アケダクト、シーズン最後のG戦

12月第1週のアメリカ競馬、長かったニューヨーク州の競馬シーンも、シーズン最後のG戦を迎えました。

12月2日にアケダクト競馬場で行われたG戦は4鞍。ダートコースは fast で、最初のゴー・フォー・ワンド・ハンデキャップ Go for Wand H (GⅢ、3歳上牝、8ハロン)は7頭立て。去年のBCジュヴェナイル・フィリーズの5着馬で、アローワンス戦に連勝中のジェイミソン・ジンジャー Jamyson’n Ginger が8対5の1番人気。
6番人気(12対1)のインダルジェント Indulgent が逃げ、一旦は4番人気(6対1)のルーシー・エヌ・エセル Lucy N Ethel に絡まれて2番手に下げたものの、第4コーナーで外から再び先頭を奪い返し、3番手を進んだ去年の勝馬で2番人気(5対2)のハイウェイ・スター Highway Star に1馬身差を付けて事実上の逃げ切り勝ち。4番手を進んだ3番人気(3対1)のヴァーヴズ・テイル Verve’s Tale が半馬身差で3着に入り、終始後方で待機したジェイミソン・ジンジャーは伸びを欠き、7着最下位敗退に終わりました。
キアラン・マクローリン厩舎、ルイス・サエズ騎乗、ゴドルフィンが所有するインダルジェントは、これがG戦初勝利となる4歳馬。ステークス挑戦は6連敗中でしたが、距離が1マイルに伸びたのが好結果に繋がったようです。G戦初挑戦となったアケダクトのディスタッフ・ハンデ(GⅢ)こそハイウェイ・スターの2着でしたが、初めて1マイルに挑戦した5月のラフィアン・ステークス(G)では5着と結果が出ず、前走アケダクトの一般ステークス(パンプキン・パイ・ステークス)2着からの1マイル再挑戦でした。半兄にはメトロポリタン・ハンデとホイットニー・ハンデを制したGⅠ馬フロステッド Frosted がおり、陣営が判断したように1マイルが適距離と言えそうですが、このレースを最後に引退するという噂も伝わってきました。

土曜日には来年に向けた2歳馬のG戦が2鞍組まれており、共に来年のケンタッキー・オークスとダービーに向けてのポイント(10-4-2-1)対象レースでもあります。最初に行われた牝馬によるドモワゼル・ステークス Demoiselle S (GⅡ、2歳牝、9ハロン)は8頭立て。ここまでカナダで3戦してきたワンダー・ガドー Wonder Gadot が8対5の1番人気。
1番枠発走の2番人気(2対1)デイジー Daisy が逃げましたが、これを2番手でマークしたワンダー・ガドーが馬なりのまま第4コーナーで外からこれを捉えると、4番手から追い込む3番人気(5対1)のモーラー・パワー Maurer Power に3馬身4分の1差を付けて見事人気に応えました。後方2番手から追い込んだ6番人気(10対1)のライラ・ヌーア Layla Noor が更に3馬身差で3着。
マーク・カッセ厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のワンダー・ガドーは、ウッドバインの芝コースで2着に4馬身差を付けてデビュー勝ち。続けて芝のナタルマ・ステークス(芝GⅠ)に挑戦して3着に入った後、タペタ・コースのマザリン・ステークス(GⅢ)に6馬身差で圧勝。前走はアメリカでの初レース、BCジュヴェナイル・フィリーズでは6着に終わりましたが、不利が無ければ3着はあったという内容。それを証明するように、ここではBC挑戦の能力を発揮してのアメリカ初勝利となりました。

続いては牡馬の2歳戦、レムゼン・ステークス Remsen S (GⅡ、2歳、9ハロン)。10頭が揃い、前走アケダクトでナシュア・ステークス(GⅡ)を制したエイヴリー・アイランド Avery Island が2対1の1番人気。
ここも1番枠発走、8番人気(19対1)のバンディート Bandito が逃げましたが、第3コーナーでは2番手でマークしていた最低人気(166対1)のミリオネア・ランナー Millionaire Runner が先頭、更に第4コーナーでは3番手に付けていた5番人気(11対1)のヴァウチ Vouch が外から前を捉えて直線。それも束の間、直線に向くと5番手に付けていた3番人気(4対1)のカソリック・ボーイ Catholic Boy が抜け出し、4番手から更に外を追い込む本命エイヴリー・アイランドを4馬身4分の3差切って捨てての楽勝となりました。 一旦は先頭に立ったヴァウチが1馬身4分の3差の3着。
ジョナサン・トーマス厩舎、マヌエル・フランコ騎乗のカソリック・ボーイは、前走BCジュヴェナイル・ターフの4着馬で、その前には夏のサラトガでウイズ・アンティシペイション・ステークス(芝GⅢ)を制していました。その前のデビュー勝ちもガルフストリームの芝コースでのもので、ここは初めてのダートでしたが、陣営は馬の成長力が大きいことから、ここでダートを経験させてみた由。ケンタッキー・ダービーも視野に入って来たと言えそうです。

土曜日の最後は、今年ニューヨークで行われる最後のGⅠ戦でもあるシガー・マイル・ハンデキャップ Cigar Mile H (GⅠ、3歳上、8ハロン)。最後のGⅠ戦を目指して10頭が参戦し、ここまで3度トライしたGⅠ戦で全て2着だったシャープ・アズテカ Sharp Azteca が8対5の1番人気。前走BCダート・マイル2着から念願のGⅠ戦初制覇を狙います。
逃げたのは3番人気(4対1)のシーモルディーニ Seymourdini でしたが、3番手で機を窺っていた本命シャープ・アズテカが第4コーナーで外から前2頭を捉えると、5番手から追い込む4番人気(7対1)のマインド・ユア・ビスケッツ Mind Your Biscuits に5馬身4分の1の大差を付けて満願成就です。最後方から追い上げた2番人気(5対2)のプラクティカル・ジョーク Practical Joke が2馬身4分の3差で3着に食い込みました。
ホルヘ・ナヴァロ厩舎、今回が初めてのコンビとなるハヴィエル・カステラノ騎乗のシャープ・アズテカは、去年5月チャーチル・ダウンズのパット・デイ・マイル(GⅢ)がG戦初勝利。今年は2月にガルフストリーム・パーク・ハンデ(GⅡ)、7月にはモンマスのモンマス・カップ・ステークス(GⅢ)と9月ベルモントのケルソ・ハンデ(GⅡ)と連勝し、前走BCダート・マイルで2着。この間、去年12月のマリブー・ステークス、今年6月のメトロポリタン・ハンデと参戦したGⅠ戦は全て2着で来ていました。当面は、来年1月のペガサス・ワールド・カップ・インヴィテーショナル(GⅠ)が目標になるようです。

 

 

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