サンタ・アニタの秋競馬が閉幕

ブリーダーズ・カップの翌日もアメリカではG戦が計3鞍行われました。

先ず、前日は泥んこ馬場に見舞われたアケダクト競馬場では、2歳馬のG戦2鞍。先に行われた牡馬によるナシュア・ステークス Nashua S (GⅡ、2歳、8ハロン)は、風の強い muddy の馬場に6頭立て。丁度1か月前、ベルモント競馬場のフューチュリティー・ステークス(GⅡ)を制して2戦2勝のブロフェルド Blofeld が4対5の断然1番人気。
レースは2番人気(5対2)でシャンペン・ステークス(GⅠ)4着のエル・カビア El Kabeir が後続をやや離しての逃げ。スタートは4番手から逃げ馬の動きを見て2番手に上がったブロフェルド、直線半ばで逃げ馬を捉えると、そのままエル・カビアに5馬身の大差を付けて楽勝。更に5馬身半の差が付いた3着には、最低人気(22対1)でシャンペン・ステークスは3着だったザ・トラス・オア・エルス The Truth or Else が入りました。
トッド・プレッチャー厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のブロフェルドは、これで3戦3勝。BCで好走した馬たちとの対決が楽しみです。

続いては、牝馬によるテンプテッド・ステークス Tempted S (GⅢ、2歳牝、8ハロン)。こちらは7頭立て、フューチュリティーと同じ日に行われたメイトロン・ステークス(GⅡ)の勝馬ポールアズシルヴァーライニング Paulassilverlining が出走して来たにも拘わらず、1対2の圧倒的1番人気に支持されたのは、新馬勝ちしただけのエンチャントレス Enchantress 。キーンランドで2着以下に6馬身4分の3差という内容の良さと、プレッチャー/ヴェラスケス・コンビによるところが大だったのでしょう。
レースは3番人気(9対2)のジャカランダ Jacaranda が逃げ、これをエンチャントレスが追走。しかし本命馬は第3コーナー手前で早くも一杯、ズルズルと後退し始めます。替って前半5番手に付けていた2番人気(4対1)のポールアズシルヴァーライニングが2番手に押し上げ、逃げ馬を捉えに掛かりましたが前との差は詰まらず、結局はジャカランダの逃げ切り勝ち。3馬身半差でポールアズシルヴァーライニングが2着に入り、1馬身半差で最低人気(35対1)のセーヴ・ロックンロール Save Rock and Roll が3着。エンチャントレスは5着大敗に終わりました。
マイケル・ハッション厩舎、ホセ・オルティス騎乗のジャカランダは、本命馬と同様1戦1勝のキャリアで、こちらはベルモントの泥んこ馬場で5馬身差の圧勝でここに挑戦してきました。フロリダ・ダービーに勝ったコンスティテューション Constitution の半妹という血統も筋が通っています。

そして前日BCに沸いたサンタ・アニタ競馬場、25日間に亘って行われた秋開催のグランド・フィナーレを飾ったのが、ゴールディコヴァ・ステークス Goldikova S (芝GⅡ、3歳上牝、8ハロン)。firm の馬場に1頭が取り消して8頭立て。ジャドモント・ファームの所有馬で、前走キーンランドのファースト・レディー・ステークス(芝GⅠ)で3着したフィリンビ Filimbi が8対5の1番人気。
最低人気(50対1)のレガシー Legacy が逃げ、フィリンビは最後方で待機。第4コーナー、後続馬が殺到し、フィリンビは大外を回って追い上げ態勢。最後は6頭が横一杯に広がる接戦となりましたが、最内を通った3番人気(4対1)のアイム・オールレディー・セクシー I’m Already Sexy (フロラン・ジェルー)が外へ、外から2番目でフィリンビの内にいた5番人気(11対1)のエモーショナル・キッテン Emotional Kitten (フランキー・デットーリ)が内に切れ込んだため、間に居た3頭は行き場を失うアクシデント。特にジョセフ・タラモが騎乗していたラゴーリ Rhagori は立ち上がって一瞬馬を抑えるほどの不利。ゴールではフリンビが先頭、エモーショナル・キッテン2着、4番人気(9対2)ストラスネイヴァー Strathnaver が3着、アイム・オールレディー・セクシーが4番手で入線します。
しかしこれは直ぐに審議、パトロール・フィルムが検討され、最終的には2着で入線したエモーショナル・キッテンは4着に降着、アイム・オールレディー・セクシーも5着降着となりました。勝ったフィリンビは進路妨害には関係なく、3番手入線のストラスネイヴァーが2着に、5番手入線の6番人気(13対1)ウォール・オブ・サウンド Wall of Sound が3着繰上りと、何とも後味の悪いフィナーレとなってしまいました。BC最終戦のクラシックと言い、このレースと言い、審議基準が改めて問われる結果となっています。
ウイリアム・モット厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のフィリンビは、4歳の今年からアメリカに転厩した芦毛馬で、3歳時はヘッド=マーレク女史が管理し、シャンティーでリステッド戦に勝っていました。今年は前走ファースト・レディーの前にサラトガの限定ステークス(ド・ラ・ローズ・ステークス)に勝っていましたが、G戦は仏米を通じて初。母はケンタッキー・オークス馬フリュート Flute で、天皇賞馬同様に漸く良血開花ということでしょうか。

 

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