トゥワイライト・エクリプス、シーマ・クラシックへ

来週の月曜日がプレジデンツ・デイの祝日で3連休となるアメリカ、今週はG戦が3日連続で組まれています。その初日、土曜日は4つの競馬場で合計5鞍のG戦が行われる予定でしたが、東京と同じくアメリカ東海岸は大雪。ローレル競馬場で組まれていたバーバラ・フリッチー・ハンデキャップは22日に順延となりました。ニューヨーク州のアケダクト競馬場も同じく22日に延期、こちらはG戦は組まれていませんでしたから、今のところニューヨークのグレード路線に変更はありません。

最初は南国フロリダのガルフストリーム・パーク競馬場から行きましょう。古馬による芝の長距離戦が2鞍で、先ずは牝馬のためのザ・ヴェリー・ワン・ステークス The Very One S (芝GⅢ、4歳上牝、11ハロン)。馬場は firm 、8頭が登録してきましたが、有力馬の一角アンジャズ Anjaz がゲート内で暴れて負傷、結局取り消しとなり7頭立てで行われました。8対5の1番人気に支持されたのは、去年の秋にフランス(ヘッド厩舎)からアメリカに転厩してきたプレファレンシャル Preferential 。フランスでのG勝ちは無く、転じてからは前走10がにキーンランドの芝コース一般ステークスでアメリカ初勝利を飾っています。
レースはブラジルのGⅠ馬ヴィヴァ・ラファエラ Viva Rafaela がハナに立ってスローペースに落とします。ゆるりとスタートしたプレファレンシャルは後方2番手からの競馬。しかしペースが遅かったためか本命馬の末脚は切れず、3番手に付けていたブービー人気(10対1)のイニミタブル・ロマネー Inimitable Romanee が外から先行2頭に並び掛けながら直線に入り、これをマークして追い上げる2番人気(5対2)のエーグ・マリーン Aigue Marine を1馬身抑えての快勝。首差でヴィヴァ・ラファエラが3着に粘り、プレファレンシャルは5着に終わりました。
グレアム・モーション厩舎、アラン・ガルシア騎乗のイニミタブル・ロマネーは、前走11月のロング・アイランド・ハンデ(芝GⅢ)も最低人気で逃げ切って波乱を演出した6歳馬。これが通算でも4勝目で、G戦連勝となる遅咲きの芦毛牝馬です。そもそもイギリスでデビュー、彼の地では3戦1勝でした。ロング・アイランド・ハンデでは今回2着のエーグ・マリーンが1番人気で6着、またその時3着だったレフト・ア・メッセージ Left a Message が今回は3番人気(7対2)で4着と、勝馬の成長を証明するような結果になっています。

続いては牡馬による同じコースのマック・ダイアルミダ・ステークス Mac Diarmida S (芝GⅡ、4歳上、11ハロン)。こちらも1頭が取り消して9頭立て。去年3月にここガルフストリームのパン・アメリカン・ハンデ(芝GⅠ)で12ハロンの世界記録を樹立したトゥワイライト・エクリプス Twilight Eclipse が7対5の1番人気に支持されていました。
先手を奪ったのはトラヴァース・ステークス、ウッドワード勝馬のアルファ Alpha 、トゥワイライト・エクリプスは3番手で機を窺います。3~4コーナーの中間点辺りで外から先頭に並び掛けた本命馬、直線でも中団から追い込む4番人気(6対1)エーメン・キッテン Amen Kitten に1馬身差を付け、見事期待に応えました。首差で2番人気(2対1)のスランバー Slumber が3着。今回が芝コース・デビューとなったアルファは粘ったものの5着に終わっています。
トーマス・アルベルトラーニ厩舎、ホセ・レズカノ騎乗のトゥワイライト・エクリプスは、去年のこのレースでは4着だった5歳せん馬。世界レコードの激走のあとはマンノ・ウォー(芝GⅠ)2着、ソード・ダンサー(芝GⅠ)2着、BCターフでは6着と勝ち運に恵まれませんでしたが、前走カルダーのマックナイト・ハンデ(雨のため芝からダートに変更となり、Gも消滅)で久し振りの勝利(2連覇)を挙げていました。陣営はこの勝利によりドバイ遠征を示唆、ワールド・カップと同じ日に組まれているシーマ・クラシックが目標で、もちろんジェンティルドンナとの対決が楽しみになってきました。

