シェアード・ビリーフ故障か?

4月第3週はクラシック・ウィークの2週前。それでも5つの競馬場で合計5鞍のG戦が行われています。焦点の絞り難い土曜日でしたが、結果が入ってきた順に紹介して行きましょう。

最初はアケダクト競馬場のディスタッフ・ハンデキャップ Distaff H (GⅡ、4歳上牝、6ハロン)。去年は3歳上でしたが、今年は現実的に4歳上。しかし出走してきたのは僅かに4頭で、馬券も単勝と連勝単式しか対象になりません。メンバー中唯一のG戦勝馬で、去年のこのレースに勝っているラ・ヴェルダッド La Verdad が1対5の圧倒的本命。
去年も逃げ切った本命馬、今年も先手を取りましたが直ぐに3番人気(6対1)のエアオブディスティンクション Aireofdistinction が絡んできて嫌な雰囲気に。しかしそれも一瞬で、直ぐにハナを奪い返したラ・ヴェルダッドが3番手追走の4番人気(7対1)フリヴォリティー Frivolity に5馬身4分の1差を付けて2年連続1番人気での逃げ切り勝ち。首差で後方を進んだ2番人気(4対1)のマンドゥーハ Mamdooha が3着に入り、一旦勝馬に挑んだエアオブディスティンクションは直線で大外に逸走してしまい競馬にならず。
リンダ・ライス厩舎、ホセ・オルティス騎乗のラ・ヴェルダッドは、上記の様にディスタッフ2連覇でG戦も2勝目、ステークスそのものは6勝目となります。去年11月にフォール・ハイウエイト・ハンデ(GⅢ)で牡馬に挑戦したものの7頭立て7着と敗退。この日はそれ以来の休養明けで、気持ちもリフレッシュしていたようです。

次はキーンランド競馬場に行きましょうか。これも連覇が掛かったアメリカには珍しい芝の長距離戦エルクホーン・ステークス Elkhorn S (芝GⅡ、4歳上、12ハロン)。good の馬場に3頭が取り消して8頭立て。去年の勝馬ユニタリアン Unitarian がレース史上4頭目の連覇を目指して2対1の1番人気。
レースはスタートから5番人気(6対1)のマイ・アフリート My Afleet と最低人気(30対1)のドラムディ Dramedy が牽制しあいながらハナを争う展開。最初のスタンド前を通過して向正面に入るころには2頭が後続を9馬身も離していました。ユニタリアンは後方グループ、一時は画面に入らないほどで、どうやら最後方に下げる展開だったようですが、直線に入っても前2頭との差はかなりあり、如何にも仕掛けが遅い感じ。最後は競り勝ったドラムディに内から2番人気(3対1)のダイナミック・スカイ Dynamic Sky 、外から漸くユニタリアンが猛追して3頭の写真判定。結局大穴ドラムディが逃げ切り、首差でダイナミック・スカイが2着。ユニタリアンは頭差で連覇を逃しています。
ジェラルド・ラッセル・アシンガー厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のドラムディは、これがG戦初勝利の6歳馬。2012年にアケダクトの1マイルでデビュー勝ちした馬で、前走ガルフストリームのアップルトン・ステークス(GⅢ)は4着でした。1マイル半の距離は初体験でしたが、ケンタッキー・ダービーとプリークネス・ステークスで2着したブルーグラス・キャット Bluegrass Cat の半弟という距離適性のある血統で、勝たれて見ればやはり「馬は血で走る」ということになるのでしょう。

3場目はホーソン競馬場にしましょう。ここはG戦2鞍で、先ずはシックスティー・セイルズ・ハンデキャップ Sixty Sails H (GⅢ、3歳上牝、9ハロン)。fast の馬場にここも少頭数の5頭立て。今シーズン4戦3勝、芝でもダートでもタペタでも勝っているオウサム・フラワー Awesome Flower が3対5の1番人気。
いつもは逃げる2番人気(2対1)のヤヒルワ Yahilwa がスタートでやや出遅れるアクシデントがあり、ハナを奪ったのは3番人気(7対2)のパルク・モンソー Parc Monceau 、オウサム・フラワーは3番手に付けます。スタートの4番手から徐々に進出する展開となったヤヒルワでしたが、直線で外から一気に抜けると、熾烈な2着争いに2馬身半差を付ける快勝で新境地を拓きました。写真判定の結果、2着はハナ差でオウサム・フラワーが届き、2番手追走の4番人気(15対1)ケテル・トゥイスト Ketel Twist が3着。
ジェームス・キャシディー厩舎、エルヴィス・トルヒーヨ騎乗のヤヒルワは、カリフォルニアから遠征の5歳馬。前2走、12月ロス・アラミトスのバヤコア・ステークス(GⅡ)、今年2月サンタ・アニタのサンタ・マリア・ステークス(GⅡ)は7着と何れも凡走でしたが、その前2走はサンタ・アニタのアローワンス戦とデルタ・ダウンズの一般ステークス(トレジャー・チェスト・ステークス)とに連勝していました。G戦はこれまで去年5月サンタ・アニタのアドレーション・ステークス(GⅢ)での首差2着が最高でしたが、ここで念願の初勝利となります。

