キャメロットの復帰戦

月曜日、アイルランドのカラー競馬場でG戦2鞍が行われました。5月6日はアイルランドも祝日で、5月のバンク・ホリデーなんだそうであります。日本の様に大型連休じゃなさそうですけど。

で、最初はムーアスブリッジ・ステークス Mooresbridge S (GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン)。馬場は複雑で、直線コースは yielding で所により soft 。一方カーヴのあるコースは good to yielding の発表。1マイル2ハロン戦はコーナーを回って直線に入るコースですから、比較的良いコースからより重いコースに向かう、ということでしょう。
出走馬は5頭、大注目は去年惜しくも三冠馬のタイトルを逃したキャメロット Camelot が帰ってきたことでしょう。3歳最終戦の凱旋門賞では7着と期待を裏切り、その後疝痛が発覚。冬場に大手術を行い、数か月をクールモアに戻って療養に充てていました。暫くぶりに厩舎に戻って調教を再開しましたが、オブライエン師も“ここは勝てる”とは言い切れませんでした。

それでもチャンピオンの復帰戦、相手が問題になりますが、ボルジャー厩舎のパリッシュ・ホール Parish Hall が参戦してきたことで、断然競馬に厚みが加わってきました。こちらは一昨年のデューハースト・ステークスに勝った後調子を崩し、結局は3歳シーズンを棒に振って現役復帰したのは先月のこと。復帰戦のリステッド(アレッジド・ステークス)に勝って久し振りのG戦となります。
ということで、キャメロットが1対3の圧倒的本命、パリッシュ・ホールが5対2の2番人気で続きます。

レースはキャメロットのペースメーカーを務めるトリオンファント Triumphant が後続を6馬身離しての大逃げ。いつものようにジョセフ・オブライエン騎乗のキャメロットは最後方に控え、ケヴィン・マニング鞍上のパリッシュ・ホールは3番手追走。
直線には4番手で入ったキャメロット、残り300メートルから手が動き、最後の1ハロンで先頭。後はムチを使うことなく、ペースメーカーのトリオンファントに1馬身4分の3差で復帰戦を飾りました。パリッシュ・ホールも追い上げましたが、頭差逃げ馬を捉え切れず3着まで。こちらはやや失望の結果に終わっています。

騎乗したジョセフによれば、今日のキャメロットは70%とのコメント。陣営は一安心で、このあとはトトソルズ・ゴールド・カップ、ロイヤル・アスコットのプリンス・オブ・ウェールズ・ステークスが視野。去年は1マイル半を中心に活躍しましたが、オブライエン師は、本来はスピード・タイプと見ているようです。あるいは2000メートル戦に標準を絞ってくるかも。それでも凱旋門賞は復帰前と同じ14対1と変わっていません。

もう一鞍は、クラシックのトライアルとしての意義も備えたアサシ・ステークス Athasi s (GⅢ、3歳上牝、7ハロン)。古馬にも出走権がありますが、愛1000ギニーを目指す馬にとっても前哨戦。8頭が出走し、3歳馬6頭、4歳馬2頭というメンバーです。
イーヴンの1番人気は、3歳のヴィズトリア Viztoria 。去年は2連勝で渡仏し、クリテリウム・ド・メゾン=ラフィットで2着した馬。一方古馬では、去年のフレッド・ダーリング勝馬で1000ギニー惨敗(15着)に終わったムーンストーン・マジック Moonstone Magic がギニー以来の久々の復帰戦としてイギリスから遠征してきました。これが5対2で2番人気。

レースはカプレラ Caprella が逃げ、ヴィズトリアは最後方、ムーンストーン・マジックは4番手追走。レース半ばで6番手に上がったヴィズトリア、そこから進路を右(スタンドから遠い側)に回して仕掛けると、2番手で粘る3番人気(10対1)のバネアギード Bunairgead を1馬身捉えて期待に応えました。更に1馬身4分の3差でムーンストーン・マジックは3着。
ヴィズトリアはエディー・ライナム厩舎、ジョニー・ムルタ騎乗。ライナム師によれば、この日は3つの問題に応えるつもりだった由。それは、①順調に冬を越したか ②7ハロンを克服できるか ③クラシックに向かう器か で、いずれもクリアーしたことになりましょう。

ところでこの日はもう一鞍、リステッドながらクラシックの前哨戦であるテトラーク・ステークス Tetrarch S (リステッド、3歳、7ハロン)も行われました。
6頭立て、1番人気はチーム・オブライエンのフォーシティー Forcity でしたが、優勝はポール・ディーガン厩舎、クリス・ヘイズ騎乗のスルサン Surthan という馬。フォーシティーは2馬身半差の2着に終わっています。
これで2戦2勝となるスルサンですが、気性に問題があって、せん馬となる手術を受けたばかり。クラシックには出走できません。ロイヤル・アスコットのジャージー・ステークスに向かう由。

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