ゴールディコヴァの弟、素質開花か
昨日のヨーロッパはヘイドックとシャンティーが舞台、どれもGⅢレヴェルのパターン戦が行われています。
ヘイドック競馬場の最初はピナクル・ステークス Pinnacle S (GⅢ、4歳上、1マイル3ハロン200ヤード)。good to firm と回復した馬場、1頭が取り消して7頭立てで行われました。前走ドバイのGⅡ戦で2着したゴドルフィンのプルシャン Prussian が2対1の1番人気。
ドイツからペーター・シールゲン調教師が送り込んできたアンドレアス・シュタルケ騎乗のニンフェア Nymphea が逃げ、残り2ハロンで7頭が一団となる激しい展開。後方待機の5番人気(8対1)モーメント・イン・タイム Moment in Time が伸び、逃げ粘るニンフェアを頭差捉えて優勝。2馬身4分の1差で2番人気(3対1)のアンビヴァレント Ambivalent が3着に入り、プルシャンは5着敗退。
モーメント・イン・タイムはデヴィッド・シムコック厩舎、同馬とは初コンビとなるジム・クロウリー騎乗で、クロウリーは先週のオークスを惜しくも逃しましたが(シークレット・ジェスチャー Secret Gesture で2着)、ここで無念を晴らした形です。
同馬は前々走ドンカスターのハンデ戦に勝ち、前走グッドウッドのリステッドが3着。遂にGⅢを勝った(これが通算で4勝目)ことで、今後のGⅢ戦ではペナルティーが課せられます。シムコック師は、今後はその点も考慮してアメリカのG戦を狙っていくとのことでした。
続いてはジョン・オブ・ゴーント・ステークス John of Gaunt S (GⅢ、4歳上、7ハロン)。8頭が出走し、前走同じヘイドックのリステッド戦で4着しているパストラル・プレイヤー Pastoral Player が5対2の1番人気。去年秋のドンカスターで、パーク・ステークス(GⅡ)2着の実績もあります。
先手を取ったのは3番人気(6対1)のレッド・ジャズ Red Jazz でしたが、1ハロン行った所でリブランノ Librano がこれを交わして先頭に立ちます。これをマークした人気薄(10対1、6番人気)アマリーロ Amarillo が抜けた所に、後方待機から内を衝いて進出したものの前が塞がり、外に出して追い込んだ本命パストラル・プレイヤーが迫りましたが短頭差届かず。2馬身差でレッド・ジャズが3着に入り、リブランノ4着。
アマリーロは、先のピナクル・ステークスを惜敗したペーター・シールゲン厩舎、アンドレアス・シュタルケ騎乗のドイツ馬。前走はドイツで1マイルのGⅢ戦(バーデナー・マイル)で4着でしたが、去年のドイツ2000ギニーで2着した4歳馬。1マイルは同馬にはやや長く、ここまでG戦では一息足りていませんでした。
シールゲン師によれば、7ハロンが最も適しているタイプで、ドイツには走るレースが無いとのこと。そこで英国挑戦に踏み切りましたが、この好走で今後も遠征を続けたい意向のようです。
さてフランスに行きましょう。ダービーとオークスの谷間にシャンティー競馬場で行われるのはポール・ド・ムーサック賞 Prix Paul de Moussac (GⅢ、3歳牡せん、1600メートル)。good の馬場に7頭が出走、仏2000ギニーと同じ条件だけにクラシック残念組が優位。本番では不利もあって7着に終わったアノディン Anodin が23対10の1番人気に支持されていました。
仏ギニーでは多頭数の不利によるもあったアノディン、ここではスタートから先手を取って危な気ない逃げ切り勝ちです。1馬身差2着にはゴール直前で前を捉えたサン・マリノ・グレイ San Marino Grey が入り、頭差で仏2000ギニーではアノディンに次いで8着に入ったジェンジス Gengis の順。
先週の仏ダービーでは、仏ギニー3着のインテロ Intello が快勝し、同6着のモランディ Morandi が2着に入ってギニー上位組が好走。ここでも7・8着馬が1・3着したことで、予想以上に今年のクラシック世代のレヴェルが高いのかも知れません。7・8着とは言え、仏ギニー覇者スタイル・ヴァンドーム Style Vendome とは2馬身以内の着差だったのですから。
フレディー・ヘッド厩舎、オリヴィエ・ペリエ騎乗のアノディンは、名門ウェルザイマー家の持ち馬。名牝ゴールディコヴァ Goldikova の全弟という良血で、まだまだ成長する可能性のあるタイプ。姉ゴールディコヴァは、この時点ではG戦に勝っていなかったのですから、弟の更なる飛躍が期待されましょう。次走ジャン・プラ賞でGⅠ奪取を目指します。
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