ブリーダーズ・カップに向けて更に2頭
日曜日の競馬はヨーロッパだけじやありません。アメリカでもキーンランド競馬場で2鞍のG戦が行われましたから、遅まきながらレポートしておきましょう。
この2戦はいずれもブリーダーズ・カップに繋がるレース、勝った馬はどちらもBCに向かう意向を固めたようです。
最初はバーボン・ステークス Bourbon S (芝GⅢ、2歳、8.5ハロン)。前日行われたディクシアナ・ブリーダーズ・フューチュリティー(GⅠ)とダブル登録していた馬も多く、それに勝ったジョハ Joha を含めた2頭が出走を取り消して12頭が出走してきました。4対5の1番人気に支持されたバランス・ザ・ブックス Balance the Books もダブル登録の1頭で、GⅠをパスしてこちらに回っています。
レースは直線で先頭に立ちかけていたリアリー・シャープ Really Sharp がバランスを崩して他馬と接触して連鎖反応。多くの馬が被害を被り、当然ながら審議となる荒れた一戦。結局はハナ差で先頭でゴールしたリアリー・シャープが進路妨害で6着に降着し、ハナ差2着の本命バランス・ザ・ブックスが勝馬となりました。以下は繰り上がって、2馬身差で2着が2番人気(5対1)のブラウン・オールマイティー Brown Almighty 、3着は首差でサンノバサムライ Sonofasamurai 。勝馬は最後方2番手から、入着した馬たちもいずれも後方からの競馬でした。2番手を進んだリアリー・シャープがすんなり勝っていれば38対1という大穴でしたから、固い馬券を買っていたファンは胸を撫で下ろしたことでしょう。
チャド・ブラウン厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のバランス・ザ・ブックスは、出走馬中唯一のG戦勝馬。ウィズ・アンティシペイション・ステークス(芝GⅡ)に勝っており、その時2着のジョハが前日のGⅠを制したのですから、実力通りの結果でしょう。バランス・ザ・ブックはBCジュヴェナイル・ターフへの優先出走権を獲得、当然ながらサンタ・アニタに向かうでしょう。
ところで勝利騎手のジュリアン・ルパルー、去年のこのレースでは先頭を走っていながら馬がラチに激突、ラチ外に投げ出されてしまう事故に遭遇しました。去年10月10日の「バーボン・ステークスの珍事」という記事で紹介しています。今年もあわや進路妨害に巻き込まれる所でしたが、幸い外を通ったので被害は軽少。因縁の続くバーボン・ステークスです。
続いてはスピンスター・ステークス Spinster S (GⅠ、3歳上牝、9ハロン)。こちらはBCレディーズ・クラシックが対象です。3頭が取り消して10頭立て。2対1の1番人気に支持されたイン・ランジェリー In Lingerie が順当に勝ってBCの権利を獲得しました。
フアニータ Juanita の逃げを4番手の内でマークしたイン・ランジェリー、直線では巧く外に出しながら鋭く伸びて、2着ミスティカル・スター Mystical Star に2馬身差の横綱相撲です。3着は更に2馬身4分の1差でアッパーライン Upperline 。
トッド・プレッチャー厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のエリートであるイン・ランジェリーは、今年1月に初勝利を記録した3歳馬。5月にはブラック・アイド・スーザン・ステークス(GⅡ)に勝った他、CCAオークス(GⅠ)3着、アラバマ・ステークス(GⅠ)も2着と堅実な成績。4着以下はありません。ヴェラスケス騎手は未だ成長を続けていると自信を深めていますが、プレッチャー師は必ずしもレディーズ・クラシックに行くとは限らないと、更に手強いジャンルも暗示していました。
ところで日曜日はサラトガ競馬場でもG戦が行われる予定でしたが、ここ数日ニューヨークは天候が悪く、予定のG戦がいずれも芝コースのため、芝の馬場状態を確保するべく早々と1日の順延が決定しています。
従って予定通りに行けば、10月8日の月曜日にもG戦が行われることになりますね。
インランジェリーの半妹が来月日本でデビューするので、楽しみです。