変貌するイギリスの秋競馬

これまで詳しくは触れてきませんでしたが、今年から英国の秋競馬が大きく変わります。私も未だ詳細を知り得ていませんが、近年の大レース集中化に対処すべく2011年度からアスコット競馬場に「チャンピオンズ・ミーティング」を創設し、秋のGⅠ戦を纏めて開催しようというもの。
具体的にアスコットのチャンピオンズ・ミーティングは10月14(金)・15日(土)の二日間で、2日目の15日が「チャンピオンズ・デイ」となります。

これに伴って、去年まで秋の主要開催であったアスコット競馬場のセプテンバー・ミーティング、ニューマーケット競馬場のオクトーバー・ミーティングとチャンピオン・ミーティングがドラスティックに入れ替えられることになりました。
差し当たっては例年開催されてきたアスコットのセプテンバー・ミーティングが無くなり、ここで今頃行われていたクィーン・エリザベスⅡ世ステークスとフィリーズ・マイルの二つのGⅠ戦などが夫々時期・コースが異動になっています。詳しいことは夫々のレースで取り上げる予定。

ということで、昨日からニューマーケット競馬場で3日間の新開催がスタートしています。これまでのオクトーバー・ミーティングに相当するものですが、時期が凡そ1週間早まったと見ればよいでしょう。去年までオクトーバー・ミーティングで行われてきたG戦のほとんどが新開催にも組まれていますが、ミドル・パーク・ステークス(GⅠ)だけは10月第1週のニューマーケット開催(従来のチャンピオン・ミーティング)に移行します。
さて新開催の初日(9月22日、金曜日)のG戦は一鞍、サマーヴィル・トトソル・ステークス Somerville Tattersall S (GⅢ、2歳、7ハロン)。去年までニューマーケット・オクトーバー・ミーティングの初日に行われていたレース、単純に1週間早まったことになります。ロウリー・マイルの直線コースで行われる一戦。

今年の馬場状態は good to firm 、9頭が出走してきました。
11対8の1番人気に支持されたファラージ Farraaj は、ここまで3戦2勝。パターンレースは初出走ですが、前走サンダウンの一般戦の勝利内容が良く、そのとき2着のテル・ダッド Tell Dad が次走でトトソルズ・ミリオンズ(リステッド)を制していることも人気の要因の一つでした。

レースはスタートから1ハロンでストーミング・バーナード Storming Bernard が思い切ってハナを奪って逃げましたが、好スタートから一旦2番手に下げ、スタンド側のラチ沿いに追走した15対2のクライアス Crius が鋭く伸び、2着以下に2馬身半差を付けて快勝しています。
本命ファラージは馬場の中央に持ち出して追い上げましたが、勝馬との差を詰められず2着。短頭差で勝馬同様ラチ沿いを追い込んだジップ・トップ Zip Top (アイルランドのボルジャー厩舎からの遠征馬)が3着に食い込みました。同じくアイルランドから挑戦したオブライエン厩舎のクルセード Crusade も、首差4着と差の無い競馬。

勝ったクライアスはリチャード・ハノン厩舎、リチャード・ヒューズ騎乗。これで5戦3勝2着2回、ウォーリック競馬場の新馬戦でデビュー勝ちしていた馬。前走はヘイドック競馬場のリステッド戦が2着で、G戦は初挑戦での初勝利となります。
ハノン/ヒューズ・コンビは2009年のサー・パーキー Sir Parky に続き2年振りの勝利。ヒューズ騎手は2006年にバリー・ヒルズ厩舎のサウザンド・ワーズ Thousand Words でも勝っていますから、このレース3勝目となります。
一昨年のサー・パーキーはこのあと体調を崩して走れませんでしたから、陣営としては何とか調子を持続させたいところでしょう。今シーズンは既に5戦しており、このまま冬を迎える公算が大きいようです。

ヒューズ騎手は1マイルに疑問を抱いているようですが、大手ブックメーカーは来年の2000ギニーに20対1のオッズを出しています。
一方2着敗退のファラージ、騎乗したデットーリによればもっと長い距離に適した走りっぷりだったそうで、この後は1マイルに向かう可能性が高そうですね。

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