ホーソンのもう一鞍はイリノイ・ダービー Illinois Derby (GⅢ、3歳、9ハロン)。ダービーとは言いながらケンタッキー・ダービーのポイント対象ではなく、時期から見てもここからケンタッキーというのはローテーション的にも無理でしょう。1頭が取り消して8頭立て、サンタ・アニタ・ダービー(GⅠ)5着馬のクロス・ザ・ライン Cross the Line が6対5の1番人気。
レースは内からブービー人気(18対1)のカンチューン Kantune 、人気のクロス・ザ・ライン、最低人気(27対1)のア・ロッド・アゲン A Rod Again の3頭が雁行するようにハナを争う展開。これを4番手で見ていた2番人気(2対1)のウイスキー・チケット Whiskey Ticket が徐々に順位を上げて4角先頭。直線では外から追い込む3番人気(6対1)コンケスト・カーリネイト Conquest Curlinate の猛追をハナ差凌いでの優勝。4馬身差が付いた3着には5番人気(10対1)のフェノメナル・フェニックス Phoenomenal Phoenix が追い込み、人気のクロス・ザ・ラインは先行争いに巻き込まれて5着敗退。
ボブ・バファート厩舎、マーチン・ペドロザ騎乗のウイスキー・チケットは、3月19日にサンタ・アニタのデビュー戦に勝ったばかりで2戦2勝。バファート厩舎はケンタッキー・ダービーにはアメリカン・フェイロー American Pharoah とドルトムント Dortmund と2頭の有力馬を擁しており、ウイスキー・チケットはダービー後の更なる成長を待つというスタンスでしょう。

さてチャールズ・タウン競馬場では注目のチャールズ・タウン・クラシック Charles Town Classic (GⅡ、4歳上、9ハロン)が行われました。fast の馬場に9頭立て。注目と言うのは、サンタ・アニタ・ハンデを圧勝して今年の世界最強にランクされているシェアード・ビリーフ Shared Belief が参戦して来たからで、断然の1番人気(最終オッズは不明)。
好スタートを切った7対1(3番人気?)のモレノ Moreno が、一旦は逃げ表示を示したウォリアーオブザロージズ Warrioroftheroses にハナを譲って2番手で向正面。しかしここでシェアード・ビリーフが競争を中止するアクシデント。スタンドが騒然とする中、再び先頭に立ったモレノが去年のこのレース勝馬インペラティヴ Imperative (31対1)に2馬身差を付けて優勝。更に2馬身半差でこれも伏兵(33対1)のペイジ・マッキネー Page McKenney が3着に入りました。シェアド・ビリーフはゴールまで走らずそのまま救急車に。騎乗したマイク・スミスによればスタートで何かあったようで行き脚が怪しく、用心のために競走を断念したとのこと。診察の結果は右膝に腫れが見られるということですが、精密検査が必要、その結果が気になります。
さて勝ったモレノはエリック・ギヨー厩舎、コーネリオ・ヴェラスケス騎乗。今年のサンタ・アニタ・ハンデではシェアード・ビリーフの2着に敗れており、前走ニュー・オーリーンズ・ハンデ(GⅡ)でも半馬身差の3着、前2走の雪辱を果たしました。勝鞍は去年サラトガのホイットニー・ステークス(GⅠ)以来で、去年のチャールズ・タウン・クラシックは3着。このあとはホイットニーの2連覇からBCを目指すというローテーションになるでしょう。

最後はサンタ・アニタ競馬場のサンタ・バーバラ・ハンデキャップ Santa Barbara H (芝GⅢ、4歳上牝、10ハロン)。一時はGⅠだった伝統戦ですが、去年からGⅢに降格されています。firm の馬場に9頭立て、前走ブエナ・ヴィスタ・ステークス(芝GⅡ)を制したディヴァーシー・ハーバー Diversy Harbor が5対2の1番人気。
3番枠から出た4番人気(7対1)のファンティコラ Fanticola がゴールまで良く脚を残しましたが、前半は後方2番手に控えていた3番人気(6対1)のクィーン・オブ・ザ・サンド Queen of The Sand が内ラチ沿いに経済コースを通り、直線では前の3頭の外に持ち出して瞬発力を発揮、ゴール寸前でファンティコラをハナ差捉えて優勝。1馬身4分の1差で3番手を進んだ2番人気(僅差の5対2)のスリー・ハーツ Three Hearts が3着に入りましたが、最後方待機のディヴァーシー・ハーバーは第4コーナーで競走を中止。診察の結果、左前脚の種子骨骨折が判明しました。
パトリック・ギャラガー厩舎、ドライデン・ヴァン・ダイク騎乗のクィーン・オブ・ザ・サンドは、前走サンタ・アナ・ステークス8着からの巻き返し。アイルランド産の5歳馬で、これがG戦初勝利となります。

 

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