アメリカ競馬、2017年の古馬戦線は?
新しい年の第2週、予定されているG戦は全て古馬が対象で、クラシック戦線は一時お休みです。1月14日の土曜日はフロリダで3鞍、カリフォルニアで1鞍のG戦が行われました。
先ずガルフストリーム・パーク競馬場で行われた3鞍から。マーシュアズ・リヴァー・ステークス Marshua’s River S (芝GⅢ、4歳上牝、8.5ハロン)は、firm の馬場に3頭が取り消して7頭立て。去年このレースを制したサンディーヴァ Sandiva が7対5の1番人気。去年の勝利以来4戦して勝鞍はありませんが、前走同じガルフストリームの一般ステークス(サウス・ビート・ステークス)で2着しての叩かれ良化が期待されていました。
レースは本命馬と同厩で2番人気(5対2)のイザベラ・シングス Isabella Sings がハナに立ち、向正面では一時後続に6馬身以上の差を付けての大逃げ。サンディーヴァは5番手まで下げて外目を追走していましたが、第3コーナーから仕掛け、2番手追走の4番人気(5対1)シー・コースト Sea Coast と共に一気に前との差を詰め、直線ではイザベラ・シングズを外から急襲。ゴールでは内を衝いたシー・コーストに半馬身差を付けて連覇達成です。逃げたイザベラ・シングスがハナ差で3着。
勝馬と3着馬は共にトッド・プレッチャー厩舎で、勝馬はハヴィエル・カステラノ騎乗でアル・シャカブの所有する6歳馬。去年のこのレースを制した後は、何れもガルフストリームのロイヤル・デルタ・ステークス(GⅡ)2着、ハネー・フォックス・ステークス(GⅡ)3着と入着し、夏のサラトガではダイアナ・ステークス(GⅠ)で9着敗退、暫く休んで12月に前走で2着していました。2歳時にはフランス、3歳時にもイギリスでG戦に勝っており、アメリカでは2015年にもガルフストリームでスワニー・リヴァー・ステークス(GⅢ)を制しており、通算でG戦は5勝目。3着だったイザベラ・シングスと共に今春引退して繁殖に上がり、初年度はアル・シャカブの種馬ムシャウィシュ Mshawish との配合が決まっていますが、プレッチャー師は引退前にもう一戦使いたいとコメントしていました。
一方、同じ条件で行われる牡馬のためのフォート・ローダーデール・ステークス Fort Lauderdale S (芝GⅡ、4歳上、8.5ハロン)は12頭立て、古馬の芝戦線は有力馬(フリントシャー Flintshire やトゥーリスト Tourist など)たちが何頭も引退したこともあって、混戦が予想されます。そんな中、去年5月にターフ・クラシックを制したGⅠ馬のディヴィジデロ Divisidero が、去年6月のマンハッタン・ステークス(芝GⅠ)5着以来の休み明けながら5対2の1番人気。
去年のこのレースの覇者で2番人気(3対1)のハート・トゥー・ハート Heart to Heart が逃げましたが、後方2番手で待機していた7番人気(15対1)の伏兵フラットラインド Flatlined が直線で外に出すと、前の馬を一気に捉え、これも8番手から追い込んだ6番人気(11対1)のアルマナー Almanaar を首差抑える波乱となりました。人気のディヴィジデロも後方3番手から連れて追い込みましたが、4分の3馬身差及ばず3着惜敗。逃げたハート・トゥー・ハートは4着で2連覇ならず。
チャールズ・ディッキー厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のフラットラインドは、これがG戦初勝利となる5歳せん馬。奥手タイプのフラッター Flatter 産駒らしく2歳時は見出走で、漸く5戦目にガルフストリームで未勝利を脱し、ここまでG戦は二度挑戦するも6・8着とクラスの壁に阻まれてきました。ステークスはケンタッキー・ダウンズの一般ステークス(オールド・フレンズ・ステークス)に勝ったことがあり、前走は去年12月、ガルフストリームの一般ステークス(エル・プラード・ステークス)2着で晩成型をアピールしていた馬です。これからの1頭でしょう。
フロリダの最後はメイン・コースのハルズ・ホープ・ステークス Hal’s Hope S (GⅢ、4歳上、8ハロン)。去年の勝馬は、マーシュアズ・リヴァーでも話題になったムシャウィシュです。fast の馬場に9頭が出走し、去年の2月にガルフストリームでフレッド・W・フーバー・ステークス(GⅢ)に勝っているトミー・マチョ Tommy Macho が5対2の1番人気。
7番人気(11対1)ドルフス Dolphs の逃げを5番手で待機したトミー・マチョ、2番手追走から抜け出した2番人気(5対1)バード・ソング Bird Song を外から捉えると、5馬身4分の3の大差を付けて堂々人気に応えました。4番手を進んだ4番人気(5対1)のレルム Realm が1馬身半差の3着。
マーシュアズ・リヴァーに続いてトッド・プレッチャー厩舎、こちらはルイス・サエズ騎乗のトミー・マチョは、これが三つ目のG戦勝利。一昨年11月にはアケダクトでディスカヴァリー・ハンデ(GⅢ)も制していました。フーバー勝ちのあと脚部を手術し、10月に復帰してケルソ・ハンデ(GⅡ)が5着、前走ローレルの一般ステークス(リチャード・スモール・ステークス)4着と続き、休み明け3戦目での快勝です。
カリフォルニアのサンタ・アニタ競馬場からはラ・カニャーダ・ステークス La Canada S (GⅡ、4歳上牝、8.5ハロン)一鞍。未だ先週来の雨の影響が残って馬場は good 、5頭立てとなり、前走バヤコア・ハンデ(GⅡ)を制したヴェール・ドーリ Vale Dori が1対5の断然1番人気。出走馬中4頭がバヤコアに参戦していましたから当然の人気でしょう。
バヤコアでは2番手に控えたヴェール・ドーリ、今回はスタートからハナを奪って後続を寄せ付けず、4番手から追い込んだ4番人気(13対1)のショウ・スティーラー Show Stealer (バヤコアは4着)に2馬身半差を付けて期待通りの決着です。最後方から最低人気(20対1)のオータム・フラワー Autumn Flower (バヤコアは6着)が追い込んで、7馬身半差の3着に入り、ヴェール・ドーリを追走した2・3番人気は共に後半バテてしまいました。
ボブ・バファート厩舎、マイク・スミス騎乗のヴェール・ドーリは、2年越しでGⅡ戦2連勝、その前のアローワンス戦からは3連勝となりました。プロフィールは12月3日のバヤコアで紹介したように、アルゼンチンのGⅠ馬で、アメリカでは6戦4勝2着1回3着1回と掲示板を外していません。
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