トレーナーの2年連続制覇が続く米3歳牝馬G戦

今週は6月最終週の競馬。牝馬クラシック戦線を彩るマザー・グースとハリウッド・オークスが行われましたが、どちらも調教師による2連覇という珍しい結果になりました。その辺りを中心にレポートして行きましょう。
尚、昨日はアイオワ州のプレーリー・メドウズでも3鞍のG戦が行われましたが、メジャーな競馬場ではないためか現時点では結果が入ってきていません。これは纏めて明日の報告とさせて頂きます。

ということで、
ベルモント・パーク競馬場のニューヨーク・ステークス New York S (芝GⅡ、3歳上牝、10ハロン)。1940年創設の3歳上牝馬の芝コース10ハロン戦ですが、ある時期までは牡馬も出走できたし、3歳牝馬に限定された年もありました。
今年の勝馬はジャイアンツ・プレイ Giants Play 。6頭立て。スタートから先手を取っての逃げ切り勝ち。フランスから転厩してきたザゴラ Zagora が後方から追い込みましたが、頭差届かず。1番人気のヒバーイェブ Hibaayeb は3着でした。3番人気だったジャイアンツ・プレイはステークス初勝利となります。彼女も英国からの転戦組で、通算成績は11戦2勝。
調教師はクリストフ・クレメント、騎手はラジーヴ・マラー。

マザー・グース・ステークス Mother Goose S (GⅠ、3歳牝、8.5ハロン)。一昨年まではニューヨーク牝馬三冠の一つに数えられていましたが、去年からは三冠から外されています。2009年までの三冠は、エイコーン、マザー・グース、コーチング・クラブ・アメリカン・オークス。去年からはエイコーン、コーチング・クラブ・アメリカン・オークス、アラバマ。1957年創設。マザー・グースは、牡馬を破ってベルモント・フューチュリティーに勝った牝馬の名前に因んだもの。
今年の勝馬はバスターズ・レディー Buster’s Ready 。6頭立て。ハナに立ったアルシーラ Alseera が向正面で制御不能になり逸走するアクシデント、結局は競走を中止してしまいます。替って2番手を進んだバスターズ・レディーが直線で中央から先頭、追い込んだ1番人気のジョイフル・ヴィクトリー Joyful Victory に4馬身4分の1差を付ける圧勝でした。ステークスは初勝利ですが、ブラック・アイド・スーザンは2着していた馬です。これで9戦4勝、次走はコーチング・クラブ・アメリカン・オークスになるでしょう。
調教師はトッド・プレッチャー、マザー・グースは4勝目、去年のデヴィル・マイ・ケア Devil May Care に続き2連覇となります。騎手はジョン・ヴェラスケス。

23日に竜巻に襲われ、いくつかの厩舎で被害も出たチャーチル・ダウンズ競馬場でしたが、週末の競馬は無事に開催されたようです。デビュタント・ステークス Debutante S (GⅢ、2歳牝、6ハロン)。創設は1895年と極めて古い一戦ですが、GⅢに格付けされたのは1996年と最近のこと。シーズンで最も早く行われる2歳馬によるGレースの一つ。「デビュタント・ステークス」という名称はデル・マー競馬場やアイルランドにもあり、区別するために「チャーチル・ダウンズ・デビュタント・ステークス」と呼ばれます。
今年の勝馬はフラッシー・ラッシー Flashy Lassie 7頭立て。直線で後方から追い込み、ファイヴ・スター・モンマ Five Star Momma に1馬身差を付けるという2歳馬らしからぬ競馬でした。出走馬中17対1という最低人気によるサプライズです。5月に同じチャーチル・ダウンズでデビュー勝ちしたばかり、もちろんステークスは初挑戦での初勝利です。
調教師はゲイリー・シムズ、師にとってもチャーチル・ダウンズでのステークス初勝利でした。騎手はケント・デザーモ。

ハリウッド・パーク競馬場はハリウッド・オークス Hollywood Oaks (GⅡ、3歳牝、8.5ハロン)。文字通りハリウッドの春夏開催に行われる3歳牝馬チャンピオン決定戦。1946年創設。
今年の勝馬はザズー Zazu 4頭立て。ケンタッキー・オークス馬プラム・プリティー Plum Pretty (1番人気)の登場で注目されましたが、これを3番手でマークしたザズーが、直線では内ラチ沿いの経済コースを通ってオークス馬を1馬身半差捉えてオークス3着からの逆転勝ちです。斤量差4ポンドも有利でした。これでザズーとプラム・プリティーの対戦成績は4戦してザズーの3勝。唯一の敗戦がオークスだったわけ。
調教師はジョン・サドラー、去年のスイッチ Switch に続きハリウッド・オークス2連覇。2連覇はチャーリー・ウィッティンガム以来二人目となる快挙です。去年もケンタッキー・オークス馬(ブラインド・ラック blind Luck)を逆転しての勝利、何かの縁でしょうか。騎手はジョエル・ロザリオ。

モンマス・パーク競馬場のポイリング・スプリングス・ステークス Boiling Springs S (芝GⅢ、3歳牝、8.5ハロン)。1977年にメドウランズ競馬場で創設されましたが、2004年にモンマス・パーク競馬場に移行されて現在も継続されている一戦。
今年の勝馬はサマー・ソワレー Summer Soiree 。9頭立て。スタート直後は3番手でしたが、向正面で先頭に立つと、直線では他馬をグングン引き離し、2着マイ・サンシャイン・ギャル My Sunshine Gal に8馬身半もの大差を付ける圧勝。ケンタッキー・オークス10着の雪辱を果たし、見事に芝コースのデビュー戦を飾りました。オーナーと調教師のチームは、今年のケンタッキー・ダービー馬アニマル・キングダム Animal Kingdom のチームでもあります。
調教師はグレアム・モーション、騎手はガブリエル・サエス。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください