フィナーレを迎える春競馬

年初からずっと続いてきたアケダクト競馬場も、愈々最後のG戦を迎えました。ジェローム・ステークス Jerome S (GⅡ、3歳、8ハロン)。時期的にここからケンタッキー・ダービーは無理ですが、二冠目のプリークネス・ステークスに駒を進める馬の登場に注目でしょう。
外回りのダート・コース、firm の馬場に1頭が取り消して6頭立て。1番人気(2対1)はボブ・バファート厩舎、サンランド・ダービー(GⅢ)3着のスタード・アップ Stirred Up と、ここまで3戦2勝のザ・ランバー・ガイ The Lumber Guy が分け合っていました。
レースは1番枠スタートのザ・ランバー・ガイと2番枠スタートのブリガンド Brigand の先行争い、結局はザ・ランバー・ガイがハナを奪って直線に入ります。ここからは迫るブリガンドと逃げるザ・ランバー・ガイの一騎打ち。一旦はブリガンドが交わしたようにも見えましたが、最後はザ・ランバー・ガイが差し返し、ブリガンドに2馬身4分の3差を付ける快勝です。3馬身差3着に人気の一角スタード・アップ。
マイケル・ハッション師が管理するザ・ランバー・ガイは、今年1月28日にアケダクトの新馬戦デビュー勝ち。2月25日のローレル競馬場の一般ステークスも連勝し、前走ウッド・メモリアル・ステークス(GⅠ)では逃げて5着に終わっていました。未だ4戦のキャリア、距離が短くなったここでスピードを活かした形です。騎乗したマイケル・ラッツィ騎手は、同馬に初騎乗。

続いても4月29日に閉幕を迎えるホーソン競馬場から、同コース開催最後のグレード戦となるシックスティー・セイルズ・ハンデキャップ Sixty Sails H (GⅢ、3歳上牝、9ハロン)。fast の馬場、2頭が取り消してここも6頭立てです。
6対5の断然1番人気に支持されたのは、目下5連勝中、連勝記録を6に伸ばすと期待されたアリーナ・エルヴァイラ Arena Elvira でした。
レースは並んだ2番人気(5対2)に支持されたラヴ・アンド・プライド Love and Pride が逃げましたが、3番手を進んだ4番人気(5対1)のシーズ・オール・イン She’s All In が3コーナーからスパートすると、2着以下に8馬身4分の3差を付ける一方的な圧勝に終わりました。2着には35対1と最低人気のディストーテッド・ラヴ Distorted Love が飛び込み、更に2馬身4分の1差で本命アリーナ・エルヴァイラが3着。
ドンニー・フォン・ヘメル厩舎、ルイス・キノネズ騎乗のシーズ・オール・インは、今期オークローン・パークで走ってきた馬。ホーソン競馬場は初遠征で、これまでステークスは6勝となりますが、G戦は初勝利です。勝鞍は去年12月のレミントン・パーク競馬場以来、前走はアゼリ・ステークス(GⅢ、3月17日)での2着でした。

続いてはキーンランド競馬場からレキシントン・ステークス Lexington S (GⅢ、3歳、8.5ハロン)。事実上、ケンタッキー・ダービーへの最後の滑り込みレースて言えましょう。最後のチャンスに賭けたのは11頭、fast の馬場で競われます。これがシーズン・デビューながら2歳時無敗のサマー・フロント Summer Front が2対1の1番人気に支持されていました。
レースは各馬が第1コーナーに殺到、漸く馬順が落ち着いたのは向正面で、それでもヨハンネスバーボン Johannesbourbon 、キャスタウエイ Castaway 、ハマーズ・テラ― Hammers Terror が譲らず先頭争い。流石にペースが速かったのか、4番手に付けていた最低人気(70対1!)のオール・スクェア―ド・アウェイ All Squared Away が直線で抜け出してまさかの番狂わせです。実況アナも思わず“あんびりーばぼー”。1馬身半差2着に漸く本命サマー・フロントが突き抜け、首差3着も伏兵ハマーズ・テラ―(18対1)。
勝馬を調教するのはウェスリー・ウォード師。鞍上はフリオ・ガルシア騎手、思わずガッツ・ポーズが出ました。オール・スクェア―ド・アウェイは2歳時4戦して未勝利、1月22日にゴールデン・ゲート競馬場で初勝利を挙げたものの、エル・カミノ・レアル・ダービー(GⅢ)が7着、スパイラル・ステークス(GⅢ)も6着とほとんど見るべきものが無かった存在、70対1も当然だったかも知れません。何しろセリではたった1000ドルで取引された馬。

