ベルモントの秋開催が開幕

先週で所謂夏競馬は終了、今秋からアメリカ競馬は秋の装いです。それを象徴するように、ニューヨークではベルモント・パーク競馬場の秋開催がスタートしました。
9月8日から10月28日までのほぼ2か月ですが、今週のG戦はベルモントを含めて4場の5鞍、土曜日のみ。秋の大一番を前に比較的静かな週末です。

最初にペンシルヴァニア州のプレスク・アイル・ダウンズ競馬場から、プレスク・アイル・ダウンズ・マスターズ・ステークス Presque Isle Downs Masters S (GⅡ、3歳上牝、6.5ハロン)。雨の中のスタート、fast の馬場に1頭が取り消して11頭立てで行われました。3対5の断然1番人気は、今期GⅠに2連勝中のグルーピー・ドール Groupie Doll 。全米最強牝馬スプリンターを目指すスピード馬です。
スタート良く飛び出したのは2番人気(9対2)のイッツ・ミー・モム It’s Me Mom 。しかし前半中団から4コーナーでは早くも2番手に上がった本命グルーピー・ドールが危な気なく抜け出し、混戦の2着争いに3馬身4分の3差を付けて圧勝。写真判定の結果、2着は18対1のキッティー・インナ・ティッジー Kitty in a Tizzy が入り、首差で95対1の大穴サリー・サリー Sally Sally が3着。更に首差で逃げたイッツ・ミー・モムと続き、入着は荒れました。
ウイリアム・ブラッドリー厩舎、ラジーヴ・マラー騎乗のグルーピー・ドールは、4月にキーンランドのマディソン・ステークス(GⅠ)、5月にもチャーチル・ダウンズでフマーナ・ディスタッフ(GⅠ)を制してGⅠ2連勝。ディスタッフの後軽症で休養を取っていましたが、4ヶ月の休み明けもなんのその、ここは快速を活かしての貫録勝ちです。

続いてルイジアナ・ダウンズ競馬場の第33回スーパー・ダービー Super Derby (GⅡ、3歳、9ハロン)。馬場は fast 、9頭が顔を揃えました。8対5の1番人気に支持されたのは、前走スワップス・ステークス(GⅡ)を逃げ切ったブルースカイズンレインボウズ Blueskiesnrainbows 。アイル・ハヴ・アナザー I’ll Have Another と半馬身差の勝負をしたこともある馬で、ステークス連勝を狙います。
その本命ブルースカイズンレインボウズがスワップス同様逃げ切りを図りますが、ルイジアナ・ダービー馬ヒーロー・オブ・オーダー Hero of Order も絡んで楽な展開にはなりません。先行馬がいずれも脚を失くす中、スタートは最後方、徐々に順位を上げた2番人気(5対2)のバーボン・カレッジ Bourbon Courage が2番手で直線に入り、2着以下に5馬身の大差を付ける圧勝です。2着にはペルーのGⅠ馬で、これがアメリカでの2戦目となるフライ・レクシス・フライ Fly Lexis Fly が入り、マスター・ロック Master Rock がハナ差で3着、4着ラウジング・サーモン Rousing Sermon も首差の接戦でした。本命ブルースカイズンレインボウズは7着惨敗。
ケリン・ゴーダ―厩舎、レアンドロ・ゴンサルヴェス騎乗のバーボン・カレッジは、デビューから2連勝の後ダービー・トライアル(GⅢ)4着、ウッディー・スティーヴンス(GⅡ)5着、ウエスト・ヴァージニア・ダービー(GⅡ)2着と続けて、これがステークス初勝利となる3勝目です。

