名手スティーヴンスに脱帽

3日ほど留守にしていて久し振りにパソコンの電源を入れました。不在の訳はいずれ書きますが、どうもペースが戻りません。何から手を付けるか迷っていますが、先ずは昨日のアメリカ競馬レポートから行きましょう。
土曜日は5つの競馬場で6つのG戦、結構忙しい結果チェックを済ませて日記に入ります。

最初は雨で馬場が悪化したローレル・パーク競馬場から、バーバラ・フリッチー・ハンデキャップ Barbara Fritchie H (GⅡ、3歳上牝、7ハロン)。水が浮くダートコースは muddy 、有力と思われた2頭が取り消して8頭立てで行われました。人気はマイケル・ファッション厩舎が送り込んだ2頭に集まり、6対5の本命は昨秋アケダクトのガゼル・ステークス(GⅠ)で3着したプエルト・リコの快速馬マイ・ウォンディーズ・ガール My Wandy’s Girl 、続く2番人気(2対1)には前年のこのレース2着馬で一般ステークスに3連勝中のニコール・エイチ Nicole H 。
しかし結果は番狂わせ。泥んこ馬場を得意とする21対1の伏兵ファニーズ・アプルーヴァル Funnys Approval がまんまと逃げ切ってしまいました。本命マイ・ウォンディーズ・ガールも3番手から追い上げましたが、勝馬を4分の3馬身捉え切れず2着。更に1馬身4分の3差でこれまた伏兵(22対1)のウィズグレートプレジャー Withgreatpleasure が3着に入り、ニコール・エイチは3着から5馬身も離された4着敗退です。
勝ったファニーズ・アプルーヴァルはホセ・ロペス厩舎、フアン・ヴァルガス騎乗の4歳馬で、アローワンス戦などに3連勝してここに臨んだ馬。4勝目でのステークス初勝利となります。ヴァルガス騎手にとってもG戦は初勝利。

次にガルフストリーム・パーク競馬場で行われた芝の2レースを紹介しましょう。牝馬と牡馬に組まれた何れも11ハロンの長距離戦です。最初は牝馬版のザ・ヴェリー・ワン・ステークス The Very One S (芝GⅢ、4歳上牝、11ハロン)。前日の雨の影響で馬場状態はやや渋く good 。コース変更時のみ出走予定の1頭が取り消しての8頭立て、今シーズン初戦ながら昨秋アケダクトでロング・アイランド・ハンデ(芝GⅢ)を逃げ切ったスターフォーマー Starformer が3対2の1番人気。
レースはプレッチャー厩舎のシェネキー Seanchai が逃げ、1番枠スタートで人気のスターフォーマーは内ラチ沿いに3番手追走。徐々に外に持ち出したエドガー・プラード騎乗のスターフォーマーは、直線では馬場の良い所を選ぶ余裕で、2着に追い込むアンジェ・グリーン Angegreen に3馬身4分の1差を付ける楽勝。更に4分の3馬身差でベイジョカ Beijoca が3着、逃げたシェネキーが4着に逃げ粘り、2番人気に支持されたカダーヤ Kadaya は馬場に脚を取られて5着敗退です。
ウイリアム・モット厩舎のスターフォーマーは、やはり馬場が渋ったロング・アイランド・ハンデも逃げ切っており、得意の馬場で能力を発揮した形。フランスでデビューした同馬、アメリカに転戦当初は成績が今一でしたが、ここに来て本来の力を出せるようになり、徐々にアメリカの水にも慣れてきた印象です。

続いては牡馬版のマック・ダイアルミダ・ステークス Mac Diarmida S (芝GⅡ、4歳上、11ハロン)。2頭が取り消してこちらも8頭立て、こちらもモット厩舎のアミラズ・プリンス Amira’s Prince が8対5の1番人気。やはりヨーロッパから転じてきた馬で、こちらは英愛で走り1勝の成績ながら、ガルフストリームでアローワンス戦を2連勝しての参戦。ザ・ヴェリー・ワンを制したスターフォーマーとイメージが重なります。
逃げたのは4番人気(7対1)のティークス・ノース Teaks North 、ゆったりとスタートした本命アミラズ・プリンスは前半4番手でしたが、ジョン・ヴェラスケス騎手が気合を入れると外から徐々に進出、直線では渋太く粘るティークス・ノースを捉え3馬身4分の3差を付けて見事期待に応えました。粘ったティークス・ノースと、先行して3着に食い込んだアイオヤ・ビッグタイム Ioya Bigtime との着差は2馬身4分の3でした。
この日のG戦ダブルを達成したウイリアム・モット調教師、当初アミラズ・プリンスをここに出走させる予定ではなかった由ですが、馬の調子が良いので参戦を決めたとか。アメリカでは3戦3勝、G戦はもちろん初勝利ですが、未だ将来に成長の余地を残した存在と言えましょう。
ところで二つのG戦、牝馬版の勝時計は2分18秒03、対して牡馬版は2分17秒14。スターフォーマーは121ポンド、アミラズ・プリンスは119ポンドを背負っての走破タイムです。

