ブリーダーズ・カップの余波

BCが明けた日曜日、シーズン・オフの無いアメリカ競馬は未だ未だ続きます。昨日は秋/冬開催がスタートしたばかりのニューヨークのアケダクトで2歳戦、BCの舞台だったカリフォルニアのサンタ・アニタでもGⅡ戦が行われました。

最初にアケダクト競馬場、fast の馬場で行われたテンプテッド・ステークス Tempted S (GⅢ、2歳牝、8ハロン)は、2頭が取り消して4頭立てという寂しさ。ステークスで実績のある唯一の出走馬、マイ・ハッピー・フェイス My Happy Face が1対4の圧倒的1番人気に支持されていました。
スタートでハナを切ったマイ・ハッピー・フェイス、今回は楽な競馬になると思われましたがそうは行きません。2番人気(5対2)キュア・ザ・ムーン Cure the Moon が競り掛けて譲らず。結局2頭のマッチ・レースは、内のマイ・ハッピー・フェイス、外キュア・ザ・ムーン共に最後まで譲らず、ゴールでは辛うじてマイ・ハッピー・フェイスが首差先着していました。6馬身4分の1差でルビー・リップス Ruby Lips が3着。
ルディー・ロドリゲス厩舎のマイ・ハッピー・フェイスは、前走フリゼット・ステークス(GⅠ)でドリーミング・オブ・ジュリア Dreaming of Julia (BCジュヴェナイル・フィリーズで3着)を最後まで苦しめた馬。前走ではハナ差で差し切られましたが、今回は首差で逃げ切りました。騎乗したラモン・ドミンゲスは、前日のBCターフでリトル・マイク Little Mike を勝利に導いた立役者。直ぐにニューヨークに戻っての勝利です。
ところでマイ・ハッピー・フェイスはスペンドスリフト・ファームの生産馬、2着のキュア・ザ・ムーンもスペンドスリフト・ファームの所有馬という関係。厩舎は違えど、スペンドスリフトにとってはワン・ツー・フィニッシュでもあります。

もう一鞍は牡馬によるナシュア・ステークス Nashua S (GⅡ、2歳、8ハロン)。こちらは7頭が出走、トッド・プレッチャー厩舎の新たなスターが1・2番人気を独占していました。1番人気(3対5)はクールモアの所有馬で、10月6日にベルモントのデビュー戦(6ハロン)に勝った130万ドルの高馬ダーウィン Darwin 。
そのダーウィンがスタート良く飛び出しますが、3番人気(9対1)のリアリー・シャープ Really Sharp に絡まれて自分の競馬が出来ません。直線では内ラチ沿いを諦めたように後退して4着に終わります。勝ったのは4番手を進んだ2番人気(5対2)のヴァイオレンス Violence 。直線では並んだ4頭の最外を回りましたが、内に寄れて最後は最内をゴールイン。この過程で2馬身差2着のヴェガス・ノー・ショウ Vegas No Show と接触して前をカットする場面があって審議になりましたが、着順通りで確定しました。3着は更に3馬身で逃げたリアリー・シャープ。
ハヴィエル・カステラノが騎乗したヴァイオレンスは、8月18日にサラトガの7ハロン戦でデビュー勝ち。着差は首差でしたが、この時の2着馬は次走チャーチル・ダウンズで9馬身差の圧勝を記録しています。新馬戦のあと踝を故障して次走が遅れ、ここまで待った経緯がありました。これで2戦2勝、今回は敗れたとは言え期待のダーウィンと共に、来年のクラシックを狙うプレッチャー厩舎の1頭と言えるでしょう。

そしてサンタ・アニタ競馬場からはゴールディコヴァ・ステークス Godikova S (芝GⅡ、3歳上牝、8ハロン)。去年まではラス・パルマス・ステークス Las Palmas S として施行されてきましたが、今年からBCマイル3連覇の名牝に因んで改名されました。firm の芝コース、当初8頭が登録していましたが、GⅡ戦に4勝しているシティー・トゥー・シティー City to City が取り消したため7頭立て。出走する馬本命になる馬が抜けたため人気は割れ、イギリスから参戦したリズム・オブ・ライト Rhythm of Light が2対1の1番人気に支持されています。
レースはほぼ同じオッズ(7対2、2番人気)で並んだ3頭のうちの1頭、レッツ・ゴー・シャイアン Let’s Go Sheyenne が逃げ、本命リズム・オブ・ライトは後方2番手に待機。直線、インコースの競り合いが激しくなる中、外を通って鋭く伸びたリズム・オブ・ライトが2番手から抜けたエイ・ジェラス・ウーマン A Jealous Woman に1馬身半差を付けて人気に応えました。改名された新レース名に相応しく、ヨーロッパ馬の瞬発力を見せ付けた形です。2馬身半差で3番手を進んだヴィヴォ・パー・レイ Vivo Per Lei が3着。
ギャレット・ゴメスが騎乗したリズム・オブ・ライトは、イギリスのトーマス・ダスコウム師の管理馬。ダスコウム厩舎は今回のBCにシーリング・キッティー Ceiling Kitty でチャレンジし、馬は負けたもののジュヴェナイル・スプリントの本命馬に絡んで波乱の芽を演出していました。リズム・オブ・ライトは同行してG戦を獲る殊勲。今年4歳の同馬は、去年3歳時にはロイヤル・アスコットでサンドリンガム・ハンデ(1マイル)に勝っており、秋にはトルコ(ヴィリーフェンディ競馬場)に遠征して国際イスタンブール・トロフィーでも2着。今年は前走、去年2着だったイスタンブール・トロフィーを見事制してのアメリカ遠征でした。ワールド・クラスとは言えませんが、国際経験豊かな1頭です。

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