サラトガ競馬場のGⅠ3連発

アメリカのニュースではハリケーン「アイリーン」の襲来を大きく報じていますが、東海岸にあるサラトガ競馬場はいつも通りに競馬が開催されています。
ニューヨーク州と言ってもサラトガ・スプリングスはニューヨークのかなり北方、未だここまでは影響が及んでいないようです。レースの映像を見ても、ダート・コースにやや湿り気が見られる程度、雨も風もほとんど感じられず、芝コースも問題なさそうですね。
西海岸のデル・マー競馬場の一戦と共にレポートして行きます。

そのサラトガ競馬場、この日はGⅠ3鞍を含む豪華版で、先ずはボールストン・スパ・ハンデキャップ Ballston Spa H (芝GⅡ、3歳上牝、8.5ハロン)。1989年にアケダクト競馬場のアケダクト・バドワイザー・ブリーダーズ・カップ・ハンデとして創設され、1994年にはサラトガ・ブリーダーズ・カップ・ハンデとしてサラトガに移行、1997年からは現在の名前で施行されています。新しいレース名は、サラトガ・スプリングスの南に位置する小さい温泉町に由来。
今年の勝馬はダヴェロン Daveron 。8頭立て。4番手から直線鮮やかな差し切り勝ち。2着は1馬身4分の3差で逃げ粘ったタピツフライ Tapitsfly 。ドイツ産のダヴェロンはこれで3連勝。去年の5月にドイツからアメリカに転戦して以来、9戦5勝となります。
調教師はグレアム・モーション、騎手はエディー・カストロ。

続くヴィクトリー・ライド・ステークス Victory Ride S (GⅢ、3歳牝、6ハロン)。2004年創設の新しいG戦。レース名は、2001年にサラトガのテスト・ステークス(GⅠ)に勝った牝馬の名前から。
今年の勝馬はホット・サマー Hot Summer 。9頭立て。直線入り口では大きく離された後方2番手、思い切りよく内を衝いて伸び、ゴール寸前逃げたメープル・フォレスト Maple Forest を半馬身捉えて差し切り勝ち。3か月の休養明けでしたが、G戦は今年2勝目。
調教師はデヴィッド・フォウクス、騎手はカメリオ・ヴェラスケス。

GⅠ第一弾のバレリーナ・ステークス Ballerina S (GⅠ、3歳上牝、7ハロン)。1979年創設、これもブリーダーズ・カップ指定レースで、勝馬には自動的にブリーダーズ・カップ・フィリー&メア・スプリントへの出走権が与えられます。レース名は1954年に第1回マスケット・ステークスを制した名牝の名から。
今年の勝馬はヒルダズ・パッション Hilda’s Passion 。6頭立て。ダッシュ良く飛び出し、直線では2着以下をグングン引き離して9馬身4分の1差の圧勝。2着ター・ヒール・モム Tar Heel Mom も2番手のまま。今シーズンは7戦4勝でGレースは3勝目。
調教師はトッド・プレッチャー、騎手はハヴィエル・カステラノ。

続いてキングズ・ビショップ・ステークス King’s Bishop S (GⅠ、3歳、7ハロン)。1984年創設。事実上、3歳の短距離王者決定戦と見做されている一戦。このあと行われるトラヴァース・ステークスとの兼ね合いで、短距離得意の馬が出走してくるGⅠ戦。レース名は1973年にアーリントン・クラシックを制した名馬の名前に因んだもの。
今年の勝馬はケーレブズ・ポッセ Caleb’s Posse 。8頭立て。先行馬総崩れ、4番手から抜け出した2歳チャンピオンのアンクル・モー Uncle Mo を後方から進んだケーレブズ・ポッセがゴール寸前ハナ差捉えて優勝。ここ4戦でG戦3勝、GⅠは初優勝となります。ウッド・メモリアル3着以来となるアンクル・モーは、今回は控える競馬で復調をアピールしました。
調教師はドニー・フォン・ヘメル、騎手はラジーヴ・マラー。

愈々トラヴァース・ステークス Travers S (GⅠ、3歳、10ハロン)。1864年創設のアメリカ競馬最古の歴史を誇る一戦。3歳の三冠レースが終わった後に行われる最も権威あるクラシック・レースで、俗に「真夏のダービー」と呼ばれます。レース名のトラヴァースは、古のサラトガ競馬協会の理事長だったウイリアム・トラヴァースを記念したもの。氏の持ち馬が第1回トラヴァース・ステークスを制しています。
今年の勝馬はステイ・サースティー Stay Thirsty 。10頭立て。スタート良く先頭も、一旦はシャックルフォード Shackleford に譲って2番手に控える競馬。3コーナーで再びスパートし、追い込むラットルスネイク・ブリッジ Rattlesnake Bridge に1馬身4分の1差を付けて快勝。父ベルナルディーニ Bernardini が5年前に達成したジム・ダンディー/トラヴァース・ダブルを父子制覇で達成しました。GⅠは初勝利。ベルモント・ステークス馬ルーラー・オン・アイス Ruler On Ice は4着、プリークネス馬シャックルフォード8着、ハスケル・インヴィテーショナルを制したコイル Coil はドン尻10着敗退。
調教師トッド・プレッチャーは、前のレースで惜敗したアンクル・モーの雪辱、バレリーナ・ステークスに続いてこの日二つ目のGⅠ制覇です。騎手はハヴィエル・カステラノ。

一方、デル・マー競馬場のデル・マー・マイル Del Mar Mile (芝GⅡ、3歳上、8ハロン)。1987年創設。当初はダートコースで行われていましたが、2005年から芝コースに移行、現在はブリーダーズ・カップの指定レースとなり、勝馬には自動的にブリーダーズ・カップ・マイルへの出走権が与えられます。
今年の勝馬はカラコルタード Caracortado 。6頭立て。スタートは一番でしたが直ぐに5番手、後ろから二つ目に下げ、直線では大外から追い上げて写真判定の大接戦に持ち込みました。2着ミスター・コモンズ Mr. Commons との着差はハナ差。GⅠ戦で入着続きでしたが、去年2月以来のG戦勝利です。
調教師はマイケル・マチョウスキー、騎手はジョセフ・タラモ。

さて、たった今入ってきたニュースによると、サラトガ競馬場で予定されていた8月28日の競馬は、ハリケーンの接近に鑑みて中止、予定されていたグレード・レースは8月31日に再度登録を行い、レース自体は9月3日に順延されるようです。古馬牝馬のGⅠ戦、パーソナル・エンサイン・ステークスがその対象。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください