2012ジュライ・ミーティング2日目

昨日はニューマーケット・ジュライ・フェスティヴァルの二日目、馬場は相変わらず soft で、一日を通しても出走取消馬が多数出ていました。パータン・レースは2鞍、2歳の牝馬戦と古馬牝馬戦でしたが、対照的な結果となっています。

先ずは2歳馬のチェリー・ヒントン・ステークス Cherry Hinton S (GⅡ、2歳牝、6ハロン)、2頭が出走を取り消し、10頭立て。前日のジュライ・ステークス同様、ロイヤル・アスコットに出走したメンバーが5頭登場し、アスコットのレヴェルに関心が集まります。
即ちクィーン・メアリー・ステークスからは5着のジャダンナ Jadanna 、10着のスリーズ・グランド Threes Grand 、23着のマサーラー Masarah が、アルバニー・ステークスからは3着のプレミエ・ステップス Premier Steps が出走。更にチェシャム・ステークス3着のラヴリー・パス Lovely Pass が登場してきました。
しかし上位人気3頭はアスコット組ではなく、2対1の1番人気は2戦2勝のアイルランド馬センドマイラヴトゥーローズ Sendmylovetorose 。2番人気(4対1)も2戦無敗のシティー・イメージ City Image 、3番人気(6対1)も新馬勝ちしただけのモーリーン Maureen 。アスコット組はジャダンナ、ラヴリー・パス、プレミエ・ステップスの3頭が8対1の4番人気で並んでいました。

レースはゴドルフィンのラヴリー・パスと3番人気のモーリーンが出遅れ、伏兵マンディー・ライラ Mandy Layla がスタンド側のラチ沿いに逃げます。後方3番手辺りに待機していた本命センドマイトゥーローズが馬場のやや外目から鋭く抜け出し、出遅れながらも後方一気の瞬発力で追い込むモーリーンを首差抑えて期待に応えました。1馬身4分の1差3着にも人気の一角ジャダンナが入り、2番人気のシティー・イメージは6着敗退で初黒星。1・2着は際どい勝負で、出遅れたモーリーンはアンラッキーという印象です。

無敗の連勝記録を「3」に伸ばしたセンドマイラヴトゥーローズは、アイルランドのアンドリュー・オリヴァー厩舎、コーム・オダナヒュー騎乗。ロイヤル・アスコット(アルバニー・ステークス)ではゲートの下に潜り込んで発走除外になったあの馬ですね。そのあとグランジコン・スタッド・ステークス(GⅢ)に勝って健在を証明、G戦連勝でクラスも徐々に上げてきました。
ナヴァンの新馬、続くGⅢ戦も馬場は soft でしたから、重馬場を得意にする馬なのでしょう。しかしオリヴァー師によれば、重は克服しても必須条件ではないとのこと。良馬場での彼女のレース振りに注目です。来年の1000ギニーのオッズは25対1が出されましたが、2着惜敗のモーリーンには20対1。出遅れが無ければ逆転していた、というのが各ブックメーカーの見解のようです。

続いては開催に組まれている二つのGⅠ戦の一つ、ファルマス・ステークス Falmouth S (GⅠ、3歳上牝、1マイル)。セシル厩舎がチャチャマイデー Chachamaidee を取り消して10頭立て。何と言っても注目は、彼のアンドレ・ファーブル師が自身が手掛けた最高の競走馬と豪語するゴールデン・ライラック Golden Lilac の渡英。去年の仏2冠牝馬、今期もデビューのイスパハン賞(GⅠ)に快勝して10対11の被った1番人気に支持されていました。

2番枠スタートのゴールデン・ライラックはスタンドから遠いラチ沿いに先頭に立ち、レースを引っ張ります。しかし本命馬は重に脚を取られたのか行き足は鈍く、ペースもスロー。そのままズルズルと後退する展開に、2番手に付けていたデットーリ騎乗の伏兵(25対1、8番人気)エルーシヴ・ケイト Elusive Kate が先頭。本命馬をマークするように外ラチ後方を進んでいた4番人気(10対1)のジォフラ Giofra がこれに激しく競り掛け、最後の叩き合いを半馬身制しての逆転劇です。4分の3馬身差3着にもブービー人気(33対1)のシユーマ Siyouma が入る波乱でした。
大本命ゴールデン・ライラックは9着惨敗、2番人気(5対1)の3歳馬メイビー Maybe も5着、3番人気(8対1)ジョヴィアリティー Joviality は10着に終わっています。

上位3頭はいずれもフランスに縁のある馬。勝ったジォフラはアラン・ド・ロワイヤー=デュプレ厩舎、クリストフ・スミオン騎乗、2着のエルーシヴ・ケイトは吉田照也の所有馬、ジョン・ゴスデン師の管理馬ながら主にフランスで走ってきた馬ですし、3着シユーマもフランスのフランソワ・ドゥーメン厩舎の馬。フランス色満載のファルマスでした。
ジォフラは前走ガネー賞でシリュス・デ・ゼーグル Cirrus Des Aigles の2着していましたが、その前にはダルクール賞(GⅡ)を含め3連勝していた馬。またこれが今期デビューとなった3歳馬エルーシヴ・ケイトも、2歳最後のBCフィリーズ・ターフこそ8着だったものの、その前はマルセル・ブーサック賞(GⅠ)を含めて4連勝していた実力馬。明らかに人気の盲点だったと言えましょう。
ジォフラの次走はナッソー・ステークスとのことですが、凱旋門賞への挑戦も否定していません。

一方負けたゴールデン・ライラックのファーブル師、敗因には一応重馬場を上げましたが、“競馬って、こんなものでしょう”と達観? 5月のメアンドル Meandre (ジョッキー・クラブ・ステークス4着)に続く遠征での敗戦に、淡々としたコメントでした。

ところで昨日はヨーク競馬場でもパターン・レースが一鞍行われました。レース名とは裏腹なサマー・ステークス Summer S (GⅢ、3歳上牝、6ハロン)。ここも馬場は good to soft 、所により soft という湿った状態。1頭が取り消して11頭立てで行われました。

前走ロイヤル・アスコットのジャージー・ステークスで末脚鋭く2着に追い込んだセンタリル Sentaril が13対8の1番人気に支持されていましたが、何故かこの日は逃げて脚を失くし7着敗退。優勝はドイツから遠征してきた14対1(8番人気)グレシア・ディレクタ Gracia Directa 。半馬身差2着にもブービー人気(33対1)のスー・ライジング Sioux Rising が入る波乱。半馬身差3着も6番人気(11対1)のハレルヤ Hallelujah と、人気馬総崩れの結果となりました。

グレシア・ディレクタは、ハノーファーとハンブルクの中間に厩舎を構えるドミニク・モーザー師が管理する4歳牝馬。師にとっては初の海外遠征だそうで、ヨーク競馬場を熟知しているロバート・ウィンストンに騎乗依頼した由。
バーデン=バーデンの6ハロン戦、ホッペガルテンの5ハロン戦と連勝中で、師によれば馬の実力を試してみたかったために遠征に踏み切ったとのこと。レース前は食事も咽喉を通らないほど緊張していたそうで、馬には決して賭けて(bet)いないとコメントしていました。これに味を占めて、今後は管理馬をどんどん遠征させてくる気配も・・・。

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