ハットトリック産駒の活躍
3月11日の日曜日、ガルフストリーム・パーク競馬場では3歳牡馬と牝馬による共に芝のG戦が行われました。偶然とはいえ、日本へのエールが送られたようにも思われます。
サンタ・アニタの一鞍と合わせてレポートしましょう。
最初にガルフストリーム・パーク競馬場から。
パーム・ビーチ・ステークス Palm Beach S (芝GⅢ、3歳、9ハロン)。現在は3歳限定戦ですが、芝コースを舞台とするのが特徴。ここからダート・コースの三冠に向かう馬もいます。創設は1948年と古く、グレード制が導入された1973年にはGⅢに格付けされた古馬との混合戦でした。1977年から1989年まではG戦から外されていましたが、1990年に3歳限定のGⅢで復活しています。
今年は6頭立て。4対5の1番人気には目下3連勝中のハウ・グレート How Great が推され、ディクシアナ・ブリーダーズ・フューチュリティー(GⅠ)の勝馬でBCジュヴェナイル4着のダラハン Dullahan が2対1の2番人気で続いていました。
レースはスコーチャー Scorcher の逃げで始まりましたが、1枠スタートから終始内ラチ沿いを通って2番手でマークしたハウ・グレートが直線で内ラチ沿いに抜け出し、後方2番手から追い込むダラハンを1馬身抑えて快勝、見事に1番人気に応えました。道中終始3番手を進んだチャバ Csaba が2馬身4分の3差の3着にそのまま粘り込んでいます。
グレアム・モーション師が調教、ジョン・ヴェラスケスが騎乗したハウ・グレートは、去年パークス・レーシング競馬場のダートコースで未勝利を脱し、ガルフストリームの芝コースで連勝、今年初戦の同じくガルフストリームの芝コースで行われた一般ステークスも制しており、これで4連勝。去年のケンタッキー・ダービーをアニマル・キングダム Animal Kingdam で制したモーション陣営は、アニマル・キングダムも芝コースに向いていると考えていた由。芝で3連勝したハウ・グレートも、ケンタッキー・ダービーに向かう可能性が高そう。
日本の競馬ファンの注意を喚起したいのは、ハウ・グレートがハットトリック Hat Trick 産駒であること。既に日本のマスコミでも取り上げられているように、サンデー・サイレンス Sunday Silence 産駒のハットトリックは、ヨーロッパの2歳チャンピオンのダバーシム Dabirsim を出して注目の的。アメリカでもクラシックを狙う器を出したことで、増々サンデーサイレンス系の活躍が話題になること間違いないでしょう。
次は牝馬によるヒアカムズザブライド・ステークス Herecomesthebride S (芝GⅢ、3歳牝、9ハロン)。創設は1984年ですが、GⅢに格付けされたのは1998年からだと思われます。
1頭取り消しがあり8頭立て。ここもパーム・ビーチに続いて本命馬が勝って順当に収まりました。その1番人気(4対5)は、前走(1月22日)同じコースで行われたノン・グレードのステークスに勝っていたデイアットザスパ Dayatthespa 。逃げるフロリックス・リヴェンジ Frolic’s Revenge を2番手で追走、直線入口でこれを捉えると、レガーロ・ミア Regalo Mia の追い込みを首差凌いで人気に応えました。3馬身4分の1離された3番手にアルムサーファ Almusafa が入線しましたが、進路妨害により6着降着。4位で入線したフロリダ・オークス勝馬ディキシー・ストライク Dixie Strike が繰り上がっています。
勝利調教師は、去年芝の活躍馬スタチェリータ Stacelita とザゴラ Zagora を管理してきたチャド・ブラウン師、ここにまた新たな芝のスターを見出しました。騎手はハヴィエル・カステラノ。ニューヨーク産のデイアットザスパは、着外になったのが去年のBCジュヴェナイル・フィリーズ・ターフ(9着)だけという堅実さで、通算成績は5戦3勝。二戦目に出走したカナダのナタルマ・ステークス(カナダの芝GⅢ)は2着でした。
次いでサンタ・アニタ競馬場からはラス・フローレス・ステークス Las Flores S (GⅢ、4歳上牝、6.5ハロン)。去年は4月2日に行われましたから、レースの経緯等については既に紹介済みです。
今年は6頭立てで行われ、ここも6対5の熱い1番人気に支持されたイジー・ルールズ Izzy Rules がスピードを活かして逃げ切り勝ちを演じました。4馬身4分の1差2着にスペクタキュラー・スカイ Spectacular Sky 、更に4分の3馬身差で3着はシーズ・チーキー She’s Cheeky 。サンタ・モニカ・ステークス(GⅠ)の覇者ホーム・スィート・アスペン Home Sweet Aspen は5着、GⅡ馬でブラジル産のグレート・ホット Great Hot も4着と期待を裏切っています。
ジェフ・ボンド調教師が管理し、エドウィン・マルドナードが騎乗したイジー・ルールズは、フロリダ産の5歳牝馬、このところ3連勝でグレード戦は初挑戦。連勝記録を「4」に伸ばしました。プエルト・リコ出身のマルドナード騎手にとっても、これがサンタ・アニタでのステークス初勝利だったそうです。
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