヒル・ステークス(GⅢ、2歳、7ハロン)は1頭取り消しで14頭立ての混戦。この時期はどうしても重馬場になり、ゴール前も3頭が頭を並べる接戦となりました。
これを制したのは14対1の人気薄カーナビー・ストリート Carnaby Street 。写真判定の結果、短頭差2着にプレザント・ディ Pleasant Day が粘り込み、更に頭差3着にオーダシティー・オブ・ホープ Audacity Of Hope が食い込んでいます。
9対2の1番人気を集めたバーネット Burnett は13着と大惨敗。
カーナビー・ストリートはリチャード・ハノン厩舎、ジミー・フォーチュンが騎乗していましたが、実はハノン師は3頭出しで臨んでいたのです。
主戦騎手ヒューズはキャドリー・ロード Cadley Road を選択し、ハノン師自身はレッド・バッジ Red Badge に最も期待していたと言いますから、競馬は判らないものですね。
勝ったカーナビー・ストリートは2週間前にグッドウッドで初勝利を挙げたばかり。これで7戦2勝の戦績となります。
ところでハノンさん、ホリス・ヒル・ステークスは1989年にチロル Tirol 、1999年にアミスタム Umistim で制しており、実に10年ごとに勝っていることになります。もちろん偶然ではありましょうが。
英国平場シーズン最後のパターン・レースは、セント・サイモン・ステークス(GⅢ、3歳上、1マイル4ハロン5ヤード)。13頭の登録がありましたが、2頭が取り消して11頭立てで行われました。
ホリス・ヒルでも紹介したように、この時期特有の重馬場がレースの決め手となったようです。
勝ったのは4対1の1番人気に支持されたハイ・ヒールド High Heeled 。出走馬中唯一の牝馬で、未だ3歳の将来性ある素質です。
2着は6馬身もの大差が付いてタスタヒル Tastahil 、頭差3着に今年のセントレジャーで一時期本命視されていたハービンジャー Harbinger 。
勝ったハイ・ヒールドは今年のオークス3着の実力がありますから、このレースはシーズン最後としてはレヴェルの高い一戦だったと言えましょう。
勝馬と2着馬は共にバリー・ヒルズ師の管理馬、即ちヒルズ厩舎のワン・ツー・フィニッシュです。勝利騎手はマイケル・ヒルズ。
ハイ・ヒールドは極めて重の巧い馬。このあとは競りに掛かるそうですが、厩舎としては来年も現役に留め、今年同様馬場が重くなるシーズン末期の大レースを目標にしたい由。
こういうローテーションも可能なあたりは、流石にヨーロッパの競馬という感じがします。
ということで、イギリスのパターン・レース日記を完走しました。もちろん平場競走は11月初めまで続きますし、アイルランドとフランスでは引き続きパターン・レースも予定されていますが、イギリス編は今回が最終回。
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