噂のオークス候補

昨日は水曜日にも拘わらず、英愛仏でパターン・レースが行われています。
最初はフランスから、サン=クルー競馬場で行われたクレオパトラ賞 Prix Cleopatre (GⅢ、3歳牝、2100メートル)。仏オークスと同じ距離で行われるトライアル。
good の馬場、8頭立てで行われ、前走ペネロープ賞(GⅢ)2着のバルチック・バロネス Baltic Baroness が17対10の1番人気。マルセイユとトゥールーズで3連勝中のサンタ・ポンサ Santa Ponsa が2番人気(5対2)で続きます。

逃げたのは、2戦無敗で3番人気(19対5)のピアナ Piana 。2番手でマークしたバルチック・バロネスが直線で抜け、最後方から追い込むサンタ・ポンサを短首差抑えて期待に応えました。1馬身4分の1差3着にエリューセラ Eleuthera が入り、逃げたピアナは6着で初黒星。
アンドレ・ファーブル厩舎、マクシム・グィヨン騎乗のバルチック・バロネス、2歳時はシャンティーで新馬勝ちした1戦のみ。今期はサン=クルーの条件戦4着のあと、前走ペネロープ賞は1番人気で逃げての2着。これで2勝目を挙げ、仏オークスへの準備は整ったようです。

次はアイルランドに飛びましょう。ナース競馬場のブルー・ウインド・ステークス Blue Wind S (GⅢ、3歳上牝、1マイル2ハロン)。この時期の2000メートル戦ながら3歳馬にも出走権があり、出走馬4頭の中にも3月にパーク・エクスプレス・ステークス(GⅢ)に勝ったレーンズ・ネスト Rehn’s Nest が含まれていました。馬場は yielding to soft 。
8対13の圧倒的1番人気に支持されたプリンセス・ハイウェイ Princess Highway は、去年のこのレースを3歳で制した馬で、そのあとロイヤル・アスコットでリブルスデール・ステークスにも勝ち、愛オークス3着を含めてGⅠ戦に3戦連続で挑戦してきた強豪。シーズン初戦ながらここは格が違うという評価です。

レースは人気の点でも無視されている(33対1)ユーフラシア Euphrasia が逃げ、プリンセス・ハイウェイは指定席の2番手マーク。しかし肝心の勝負所に入ってもスマーレン騎手のゴーサインに全く反応せず、前の馬を捉えるどころか後ろの馬にも交わされて3着と期待外れの結果。結局は最低人気のユーフラシアが逃げ切り、2番人気(5対2)のラ・コリーナ La Collina が2馬身差で2着。更に半馬身差でプリンセス・ハイウェイが続き、レーンズ・ネストはここでは荷が重かったのか、最下位に終わりました。
ジョー・マーフィー厩舎、ゲーリー・キャロル騎乗のユーフラシアは、3歳の最終戦で初勝利を挙げ、今期は既にこれが4戦目。前走はマイナーなライムリック競馬場のリステッド戦での3着で、これが2勝目となります。競馬はやってみなければ判らない、の典型でしょうか。

最後にイギリス、昨日から始まったヨーク競馬場のダンテ開催、その初日の2鞍です。
先ずはオークスの重要なトライアルとなるミュージドラ・ステークス Musidora S (GⅢ、3歳牝、1マイル2ハロン88ヤード)。馬場は good to soft 、所により good 。6頭立て。以前からオークス候補として噂されていたサー・マイケル・スタウト厩舎のリバー・ノーティクス Liber Nauticus が4対6の1番人気に支持されていました。1勝馬(1戦)としては以上に高い支持率でしょう。

逃げたのは、これが7戦目となる出走馬中最もレース経験の豊かなディセーナブル Discernable 。先ず抜け出したのは、これも1戦1勝で2番人気(4対1)のウッドランド・アリア Woodland Aria でしたが、後方2番で待機したリバー・ノーティクスが並び掛けるとウッドランド・アリアは一杯。本命馬に4番人気(11対1)のロマンティック・セッティングス Romantic Settings が迫りましたが1馬身半差まで。更に1馬身半でウッドランド・アリアが3着。
スタウト厩舎の主戦ライアン・ムーア騎乗で2戦無敗としたリバー・ノーティクス、前述のように2歳時のグッドウッドでの新馬勝ちが注目され、冬場のオークスへのオッズは5対1が出されていました。今回の勝利は評価が割れ、オッズは7対2から5対1の間。馬格のある馬で、エプサムよりカラー向きと見做す専門家もいます。いずれにしても最終決定はスタウト師が下すことになるでしょう。

一方、2着に食い込んだロマンティック・セッティングスについてリチャード・ファヘイ師は、追加登録料を払ってまでオークスに挑戦する気持ちは無い由。静かにリバー・ノーティクスのオークスでの結果を見たいとのことでした。
またレース前はオークスに20対1のオッズが出されていたウッドランド・アリア、未だ陣営のコメントは聞いていませんが、この日の内容はオークスの距離は長すぎるだろうと思われるもの。路線変更もあり得るでしょう。

ヨークのもう一鞍は短距離のデューク・オブ・ヨーク・ステークス Duke Of York S (GⅡ、3歳上、6ハロン)。1頭が取り消しましたが、それでも17頭立て。スプリント路線は今年も混戦が続きそうです。7対2の1番人気は、昨秋のブリティッシュ・チャンピオンズ・スプリント・ステークス(GⅡ)覇者マーレク Maarek 。今期デビューとなった前走ナース競馬場のリステッド戦も勝って好調持続。ニューマーケットで今年からGⅢに上がったアバーナント・ステークスに勝ったティックルド・ピンク Tickled Pink が6対1の2番人気で続きます。

逃げたのは3番人気(13対2)のミンス Mince でしたが、勝負はスタンド側を走る2頭の一騎打ち。首の上げ下げとなり、5番人気(10対1)のソサエティー・ロック Society Rock が頭差で9番人気(16対1)のレーサル・フォース Lethal Force を抑えていました。スタンドから遠い側を通った4番人気(7対1)ゴードン・ロード・バイロン Gordon Lord Byron が1馬身4分の1差で3着。人気のマーレクはスタートでやや遅れたものの5着は実力。ティックルド・ピンクは9着、ミンスも10着に沈みました。
ジェームス・ファンショウ厩舎、キーレン・ファロン騎乗のソサエティー・ロックは、去年のこのレースは惜しい3着。本命馬が勝ったチャンピオンズ・スプリントは5着でしたが、G戦は一昨年のゴールデン・ジュビリー(GⅠ)、去年のヘイドック・スプリント・カップ(GⅠ)に続き3勝目。ゲートインを嫌う馬で、今回もスタートでゲートにぶつけるアクシデントがありながら克服しての勝利。次走は2年振りに2勝目を狙うダイアモンド・ジュビリー(旧ゴールデン・ジュビリー)で、現在のオッズは7対1となっています。

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