さてサンタ・アニタ競馬場もフィナーレが近付いてきました。最後から二日目の昨日はG戦が2鞍。最初に下り坂を使って行われる弾丸の芝コース、サン・シメオン・ハンデキャップ San Simeon H (芝GⅢ、4歳上、6.5ハロン)から。
firm の芝コース、1頭取り消しがあり7頭立て。9対5の1番人気は、サンタ・アニタの芝コースに8戦6勝の実績があるカンパーリ Compari です。
レースはスタートこそ3番手だったものの、ジョセフ・タラーモ騎乗の芦毛の快速カリフォルニア・フラッグ California Flag が直ぐに加速、他馬を引き離して逃げます。直線に入ってもスピードは衰えず、そのまま2番手追走のアイルランド産馬サイーフ Sayif に2馬身4分の1差を付ける鮮やかな逃げ切り勝ち。本命カンパーリも追い上げたものの、更に半馬身差3着まで。
ブライアン・コリナー師が管理するカリフォルニア・フラッグは、4年連続でBCターフ・スプリントに挑戦し続けてきた人気馬。2009年にはここサンタ・アニタ開催で勝ちましたが、去年(チャーチル・ダウンズ)は12着に惨敗して以来の実戦、5対1の4番人気に落ちていたのはそのためでしょう。今年8歳になったヴェテランせん馬、このコースは7戦5勝となり、終わって見れば速かった! もちろん今年もBCにチャレンジする計画です。

そしてもう一鞍がサンタ・バーバラ・ハンディキャップ Santa Barbara H (芝GⅡ、4歳上牝、10ハロン)。アメリカでは長距離の範疇に入る芝戦です。同じく firm の馬場、7頭立てで争われました。
1番人気(2対1)は前走サンタ・アナ・ステークス(芝GⅡ)に勝ったチリ産のヴァモ・ア・ガルーピアー Vamo a Galupiar 、差無くサンタ・アナでは1番人気に支持されたカメリア・ローズ Camelia Rose が続きます。
レースは人気薄でブラジル産のグローウィング・スピリット Glowing Spirit が後続を大きく引き離し単騎の逃げに持ち込みますが、2番手を進んだ4番人気(5対1)のキャピタル・プラン Capital Plan が徐々に差を詰め、4コーナー先頭でそのまま2着以下に1馬身半差を付ける快勝です。2着は2頭が鼻面を並べてゴールに飛び込みましたが、3番人気(7対2)のカンビーナ Cambina がハナ差で先着、ハード・セヴン Hard Seven が3着という結果。人気のヴァモ・ア・ガルーピアーは6着、カメリア・ローズも4着に終わる番狂わせです。
キャピタル・プランはこれがステークス・デビュー、前走はアローワンス戦で2着でしたから、実績の割には人気があったと言えましょうか。同馬を管理するジェリー・ホーレンドルファー師はこのレース、一昨年のタスカン・イヴニング Tuscan Evening に続く2勝目。勝馬には初騎乗だったブライス・ブラン騎手も去年のマリブー・ピエー Malibu Pier に続く2連覇です。ホーレンドルファー師によれば、次走はニューヨーク遠征になる由。

なおこの日はフロリダ州のカルダー競馬場でマイアミ・マイル・ハンデキャップ Miami Mile H (芝GⅢ、3歳上、8ハロン)が行われる予定でしたが、土砂降りの雨のために芝コースが使えず、ダートに変更されています。4月9日にオープンし、11月一杯の開催が予定されているカルダー競馬場の最初のG戦となるはずでしたが、コース変更によりグレード委員会から格下げの決定が下されました。
折角ですから結果だけ紹介しておくと、当初は12頭が登録、コース変更の際には追加登録が2頭ありました。結果的にはダートに変更されたため、6頭が取り消し、予備登録の2頭が出走する8頭立てです。
勝ったのは予備登録の1頭、インペリアル・ザー Imperial Czar 、4分の3馬身2着にナム・リップス Numb Lips 、半馬身差3着がドゥクドゥク Ducduc という結果。勝利調教師はサウル・マトス、勝利騎手はヘスス・リオスでした。

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1件の返信

  1. まとめteみた.【フィナーレを迎える春競馬】

    年初からずっと続いてきたアケダクト競馬場も、愈々最後のG戦を迎えました。ジェローム・ステークスJeromeS(G、3歳、8ハロン)。時期的にここからケンタッキー・ダービーは無理ですが、

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