フランケルはスーパースター、か

今日は書くことも多いし、いろいろ用事もありますので時間がありません。最初に多少乱雑になることをお断りしておきます。さて、

土曜日、ニューマーケットの競馬の祭典、チャンピオン・フェスティヴァルが行われました。1日7レース、真中に伝統あるハンデ戦のセザレウィッチ・ハンデを挟んでパターン・レース6鞍が組まれています。

この日のトップ・ニュースはデューハースト・ステークスを圧勝したフランケルですが、ここはレース順に展望して行きましょう。
ニューマーケット競馬場の開催は、全てレーシングUKというテレビでスタートから見ることができますから、レース内容についてはそちらを探して各自見てくださいな。ここでは出来る限り簡潔に。

最初から3レースは、2000メートルのチャンピオン・ステークスを含めて直線コースでのレースが続きます。

第1レースはチャレンジ・ステークス(GⅡ、3歳上、7ハロン)。14頭と多頭数、GⅠクラスで好走したメンバーが4頭も揃うレヴェルの高いGⅡ戦が期待されます。即ち、デレゲイター Delegator 、ドリーム・イーター Dream Eater 、メイン・エイム Main Aim 、レッド・ジャズ Red Jazz と・・・。

この中で6対4の断然一番に気に支持されたのは、3歳時に2000ギニーの本命になったこともあるデレゲイターでした。ここは負けられないメンバーです。

しかし優勝は5対1の3歳馬レッド・ジャズ。2馬身4分の1差2着に2008年の2着馬キャット・ジュニアー Cat Junior が入り、ハナ差3着がメイン・エイムの順。
3着馬から半馬身で4着のデレゲイターは、勝負所で前が開かない不利はあったものの、言い訳にはならない失望でしょう。

レッド・ジャズはクィーン・エリザベスⅡ世ステークス(GⅠ)で3着に健闘した馬。それがフロックではなかったことを証明しています。
格も距離も一段落としてのレースでしたが、まだまだ成長の余力を残しており、4歳はGⅠクラスで戦える器に成長してくるでしょう。

バリー・ヒルズ厩舎、ロバート・ウインストン騎乗の同馬は来年も現役を続行、春はドバイに向かう予定の由。

なおこのレースは内外の二つのグループに分かれ、内ラチ(スタンドに近い方)が断然有利であることが判りました。以後のレースはほとんどが内ラチ沿いに争われます。

第2レースは、この日最も注目されるデューハースト・ステークス(GⅠ、2歳、7ハロン)。6頭立てながら、この日だけでなく、ここ何年も待たれた頂上対決が期待された一戦です。
即ち前評判が高く、これまでそれを実証してきた3頭の無敗馬による初対戦。3戦無敗のドリーム・アヘッド Dream Ahead とフランケル Frankel 、2戦無敗のサーミッド Saamidd 。

そして結果は、4対6の絶対的指示を得て1番人気に推されたフランケルの圧勝。

2馬身4分の1差2着には果敢に先行したロデリック・オコンナー Roderic O’Connor が逃げ粘り、2馬身4分の3差でグロール・ナ・マラ Glor Na Mara の順。
2番人気(5対2)ドリーム・アヘッドは、前走ミドル・パーク・ステークスから間隔が短かったためか、あるいは重馬場に脚をとられたか5着と期待を裏切り、3番人気(7対1)サーミッドは競馬にならず6着ドン尻に惨敗。現在のところサーミッド陣営からコメントは出されていません。

フランケルは既に紹介しているようにカーリッド・アブダッラー所有、ヘンリー・セシル師の管理馬。この日も主戦騎手トム・クィーリーが手綱を取っていました。

この圧勝劇でフランケルの2000ギニーへのオッズは何と4対5! ダービーにも2対1の大本命に祭り上げられました。
この冬を順当に越し、来春も無事にクリアーすれば、2011年の英国クラシックはフランケルの年になるでしょう。正にスーパースターの素質充分な2歳馬にスポットライトが当たりました。

続いては開催のハイライト、チャンピオン・ステークス(GⅠ、3歳上、1マイル2ハロン)。オブライエン厩舎の3歳馬が取り消し、10頭立てで行われました。

1番人気は一昨年の仏ダービー馬で、復調の兆しが見えるヴィジョン・デ・タ Vision D’eta の3対1。フランスからの挑戦、ペリエ騎乗で臨みます。
去年の覇者トゥワイス・オーヴァー Twice Over は7対2で、差の無い2番人気でした。

レースは人気2頭の争いになりましたが、トゥワイス・オーヴァーがヴィジョン・デ・タに1馬身4分の3の決定的な差を付けて優勝。3着には4分の3馬身差で逃げたドビュッシー Debussy が残っています。

ドビュッシー騎乗のウイリアム・ビューイックがスローペースに落としたため引っ掛かった馬も多く、クィーン・エリザベスⅡ世ステークスを制して2000メートルに挑んだポエツ・ヴォイス Poet’s Voice も9着惨敗。この一戦で同馬のスタミナ不足を断定するわけにはいかないでしょう。
ヴィジョン・デ・タもペースが早ければ際どい勝負になったはずです。