3つ目にタンパ・ベイ・ダウンズ競馬場に向かいましょう。このコースの呼び物、タンパ・ベイ・ステークス Tampa Bay S (芝GⅢ、4歳上、8.5ハロン)もやや渋った good の芝コース。4頭が取り消して9頭立てになりました。このレースの前年の勝馬ローマン・タイガー Roman Tiger 、一昨年の勝馬ダブルス・パートナー Doubles Partner が参戦しての混戦。結局ダブルス・パートナーが17対10の1番人気に支持されていました。
レースはエル・コモドーレ El Commodore の逃げ、これを伏兵(13対1)アリー・ウープ・ウープ Alley Oop Oop が追走する展開。ゴールでは3番手を進んだ2番人気(5対2)のスイフト・ウォリアー Swift Warrior が半馬身抜けたのが判るだけで4頭が同時に流れ込む接戦。長い写真判定の結果、2着はダブルス・パートナーとアリー・ウープ・ウープが同着と判定され、頭差4着に逃げたエル・コモドーレの順。去年の覇者(28対1の大穴でしたが)ローマン・タイガーは奮わず8着と大敗に終わりました。
ジョン・テラノヴァ厩舎、ホセ・エスピノザ騎乗のスイフト・ウォリアーは、去年のタンパ・ベイ・ステークスでは3着だった5歳馬。1月26日サム・ヒューストン競馬場のコナリー・ターフ・カップに続くGⅢ連勝で、二つ目のG戦を手にしました。

続いてはサンタ・アニタ競馬場からサンタ・マリア・ステークス Santa Maria S (GⅡ、4歳上牝、8.5ハロン)。かつてはGⅠに格付けされていた一戦ですが、今年は1頭取り消して5頭立て。fast の馬場でイーヴンの1番人気に支持されたのは、昨年末にGⅠのラ・ブレア・ステークスを制したバファート厩舎のブック・レヴュー Book Review 。2頭出しジェリー・ホーレンドルファー厩舎のスノー・フォール Snow Fall が2番人気(9対5)で続きます。
全馬一斉のスタート、逃げ馬不在と見て1番枠スタートのブービー人気(9対1)グレート・ホット Great Hot が先手を奪います。ブック・レヴューは後方2番手の内々を進み、最終コーナー手前でスパート、逃げ馬を外から捉えに掛かりましたが、脚を残したグレート・ホット、二の足を使って本命馬に抜かせず、半馬身差を守っての逆転勝ち。3馬身4分の3差でホーレンドルファー厩舎で人気が無い方のレディー・オブ・フィフティー Lady of Fifty が3着、スノー・フォールは4着に終わりました。
鮮やかな逆転劇を演じたA・C・アヴィラ厩舎のブラジル産馬グレート・ホットは、名手ゲーリー・スティーヴンス騎乗。先日カムバックを果たした大ヴェテランは、先週のG戦と一般ステークスに続いてのビッグ・タイトル奪取。アヴィラ師も“伊達に5000勝はしていないね”と感嘆頻り。スティーヴンスにとってはサンタ・マリアは5勝目、初めて勝った1988年は未だGⅠ戦でしたっけ。グレート・ホットは2011年10月のレイヴン・ラン・ステークス(GⅢ)以来の勝利で、13連敗に終止符。初めてブリンカーを装着した効果もありましょうが、スティーヴンスの好判断が産んだ好走でもありましょう。

最後は北カリフォルニアから、ゴールデン・ゲート・フィールズのエル・カミノ・リアル・ダービー El Camino Real Derby (GⅢ、3歳、9ハロン)。この競馬場では最大のクラシック・トライアルで、もちろんケンタッキー・ダービーへのポイントが与えられる一戦。fast のタペタ・コースに9頭が出走、サンタ・アニタのシャム・ステークスで3着し、メンバー中持ち時計が一番のマナンド Manando が2対1の1番人気に支持されていました。
そのマナンドがスタートから後続を引き離しての大逃げ、ペースが早過ぎたか直線ではバテて最下位に終わってしまいます。優勝は前半後ろから2番手を進んだ4番人気(9対1)のダイス・フレイヴァー Dice Flaver 、一気の末脚で2着ニーナズ・ドラゴン Nina’s Dragon に3馬身4分の3の決定的な差を付けていました。3着は4分の3馬身でカウンティング・デイズ Counting Days 。直線入口で結果6着入線のワイルドキャット・ムーン Wildcat Moon が内で行き場を失くし外に振るアクシデントがあり、ジョッキーから異議申し立てがなされましたが、進路を妨害された事実はないとして却下、直準通りで確定しています。
2歳時に3戦目で初勝利を記録したダイス・フレイヴァー、前走はクレーミング戦で3着でしたが、これまでの芝からオールウェザーに転じての快走です。パトリック・ギャラガー厩舎、ホセ・ヴァルディヴィア騎乗ですが、生産者は数時間前に上記タンパ・ベイ・ステークスを制したスイフト・ウォリアーと同じ。関係者にとってはビッグな週末となりました。またダイス・フレイヴァーの父スキャット・ダディー Scat daddy は、前年のこのレースに勝ったダディー・ノーズ・ベスト Daddy Nose Best と同じ。父にとっても誇るべき2連覇となります。

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