短距離王
ヨーク競馬場の三日目もG戦は2鞍、ステイヤーとスプリンターという専門化したジャンルの2レースが組まれていました。前の晩に雨が降ったため固い個所が消えたコース、公式発表は good 前日と同じで行われています。
先ずは長距離のロンスデール・カップ Lonsdale Cup (GⅡ、3歳上、2マイル88ヤード)。1頭が取り消して7頭立て。長距離部門は安定性のある本命馬不在ということもあり、2対1の1番人気にはG戦未勝利ながら前走レパーズタウンのリステッド戦に勝って参戦したペール・ミモザ Pale Mimosa が支持されていました。デルモット・ウェルド師が態々英国に遠征するには勝算あってのこと。前日の段階では馬場が同馬にはやや速過ぎるのではという懸念もありましたが、上記の様に雨にも恵まれての1番人気でした。
レースはフォーゴットゥン・ヴォイス Forgotten Voice が逃げ、予定通り先行したペール・ミモザが抜けると、後方から追い込む3番人気(9対2)でエリザベス女王のエスティメイト Estimate を半馬身抑えての優勝。牝馬のワン・ツー・フィニッシュとなりました。4番人気(10対1)のタイムズ・アップ Times Up が2馬身4分の1差で3着に入り、2番人気(9対4)で前走グッドウッド・カップ(GⅡ)を制したカヴァリーマン Cavalryman は4着まで。
パット・スマーレンが騎乗したペール・ミモザは、ジングシュピール Singspiel 産駒の5歳牝馬で、これが今期3戦目。3歳時にもヨークでリステッド戦に勝っており、通算でも10戦5勝と酷使を避けてきました。未だ底を見せたとは言えず、この秋はメルボルン・カップ遠征も視野に入れているようです。
一方短距離戦は、2歳馬にも出走権があるナンソープ・ステークス Nunthorpe S (GⅠ、2歳上、5ハロン)。今年は前日ラウザーを制したティッギー・ウィッギー Tiggy Wiggy が挑戦するのではという噂もありましたが、結局2歳の出走は無く、2頭が取り消して13頭立て。前走キングス・スタンド・ステークス(GⅠ)を制した7歳馬のソール・パワー Sole Power が11対4の1番人気。
テイク・カヴァー Take Cover 、ステッパー・ポイント Stepper Point 、アステア Astaire の3頭がハナを争うハイ・ペース。ソール・パワーは多頭数で前が開くか、どのタイミングで抜けるかが勝敗のポイントでしたが、鞍上リチャード・ヒューズの絶妙な判断と決断もあり、右に進路を取って馬群を縫うと、鮮やかに抜け出してステッパー・ポイント(20対1、11番人気)を半馬身捉えての快勝。短頭差で10番人気(14対1)のエクストーショニスト Extortionist が3着。
エディー・ライナム厩舎、パワー・グループが所有するソール・パワーは、これで今季はパレス・ハウス・ステークス(GⅢ)から3連勝。ナンソープ・ステークスは4年前、3歳時にも勝っており、キングズ・スタンドと共に2度制覇という快挙になりました。英国の短距離GⅠのうち二つのレースを二度勝ったのですから、歴史に残る短距離王と言えるでしょう。馬場が良ければロンシャンのアベイ・ド・ロンシャン賞(GⅠ)に向かいますが、そのあとは香港も控えているので無理はしない、というスタンスです。
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