ここで西海岸、カリフォルニアに飛んで先に南カリフォルニアのサンタ・アニタ競馬場で行われたサンタ・マリア・ステークス Santa Maria S (GⅡ、4歳上牝、8.5ハロン)から。出れば中心になると思われたフィフティーシェイズオブヘイ Fiftyshadesofhay が取り消して6頭立て。馬場は fast 。人気は割れ、同じ2対1で2頭が並びましたが、僅かの差で1番人気は前走ラ・カニャーダ(GⅡ)で3着のオンディーヌ Ondine 、2番人気が前走サンタ・モニカ(GⅡ)2着のアイオタパ Iotapa 。どちらが勝ってもG戦初勝利となります。
ハナを叩いたのは何とアイオタパ、これまで待機策を取ってきた彼女にとっては初体験となる逃げ作戦です。ところがこれが気持ちをフレッシュにさせたのか、絡む伏兵(27対1)ヤヒルワ Yahilwa を振り切ると、4番手から追い込む3番人気(5対2)のレット・フェイス・アライズ Let Faith Arise を1馬身4分の3差抑えてG戦初勝利。更に1馬身4分の3差で後方からスタンウィック Stanwyck が3着に追い込みました。オンディーヌは3番手追走も伸びず5着敗退。
ジョン・サドラー厩舎、ジョセフ・タラモ騎乗のアイオタパは、G戦初勝利と言ってもこれまでG戦で4回入着してきた実に堅実な4歳馬。3歳時にはサンタ・アニタ・オークスとハリウッド・オークスという二つのGⅠ戦で共に2着している実力馬でもあります。8戦4勝2着3回3着1回と一度も掲示板を外したことは無く、丁度一か月後に控えたサンタ・マルガリータ・ステークスで念願のGⅠ制覇を目指します。

最後は、サンタ・アニタの15分後に行われた北カリフォルニアのゴールデン・ゲート・フィールズ競馬場からエル・カミノ・リアル・ダービー El Camino Real Derby (GⅢ、3歳、9ハロン)。ダービーへのポイント対象レースで、1着から4着馬までには夫々10-4-2-1ポイントが加算されます。8頭立て、GⅠ馬が出走して来たにも拘わらず、それを抑えて6対5の1番人気に支持されたのはG戦未勝利のエンタープライジング Enterprising 、前走カリフォルニア・ダービーの2着馬で、鞍上ゲーリー・スティーヴンス人気も手伝っていたのかも知れません。
完璧なスタートを切ったエンタープライジング、外からハナを主張するアイル・ラップ・イット・アップ I’ll Wrap It Up の2番手に控え、直線入口では先頭に立つ理想的な流れ。しかし直線に向くと思ったほどは伸びず、外から来た3番人気(7対2)ダンス・ウィズ・フェイト Dance With Fate に並ばれると付いて行けずあっさりと後退。更に外から追い込んだのが、前半は最後方に控えていた2番人気(2対1)のGⅠ馬タマランド Tamarando 。前を捉えるのにやや手古摺ったようにも見えましたが、ゴールではキッチリ半馬身差を付けて貫録を見せ付けました。2馬身4分の1差3着に本命のエンタープライジング。
ジェリー・ホーレンドルファー厩舎、ラッセル・ベイズ騎乗のタマランドは、2歳時にデル・マー・フューチュリティー(GⅠ)を制した馬。これで10戦4勝とキャリアが多過ぎるのが難点でしょうが、全てのレースで掲示板に載っている堅実味が身上とも言えましょう。前走1月25日の一般ステークス(カリフォルニア・カップ・ダービー)でも2着でした。ホーレンドルファー師はこのレース33回の歴史で6勝目、ベイズ騎手も何と9勝目(ホーレンドルファー厩舎の馬では5勝)という相性の良さで、勝たれて見れば当然の帰結だったと言えるでしょう。

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