次にアーリントン・パーク競馬場から2歳戦を2鞍。いずれも当日記初登場の若駒ばかりで、馬名も目新しい馬が並びます。最初のアーリントン=ワシントン・フューチュリティー Arlington-Washington Futurity (GⅢ、2歳、8ハロン)は fast のポリトラック・コースに8頭立て。2戦2勝でローカル戦のステークスに勝ったマペット・マン Muppet Man が3対5の1番人気に支持されていました。
その本命マペット・マンが逃げましたが、5番手から3番手と徐々に進出した2番人気(2対1)のパターキー・キッド Pataky Kid が直線で抜け、先頭に立つと外に寄れる若さを見せながらも、マペット・マンに3馬身差を付けて快勝しました。更に1馬身差でストーミン・モナーチョ Stormin Monarcho が3着。
トーマス・プロクター厩舎、ギャレット・ゴメス騎乗のパターキー・キッドは、8月9日にここアーリントンのポリトラック・コースで初勝利を記録した馬。もちろんこれがステークス初勝利で、3戦2勝3着1回の成績となります。

更に混戦だったのが、牝馬版のアーリントン=ワシントン・ラッシー・ステークス Arlington -Washington Lassie S (GⅢ、2歳牝、8ハロン)。当初登録は出走枠最大の14頭でしたが、1頭が取り消して13頭立て。1番人気(5対2)に支持されたフライング・ラパンゼル Flying Rapunzel もアーリントンのデビュー戦に勝ったばかりという信頼度の低い本命馬でした。
人気もそうなら、結果も大混戦。直線半ばでユー・ボート・ハー You Bought Her が躓くように落馬。馬は自力で馬房に戻りましたが、投げ出されたフェルジ騎手は病院に運ばれるというアクシデント。これが審議になり、7着で入線したアメリカン・シュガー American Sugar の進路妨害が事故に繋がったとの裁決で、同馬が最下位に降着されています。
ゴール板では3頭が内外に離れて同時にゴール。写真判定の結果、優勝は外を通った10対1のゴールド・エッジ Gold Edge で、首差2着に中に挟まれたラ・ソング La Song 、ハナ差3着に最内のダンシングインザサークル Dancinginthecircle という結果。フライング・ラパンゼルは8着と期待を裏切りました。
ロン・ウィッギンス厩舎、クリストファー・エミー騎乗のゴールド・エッジは、6月24日にチャーチルダウンズでデビュー勝ち、8月4日にはアーリントンの一般ステークスにも勝って3戦3勝となります。無敗馬ですが、今回の勝ち方も微妙なもの。未だ混戦から抜け出したという印象はありません。

最後にベルモント・パーク競馬場。冒頭で紹介したように、秋のG戦シリーズ第一弾となるのがボウリング・グリーン・ハンデキャップ Bowling Green H (芝GⅡ、3歳上、10ハロン)です。登録は6頭でしたが、1頭はメインコースに変更された場合のみの登録。結局は good の馬場で行われ、芝登録の5頭が出走してきました。7対5の1番人気は、今期5戦して未勝利ながら徐々に調子を上げてきたエア・サポート Air Support です。
レースは最低人気(8対1)のボンバギーア Bombaguia の逃げで始まり、ブラジルから転戦したブルホ・デ・イェロス Brujo de Olleros が2番手に付ける展開。後続3頭は一団で進む中、ボンバギーアの逃げは快調。そのまま逃がしてはならじと、ジョン・ヴェラスケス騎乗の本命エア・サポートが直線で一歩づつ差を詰め、頭差で差し切ったところがゴール。逃げ馬と3着ブリリアント・スピード Brilliant Speed との差は7馬身4分の1離れていました。
エア・サポートを調教するのは、これが今年11勝目のG戦勝利となるクロード・マゴーヒー師。同馬はこれが今期初勝利となりますが、前走サラトガのアローワンスは3着。その前もユナイテッド・ネイションズ(芝GⅠ)で3着と、秋の大舞台BCターフに向けて順調に仕上げられている様子です。去年のヴァージニア・ダービー(芝GⅡ)馬、今年は最強芝ホースが目標でしょう。

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