勝ったトゥワイス・オーヴァーはカーリッド・アブダッラー/ヘンリー・セシル/トム・クィーリーのチーム。デューハースト・ステークスのフランケルに続きGⅠダブル達成です。
歴史の長いチャンピオン・ステークスで2年連続制覇は、私が調べた限りでは11頭目(19世紀には3年連続という事例もあります)。戦後ではダイナマイター Dynamiter 、ブリガディア・ジェラード Brigadier Gerard 、トリプティク Triptych 、アルボラーダ Alborada に続く快挙です。

同馬は来年も現役に留まり、差し当たってはドバイ・ワールド・カップに再挑戦する予定。順調に行けば、チャンピオン・ステークス3連覇という夢が叶うかも知れません。

第4レースはセザレウィッチ・ハンデ(3歳上、2マイル2ハロン)で一息つきましょうか。多頭数が名物の伝統あるハンデ戦。今年は32頭立てで行われました。32頭が横一線でスタートする光景は見モノ。是非英国競馬テレビでご覧あれ。

で、ここは16対1のエイム・トゥー・プロスパー Aaim To Prosper が勝ちました。去年は7着だった馬で、ブライアン・ミーハン厩舎。騎乗したルイ=フィリップ・ブーズリン君はまだ見習いジョッキーで、指定されたハンデより3ポンド減量での騎乗が有利だったかもしれません。

第5レースはパターン・レースに戻り、ロックフェル・ステークス(GⅡ、2歳牝、7ハロン)。去年はミュージック・ショウ Music Show が勝ったレースですが、今年は2頭取り消しの10頭立て。レース前の1000ギニーでのオッズは33対1が最高と言う小粒なメンバーで争われました。9対4の1番人気に支持されたアイ・ラヴ・ミー I Love Me も1勝馬です。

レースはゴール前3頭が並ぶ接戦で、優勝は中を通ったケイプ・ダラー Cape Dollar 、半馬身差2着に外のコチャバンバ Cochabamba 、頭差3着が内のアイ・ラヴ・ミーの順。勝馬のオッズは7対2。

この結果は1000ギニーのオッズにはほとんど影響せず、勝ったケイプ・ダラーに25対1のオッズが出されました。
同馬の調教師はサー・マイケル・スタウト、鞍上はライアン・ムーアの黄金コンビです。

続いて第6レースのプライド・ステークス(GⅡ、3歳上牝、1マイル4ハロン)。ここも1頭が取り消して12頭立て。人気も割れ、4対1で3頭が1番人気に並んでいます。即ち、ルムーシュ Rumoush 、ハイ・ヒールド High Heeled 、それにクリスタル・カペラ Crystal Capella と。

混戦模様でしたが、結果は一方的、人気の一角クリスタル・カペラが2着マイプレイスレイター Myplacelater に4馬身半差を付ける圧勝。更に2馬身半差3着にシーズ・アワ・マーク She’s Our Mark が続き、ハイ・ヒールドとルムーシュは夫々8・9着と敗退しています。

勝ったクリスタル・カペラはサー・マイケル・スタウト厩舎、ライアン・ムーア騎乗で、前レースに続くダブル達成です。
この勝利は正にスタウト師のお家芸とも呼べるもの。クリスタル・カペラはほぼ1年、実に364日振りの実戦を制したのです。

クリスタル・カペラの前走は同じプライド・ステークスでの2着(優勝はアシャランダ Ashalanda)でしたし、彼女は2008年のプライド・ステークス優勝馬でもあります。つまり隔年での2勝目。
彼女はこれで11戦7勝となりますが、2着は3回。唯一の着外は去年のオペラ賞での5着。調教師の忍耐がもたらした成果とも言えましょう。
このあとは香港に向かうとか。

そしてフィナーレ、第7レースはジョッキー・クラブ・カップ(GⅢ、3歳上、2マイル)。断然の本命になるはず、久し振りのパトカイ Patkai (これまたスタウト厩舎)が取り消したため興味は大いに殺がれてしまった感のあるレース、8頭立ての1番人気(7対4)はモトリス Motrice でした。

しかし結果は10対3のタスタヒル Tastahil の逃げ切り勝ち。5馬身差2着に本命モトリスが入り、更に2馬身半差3着がバクステッド Buxted と一方的なレースになってしまいました。

タスタヒルはバリー・ヒルズ厩舎、鞍上ウイリアム・ビューイックは同馬への初騎乗。
同馬はパターン・レース初制覇。今シーズンは7戦目で初勝利となりますが、ドンカスター・カップ2着の実績もあり、ここは勝たれて当然でしょうか。
しかしGⅢとしてもレヴェルの低い一戦、上のクラスでは荷が重いかも知れません。

これでイギリス平場コースでのGⅠ戦はレーシング・ポスト・トロフィーを残すのみとなりました。グランド・フィナーレが近付いています。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください