ミズディレクション、距離も克服

アメリカは昨日プレジデンツ・デイの休日、ということで3つの競馬場で夫々一鞍づつのG戦が行われています。

最初はメリーランド州のローレル・パーク競馬場から行きましょう。ジェネラル・ジョージ・ハンデキャップ General George H (GⅢ、3歳上、7ハロン)、去年まではGⅡでしたが、今年はまたGⅢに逆戻りした一戦です。馬場は fast 、2頭が取り消して6頭が出走。カリフォルニアからバファート厩舎が送り込んできたブリガンド Brigand が6対5の1番人気に支持されていました。
スタートして間もなく3番人気(4対1)のアソシエイト Associate が躓くようにして落馬、これがレース後に審議の対象となります。先手を取ったのは2番人気(2対1)のイル・ヴィラーノ Il Vilano 、本命ブリガンドは後手に回ったか4番手の追走。直線、粘るイル・ヴィラーノを外から捉えたのは2番手を追走した5番人気(6対1)のジャヴェール Javerre 。漸くエンジンが掛かって外から追い上げるブリガンドを1馬身4分の1差抑えての優勝です。更に1馬身半差でイル・ヴィラーノが3着に粘りました。
直ぐに審議のサインが灯り、何度もパトロール・フィルムで検証が行われた結果、スタート後のアクシデントはイラッド・オルティス騎乗のブリガンドが急に外に寄れたのが原因との結論。2着で入線したブリガンドが5着に降着となり、3着イル・ヴィラーノが2着に、4着入線のブロード・ルール Broad Rule が3着に繰り上がって確定しました。
ジャヴェールは通算成績を9戦5勝2着2回3着2回(4着以下無し)とし、ステークスは2勝目、G戦は初勝利となります。G戦は管理するケーサル・リンチ調教師にとっても記念すべき初勝利となりました。また騎乗したJ・D・アコスタは同馬には初騎乗。なお、落馬したアソシエイトとエリック・ロドリゲス騎手は人馬共に無事。馬は他馬の跡を追走し、騎手は直ぐに徒歩で検量室に向かっています。

続いてはアーカンソー州のオークローン・パーク競馬場からサウスウエスト・ステークス Southwest S (GⅢ、3歳、8.5ハロン)。ケンタッキー・ダービーへのポイントが加算される一戦で、同競馬場ではレベル・ステークス(GⅡ)、アーカンソー・ステークス(GⅠ)とで3冠を形成するレースでもあります。
終日雨が降り続き、スタートの30分前に漸く雨が止みましたが馬場は sloppy 。ダート・コースは水が浮く状態でしたが、取り消しは無く予定された10頭が出走。去年のアーカンソー3冠を総なめしたボブ・バファート厩舎が送り込むスーパー・ナインティー・ナイン Super Ninety Nine がイーヴンの1番人気に支持されていました。
こんな馬場では明らかに先に行った馬が有利、ラファエル・ベハラノ騎乗の本命スーパー・ナインティー・ナインは6番枠からダッシュ良く先手を奪うと、馬場に苦しむ後続馬を全く問題とせず、2着以下に11馬身4分の1の大差を付ける独り舞台を演じました。2着は22対1のフェアー・ザ・キッテン Fear the Kitten 、2馬身4分の1差3着にも50対1のヘヴンズ・ランウェイ Heaven’s Runway 。トライアルのスマーティー・ジョーンズ・ステークスの上位馬は全て掲示板にも載れず、2着以下は大波乱です。
10ポイントを獲得してダービー候補に浮上したスーパー・ナインティー・ナイン、陣営では2歳時から期待の大きかった1頭で、昨秋のBCジュヴェナイル・スプリントでは、レース前夜に馬房で負傷して出走が叶わなかった馬。その後ハリウッド・プレヴュー・ステークス(GⅢ)で同厩のリアリー・ミスター・グリーリー Really Mr Greely の2着し、1月31日にサンタ・アニタのクレーミング戦では2着以下に3馬身4分の3差を付けて圧勝し、その能力の高さを証明していました。

最後はサンタ・アニタ競馬場のブエナ・ヴィスタ・ステークス Buena Vista S (芝GⅡ、4歳上牝、8ハロン)。firm の馬場に8頭が出走してきましたが、話題と言うか興味は一点、芝コースの牝馬短距離界の女王で去年のBCターフ・スプリントの覇者ミズディレクション Mizdirection が1マイルの距離を克服できるかに掛かっていました。人気も集中し、同馬が3対5の断然1番人気。
スタートは一番ではありませんでしたが、直ぐに先頭に立ったミズディレクション、最後まで後続に付け入る隙を見せずに逃げ切り勝ち。僅かに囁かれていた距離不安も全くの杞憂に帰しました。2着は2馬身4分の1差でブラジル産のイン・ザ・スターズ In the Stars 、3着に1馬身4分の1差で英国産馬バイラーマ Byrama の順。
マイク・パイプ厩舎、マイク・スミス騎乗のミズディレクションは、これで14戦9勝2着4回3着1回とほぼパーフェクトな戦績。今年も前走モンロヴィア・ステークス2連覇で始動し、今年も芝の短距離界のトップ・スターであり続けるでしょう。実は1マイルは2011年に初めてステークスを制した時にも経験しており、今回が2勝目。以後スプリント戦を中心に活躍し、サンタ・アニタの芝コースでは7戦7勝と無敵の存在なのですね。

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