8月最後の日曜日
昨日は8月最後の日曜日、ヨーロッパ3国では合計8レースものパターン戦が行われて大忙し。簡単になりますが、英愛仏の順に見ていきましょう。
先ずイギリスは土曜日に続き、グッドウッド競馬場のシュープリーム・ステークス Supreme S (GⅢ、3歳上、7ハロン)。英国で日曜日にパターン戦が行われることは稀ですが、月曜日がバンクホリデーに当たっていることも関係があるのでしょう。
馬場状態は good 、2頭取り消しが出て8頭立てで行われました。人気は割れ、3対1の1番人気はフーレイ Hooray とドンカスター・ロウヴァー Doncaster Rover が並んでいました。
レースは大外枠(10番枠)から出た3番人気(7対2)のリブランノ Libranno が内に切れ込むように先頭に立ち、スローペースに落としての逃げ切り勝ち。内々を3番手で追走したジャクリーン・クエスト Jacqueline Quest が最後まで執拗にリブランノと競り合いましたが、リチャード・ヒューズ騎乗のリブランノは最後まで譲らず短頭差で競り勝ちました。
ハイ・スタンディング High Standing が1馬身差で3着。1番人気の2頭、フーレイは2番手を追走しましたが、ザ・チェカ The Cheka と同着の4着。ドンカスター・ロウヴァーはその後、6着に終わっています。
リブランノはリチャード・ハノン師の管理馬、このあとは渡仏してラ・フォレ賞を狙う予定。
また2着のジャクリーン・クエストと言えば1000ギニーで進路妨害により降着となった馬。今年前半まではヘンリー・セシル厩舎に所属していましたが、この8月からはイアン・ウイリアムズ厩舎に移籍。これがエディー・エイハーン騎乗で転厩2戦目でした。
続いてはアイルランドに飛んでカラー競馬場。good の馬場、パターン・レース4鞍の大盤振る舞いです。
この日のカラーは本命馬が大活躍、第1レースの未勝利戦から第5レースまで連続で1番人馬が勝つという快挙になりました。4鞍のパターン戦も全て本命馬の優勝。
先ずは第2レースのラウンド・タワー・ステークス Rownd Tower S (GⅢ、2歳、6ハロン)。1頭取り消して6頭立て。6対4の1番人気は、前走デビュタント・ステークス(GⅡ)3着のライトニング・パール Lightning Pearl でした。
牡馬3頭、牝馬3頭の争いになりましたが、結果は牝馬のライトニング・パールが2着以下に5馬身差の大楽勝。2着は牡馬のエクスピアリンス Experience 、4分の3馬身3着は牝馬のアン・ガランタ An Ghalanta です。
ライトニング・パールはゲール・ライオンス厩舎、ジョニー・ムルタ騎乗。ライオンス師によると、今年の2歳は牡馬より牝馬の方が強いとのこと。このあとはチーヴリー・パーク・ステークスに向かう予定。
第3レースのダンス・デザイン・ステークス Dance Design S (GⅢ、3歳上牝、1マイル1ハロン)は、1頭取り消して15頭立て。15対8の1番人気に支持されたバイブル・ベルト Bible Belt が期待に応えています。
2着は1馬身4分の1差でワイルド・ウインド Wild Wind 、更に4分の3馬身差の3着がルック・アット・ミー Look At Me 。
ジェシカ・ハリントン夫人が管理、フラン・ベリー騎乗のバイブル・ベルトは、前走ゴウラン・パーク競馬場のリステッド戦を含め、今シーズン3戦3勝の3歳馬です。
第4レースはフライング・ファイヴ・ステークス Flying Five S (GⅢ、3歳上、5ハロン)。ここも取り消しが1頭で、8頭立て。
15対8の1番人気アムール・プロパー Amour Propre が、2着ソール・パワー Sole Power に1馬身4分の3差を付けて優勝、3着は首差でロワシード Roicead 。
ヘンリー・キャンディー厩舎、デーン・オネイル騎乗の5歳せん馬で、前走グッドウッドのキング・ジョージ・ステークス(GⅡ)で2着していた馬。パターン・レース優勝は、3歳時のパレス・ハウス・ステークス(GⅢ)以来2年振りのことです。
第5レースはGⅠ戦のモイグレア・スタッド・ステークス Moyglare Stud S (GⅠ、2歳牝、7ハロン)。
