2010ジュライ・ミーティング3日目と、

ジュライ・ミーティング最終日、2鞍のパターン・レースが組まれています。

先ずはサパラティヴ・ステークス(GⅡ、2歳、7ハロン)から。7ハロンという距離で行われる2歳のパターン・レースでは、ヨーロッパ最初の一戦ですね。

出走馬は6頭。11対8の1番人気に支持されたのは、6月27日にカラー競馬場に遠征してレイルウェイ・ステークスを制したノセダ厩舎のフォーモシーナ Formosina 。

スタート良く飛び出したのはキング・トーラス King Torus 。直ぐにエクリプティック Ecliptic が交わして先頭に立つと、キング・トーラスは2番手に控えます。

最後の追い比べ。アジテビ騎手の左ムチに驚いたのか、エクリプティックは急速に右に斜行してラチに向かいます。この間に先頭を奪ったキング・トーラスが、立て直して追い上げるエクリプティックを首差抑えて優勝。2馬身4分の1差3着にクランマー Klammer の順。本命フォーモシーナは精彩を欠いて6着ドン尻に敗退してしまいました。

このドラマティックな展開、もしエクリプティックが寄れなければとも考えられますが、それはタラレバの世界でしょう。

7対2の2番人気だったキング・トーラス、良く見ればこの馬もリチャード・ハノン師の管理馬ではありませんか。
ニューマーケットのジュライ・ミーティングでは2歳馬のパターン・レースが3鞍組まれていますが、終わってみればハノン厩舎の総なめという結果になりました。即ち、チェリー・ヒントン・ステークスはメモリー Memory 、ジュライ・ステークスがリブラーノ Libranno 、そしてサパラティヴ・ステークスのキング・トーラスと。

2日目のリブラーノは騎乗停止中のヒューズに替ってムーアが騎乗していましたが、この日は戻ってきたリチャード・ヒューズが騎乗。今日は得意の追い込みではなく、先行逃げ切りの勝利です。

キング・トーラスは、5月レスター競馬場の新馬戦に勝ち、前走ロイヤル・アスコットのチェシャム・ステークス(リステッド)ではザイダン Zaidan の4着していた馬。これで3戦2勝の戦績となります。

最後は、開催のメインとも言うべきジュライ・カップ(GⅠ、3歳上、6ハロン)。これもグローバル・スプリント・チャレンジの一冠です。

スプリンターのジャンルはどれも多頭数、これもGⅠ戦とあって14頭が出てきました。混戦の中から2対1の1番人気に支持されたのは、ロイヤル・アスコットのゴールデン・ジュビリー(GⅠ)でスピードを見せ付けたオーストラリア馬スタースパングルドバナー Starspangledbanner

スタートダッシュが武器のスタースパングルドバナー、肝心のスタートでやや出遅れます。
ダッシュを利かせたのは、毎度のことながらスペイン出身のエキアーノ Equiano 。そう、こちらはロイヤル・アスコット初日のキングズ・スタンド(GⅠ)を逃げ切った快速馬ですね。

馬場の中央から先手を奪ったエキアーノに対し、11番枠から出たスタースパングルドバナーは一気に外ラチに切れ込んでラチ側グループの先頭に立ちます。

2つに分かれた馬群、最後は首の上げ下げの勝負に持ち込まれましたが、外のスタースパングルドバナーが首差で馬場中央のエキアーノを捉えて優勝、見事1番人気に応えました。
3着は4分の3馬身遅れて、これまたオーストラリア出身のアルヴェルタ Alverta が飛び込んでいます。
4着キングスゲート・ネイティヴ Kingsgate Native 、5着フリーティング・スピリット Fleeting Spirit はいずれもスプリント界を代表する古豪。

ロイヤル・アスコットを代表する二つのGⅠスプリン戦の覇者がワン・ツー・フィニッシュを決めた今年のジュライ・カップ、最高の結末だったと申せましょうか。

スタースパングルドバナーはアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎に移籍した馬、鞍上はもちろんジョニー・ムルタです。

GⅠ2連覇を達成した同馬ですが、引退後はオーストラリアで種牡馬となる予定。南半球の種付けシーズンが始まるこの時期、陣営としては現役続行か種牡馬入りかの選択が迫られているとのこと。時間が無いため、今夜は緊急会議が開かれるはずです。

そんな中、ジョニー・ムルタ騎手に6日間の騎乗停止処理が言い渡された、というニュースが飛び込んできました。スタート直後の急激なコース変更に対する不注意騎乗の廉です。
停止期間がキングジョージとグッドウッドの冒頭2日間に及ぶため、ムルタはキングジョージに予定していたケープ・ブランコ Cape Blanco に乗れないことを意味します。
会議の議題が一つ増えたことになりますな。

さてこの日はヨーク競馬場でもひっそりとパターン・レースが行われました。サマー・ステークス(GⅢ、3歳上牝、6ハロン)。
何ともシンプルなレース名ですが、ジュライ・カップと同じ距離の牝馬限定戦。1頭取り消しがあって10頭立てで行われました。

フランスからジャン=クロード・ルジェ厩舎が送り込んできたレッテラトゥーラ Letteratura が9対2の1番人気。パターン・レースは初挑戦ですが、去年の秋から仏ローカル競馬で3連勝中の上がり馬です。

しかし本命馬は5着まで。ダッシュ良く先頭に立った3歳馬ローズ・ブラッサム Rose Blossom の逃げ切り勝ちでした。
首差2着にも3歳のトロピカル・トリート Tropical Treat が入り、3着は2馬身半差でギルト・エッジ・ガール Gilt Edge Girl の順。こちらは4歳馬です。勝馬のオッズは8対1。

勝ったローズ・ブラッサムはリチャード・ファヘイ厩舎所属、勝利騎手は現時点でリーディングを突っ走るポール・ハナガンです。ファヘイ/ハナガン・コンビは、この日の第1レースに続いてダブル達成。

ローズ・ブラッサムは、2歳時には何度かパターン・レースに出走しましたが勝てず、今シーズンはリステッド戦で戦ってきました。これが4勝目で、パターン・レースは初勝利。
次は思い切ってGⅠ(8月20日、ヨークのナンソープ・ステークス)に挑む予定だそうです。

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