ロイヤル・アスコット2012・千穐楽

早いもので、今年のロイヤル・アスコットもフィナーレを迎えました。天候はやや回復し、馬場状態は good 所により good to soft 。それでも渋い馬場には違いありませんが。
千穐楽のパターン・レースは2鞍ですが、注目は何と言ってもダイヤモンド・ジュビリーで英国に初めてお目見えする豪州の無敗馬、アスコットも歓迎ムード一色に包まれたようです。↓

http://gallery.sportinglife.com/Gallery_Detail/0,17732,13262_7837379,00.html

その前にハードウィック・ステークス Hardwicke S (GⅡ、4歳上、1マイル4ハロン)。去年のセントレジャー馬マスケッド・マーヴェル Masked Marvel が取り消して12頭立て。そのセントレジャーでアンラッキーな3着に終わったシー・ムーン Sea Moon が3対1の1番人気に支持されていました。

レースは出走馬中唯一の牝馬テスタステローン Testasterone の逃げで始まり、復活をかけるメンフィス・テネシー Memphis Tennessee が2番手で追走する展開。直線、馬群の中でジッと待機していたライアン・ムーア騎乗の本命シー・ムーンが外に出して仕掛けると、あとは独り舞台に。ゴールでは3番人気(9対2)の2着デュナデン Dunaden に3馬身4分の1差を付けていました。4分の3馬身差3着にはレッド・カドー Red Cadeaux が食い込み、2・3着は去年のメルボルン・カップの1・2着馬という結果。
シー・ムーンは、前走グッドウッドのリステッド戦(12ハロン)がシーズン・デビュー。勝つには勝ったものの2着に頭差の辛勝で、管理するサー・マイケル・スタウト師はその内容に失望していました。しかし今回の快走で期待も戻ってきたようです。ブックメーカーも直ぐに反応、凱旋門賞のオッズは一気に半減し、10対1が出されました。2着デュナデンには20対1。一方3着のレッド・カドーは、今年もメルボルン・カップに向かうようです。
シー・ムーンの次走は、当然ながら7月21日のキング・ジョージ。ディープブリランテにとっては手強い相手となるでしょう。

そして注目のダイヤモンド・ジュビリー・ステークス Diamond Jubilee S (GⅠ、3歳上、6ハロン)。1868年に創設された時はオール・エイジド・ステークスと呼ばれていましたが、1926年にコーク・アンド・オレリー・ステークスと改名。2002年、エリザベス女王の在位50年を記念してゴールデン・ジュビリー・ステークスと改めると同時にGⅠに昇格、そして今年からは女王の在位60年に因んでダイアモンドに四度改名されることになったのがこのレースの経緯です。
1頭取り消して14頭立てでしたが、冒頭に紹介したようにオーストラリアの6歳牝馬ブラック・キャヴィア Black Caviar が初の海外遠征、そのヴェールを脱ぐことが今ロイヤル・アスコットの最大の話題でもありました。
オーストラリアの競馬体系には詳しくないのですが、彼女は2009年から今年まで21戦し全勝。その内11勝はGⅠでのもので、距離は5ハロンから7ハロン(7ハロンは1戦のみ)までのスプリント。現時点ではフランケル Frankel に次いで世界第2位にランキングされている「怪物」です。ヨーロッパ馬との比較は極めて難しいのですが、ブラック・キャヴィアは2010年に、去年のキングズ・スタンド・ステークスでプロヒビット Prohibit に半馬身(同斤で)差で2着したスター・ウィットネス Star Witness を、それより7ポンド重い重量を背負って4馬身差で破った実績があります。この比較から考えてもブラック・キャヴィアが抜けた存在であることは間違いなさそう、1対6という一本被りの1番人気に支持されていました。

スタンドに最も近い15番枠スタートのブラック・キャヴィアは、先ず逃げるソウル Soul (同じくオーストラリア産、ゴドルフィンの馬)の3番手に付けます。残り2ハロン、勝負所と見て一気にスパートして数馬身のリードを取りますが、騎乗したルーク・ノレン騎手は何を勘違いしたのかゴール手前で馬を緩めてしまいます。
そこに襲い掛かってきたのがフランスの2頭、前走パレ・ロワイヤル賞に勝ったジャルネ騎乗のムーンライト・クラウド Moonlight Cloud と、グィヨン騎乗のレスティアダルジャン Restiadargent 。その気配に気付いたノレンが慌てて再度馬を追い出したのはゴールまで数歩の地点。写真判定の結果、辛うじてブラック・キャヴィアがムーンライト・クラウドを頭差抑えていました。首差でレスティアダルジャンが3着。4着に逃げたソウルが粘り、去年の勝馬ソサエティー・ロック Society Rock (上記スター・ウィットネスは3着)が5着の順。

ブラック・キャヴィアを調教するピーター・ムーディー調教師はノレン騎手を責めませんでしたが、負けていれば大変なスキャンダルになるところでしたね。これでブラック・キャヴィアは無敗の連勝記録を「22」に伸ばしました。実にフランケルの2倍、GⅠも12勝目となります。
最後でチャンピオンを追い詰めたフランス勢も手応えを感じたようで、ムーンライト・クラウドのフレディー・ヘッド師、レスティアダルジャンのアンリ=アレックス・パンタル師も共々、次走sドーヴィル(モーリス・ド・ギースト賞)でのGⅠ盗りを誓っていました。

ところで今年の開催リーディング争い、最終日の第5レース(デューク・オブ・エディンバラ・ハンデ)を制したジョン・ゴスデン調教師とウイリアム・ビュイック騎手が夫々5勝目を挙げ、文句なくリーディングを獲得しています。
様々な厩舎の馬に騎乗し、最終レースも勝ったライアン・ムーア騎手が土壇場で5勝目をマークしたのはさすがでした。

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1件の返信

  1. まとめtyaiました【ロイヤル・アスコット2012・千穐楽】

    早いもので、今年のロイヤル・アスコットもフィナーレを迎えました。天候はやや回復し、馬場状態は good 所により good to soft 。それでも渋い馬場には違いありませんが。千穐楽のパター

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