3頭取り消して8頭立て。4戦無敗のメイビー Maybe と、シルヴァー・フラッシュ・ステークス(GⅢ)ではメイビーに負けたものの、その後フェニックス・ステークス(GⅠ)に勝ったラ・コリーナ La Collina の一騎打ちと思われていました。
人気はメイビーが8対13の1番人気、ラ・コリーナは3対1で2番人気。
レースは、ペースメーカーのスーン Soon を直後でマークしたメイビーの貫録勝ち。5レース連続で本命馬優勝となりました。1馬身4分の3差2着にファイア・リリー Fire Lily が入り、ラ・コリーナは3馬身離された3着に完敗。
エイダン・オブライエン厩舎、ジョセフ・オブライエン騎乗、ガリレオ Galileo 産駒のメイビーは、これで5戦全勝、ロイヤル・アスコットのチェシャム・ステークス(リステッド)、シルヴァー・フラッシュ・ステークス(GⅢ)、デビュタント・ステークス(GⅡ)と格を徐々に上げて遂にGⅠに辿り着きました。
この後は渡仏してマルセル・ブーサック賞でGⅠ連勝を狙う予定。去年のミスティー・フォー・ミー Misty For Me と同じ道を歩みます。
現時点でエイダン・オブライエン厩舎を代表する2歳、1000ギニーには3対1、オークスには5対1のオッズが出されましたが、オブライエン師は先ず今シーズンを無事に終えることに集中しています。
最後はフランスのドーヴィル競馬場から。ドーヴィルもこれが最終週、来週からはロンシャン移って凱旋門賞に向けたトライアル週がスタートします。
早いもので8月ももう終戦、今年の夏は特に速かったように感じます。最終日の馬場状態は very soft 、あまり夏らしくない避暑地の競馬が続きました。
この日のパターン・レースは3鞍、先ずはカンセー賞 Prix Quincey (GⅢ、3歳上、1600メートル)。9頭立て、13対10の1番人気には3歳のサンディーズ・チャーム Sandy’s Charm が推されていました。
しかし優勝は14対1のジナバー Zinabaa 。本命サンディーズ・チャームは短首差2着惜敗です。更に1馬身半差3着はアフリカン・ストーリー African Story 。
勝ったジナバーは、ミシェル・メイス厩舎、ヤニック・ルトンドゥール騎乗の6歳馬。調教師も騎手も耳慣れない名前ですが、詳しい経歴等は調べが付きませんでした。
続いてはドーヴィル大賞典 Grad Prix de Deauville (GⅡ、3歳上、2500メートル)。6頭立て。
こちらは2対5の断然1番人気に支持されたシリュス・デ・ゼーグル Cirrus Des Aigles が2着シルヴァー・ポンド Silver Pond を10馬身ぶっちぎる圧勝で格の違いを見せ付けました。短頭差3着はマリヌース Marinous 。
コリーヌ・バランド=バルブ夫人の管理、フランク・ブロンデル騎乗のシリュス・デ・ゼーグルは、ヴィシー大賞典(GⅢ)、ゴントー・ビロン賞(GⅢ)に続きパターン・レース3連勝。
この秋は、去年も勝ったドラー賞(GⅡ)の連覇を目標にしているようです。
最後はモトリー賞 Prix de Meautry (GⅢ、3歳上、1200メートル)。1頭取り消して15頭立て。
ここも27対10の1番人気に支持されたマルシャン・ドール Marchand D’or が、逃げた2着デフィナイトリー Definightly を半馬身捉えて復活を果たしました。首差3着にル・ヴァランタン Le Valentin 。
かつてフレディー・ヘッド厩舎でGⅠを5勝したマルシャン・ドール、ミケール・デルザングレ厩舎に移籍してからは久々の勝利です。ヘッド時代と同じデイヴィー・ボニラ騎乗。
マルシャン・ドールの勝利は2010年5月のサン=ジョルジュ賞(GⅢ)以来、その前は2008年のアベイ・ド・ロンシャン賞(GⅠ)にまで遡ります。前走ポルト・マイヨー賞(GⅢ)で4着し、復調の兆しは見えていました。
ところで愈々凱旋門賞への秒読みが始まりましたが、本命視されていたダービー馬プール・モア Pour Moi が故障を発生し、早々と引退を決めてしまいました。ファーブル師も、これほど瞬発力のある馬を管理したことは無い、として残念そう。
プール・モアの戦線離脱で、今年の凱旋門賞は俄然混戦の様相を呈してきました。日本馬にとっても可能性が高くなったと言えるかもしれません。
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