カナダからやってきた男勝り

昨日の金曜日、キーンランドの秋開催が開幕しました。オープニング・デイはG戦2鞍、いずれも勝馬にはBCへの優先出走権が与えられるトライアルです。

先ずフェニックス・ステークス Phoenix S (GⅢ、3歳上、6ハロン)。BCスプリントの前哨戦で、ポリトラック・コース、fast の馬場に3頭が取り消し、12頭立てで行われました。元々出走枠は14頭に限られますから、最初からオーバーフローしていたもの。アイオア・スプリントの勝馬で、アルフレッド・G・ヴァンダービルト・ハンデ(GⅠ)3着の実績あるジェントルメンズ・ベット Gentlemen’s Bet が2対1の1番人気。
外11番枠から出た6番人気(12対1)の一角サム・オブ・ザ・パーツ Sum of the Parts がダッシュ良く飛び出し、内ラチ沿いを通って鮮やかな逃げ切り勝ち。1馬身4分の1差2着には、外から追い込んだラフ・トラック Laugh Track がゴール寸前で頭差抜け、ゴー・ブルー・オア・ゴー・ホーム Go Blue or Go Home が3着。前半6~7番手で待機したジェントルメンズ・ベットは徐々に追い上げ、離れた3番手で直線に入りましたが、前を捉えられないまま2着馬にも交わされての4着に終わりました。
トーマス・エイモス厩舎、レアンドロ・ゴンサルヴェス騎乗のサム・オブ・ザ・パーツは、去年のこのレース(鞍上はジュリアン・ルパルー)を今回同様逃げ切り勝ちを演じた馬で、2連覇達成。1853年創設のこのレース、長い歴史の中で2回勝った馬は、サム・オブ・ザ・パーツが6頭目となります。今シーズンは前年の疲れを引きずったまま使われたことによる不振で連敗続き。前走は6月にプレスク・アイルで行われた一般ステークスの5着で、4ヶ月近い休養明けでの今期初勝利でした。

続いて2歳牝馬のGⅠ戦、アルシバイアディース・ステークス Alcibiades S (GⅠ、2歳牝、8.5ハロン)。ポリトラック・コースに1頭が取り消し、12頭立て。6対5の1番人気に支持されたのは、アメリカでは未だ見ぬ噂の1頭、カナダから挑戦してきたマイ・コンケスタドリー My Conquestadory です。
逃げたのはリル・ハネー・バッジャー Lil Honey Badger 、人気のマイ・コンケスタドリーは何と最後方の位置。前走も強烈な末脚で快勝している本命馬、今回も馬群を縫うように進出すると、直線では堂々ど真ん中を突き抜け、2着2番人気(9対2)ロザリンド Rosalind に1馬身4分の3差を付けて見事期待に応えました。半馬身差でバトルフィールド・エンジェル Battlefield Angel が3着。
マーク・カッセ厩舎、エウリコ・ローザ・ダ・シルヴァ騎乗のマイ・コンケスタドリーは、いきなりカナダのグレード戦たるサマー・ステークス(芝GⅡ)で初戦、牡馬をなで斬りにしてデビュー勝ちした馬で、カナダには敵無しと見ての遠征。そのヴェールをアメリカのファンの前で脱いで見せたことになります。カッセ師はこのレース、スプリング・イン・ジ・エア Spring in the Air に続き2連覇。ダ・シルヴァ騎手はゴールインしたあと何度もガッツ・ポーズ、“強いのはこいつだ”と言わんばかりに愛馬に向かって指指す仕草。その喜びを全身で表していました。

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