アスコット競馬場に新たなG戦

アスコット競馬場と言えば6月第3週、王室が主催するロイヤル・アスコットが最も有名ですが、それに次いでは秋のチャンピオン・シリーズ、そしてキングジョージの舞台となる7月末の開催が世界の注目を集めてきました。
アスコットは障害競馬も盛んで、二つのシーズンが重なる時期にはミックスト・ミーティング(混合開催)もあるほどですが、昨日は所謂ファースト・エイブリング・ミーティングが行われています。ミーティングと言っても一日だけの開催。

これまでこの開催で行われるG戦は一鞍だけでしたが、今年から新たな仲間が追加されます。それは次に触れることにして、最初はロイヤル開催の目玉であるゴールド・カップのトライアルとしての意味を持つサガロ・ステークス Sagaro S (GⅢ、4歳上、2マイル)。
天気予報では雨が予想されていましたが、実際には降らず、馬場は good to firm 、所により firm 。重馬場を期待していた馬が何と5頭もゴッソリと取り消したため8頭立てと、頭数は激減してしまいました。良馬場で取り消すという習慣は日本には存在しないので、来年から一部の馬券が買えるようになるという海外競馬に付いては認識を転換しないといけないでしょうね。

取り消した馬の中には去年の勝馬タック・ド・ボアストロン Tac De Boistron もいたりと、レヴェル的には落ちた感がありますが、11対4の1番人気に支持されたパラセイター Pallasator は昨シーズン最後のロング・ディスタンス・カップ(GⅡ)で3着した6歳馬。
3番人気(4対1)のフォレヴァー・ナウ Forever Now が逃げましたが、スタートで他馬と接触したこともあって後方を進んでいた2番人気(やはり4対1)のミッズー Mizzou が外に出し、残り1ハロンで一気に前を捉えると、煽りで前が塞がる不利のあった最低人気(16対1)ヴァン・ド・フォース Vent de Force に2馬身差を付ける完勝です。審議にはなっていません。1馬身4分の1差で逃げたフォレヴァー・ナウが3着に粘り、人気のパラセイターは最下位8着惨敗に終わりました。出走していた5頭の4歳馬が上位を独占する結果。

ルカ・クマニ厩舎、ウイリアム・ビュイック騎乗のミッズーは、これが未だ6戦目。3歳デビューの2戦目で初勝利を挙げ、その後3連勝。シーズン最後のアスコットでリステッド戦(14ハロン)は3着でしたが、陣営では同馬の素質にゴールド・カップ制覇の可能性を見出していたようです。
勝ち時計の3分24秒12はこれまでの記録を100分の1秒だけですが上回り、トラック・レコード更新でのG戦初勝利。このあとサンダウンのヘンリー2世ステークスを使い、目標のゴールド・カップに向かいます。オッズはブックメーカーにより8対1から12対1まで、長距離界に新しいスターが誕生しました。

そしてこの日行われたもう一鞍のG戦が、サガロとは対照的な短距離戦のパヴィリオン・ステークス Pavilion S (GⅢ、3歳、6ハロン)。1999年にリステッド戦として創設されましたが2001年は施行されず、16回目の今年からGⅢに昇格する一戦です。
実はヨーロッパ短距離界は今年大きく見直されることになり、今年のロイヤル・アスコットでは4日目にコモンウェルス・ステークス Commomwealth S という3歳馬限定のGⅠレースが創設されます。これに伴ってこのパヴィリオンがGⅢに格上げされ、トライアルとしての役目を果たすことになるのですね。
これまで3歳上のGⅠだったダイアモンド・ジュビリーには3歳馬は出走できなくなりますが、スプリンターにとってはより目標が立て易いローテーションになるでしょう。アスコットについては以下のニュースを読んでください。

http://www.britishhorseracing.com/press_releases/british-racing-welcomes-addition-two-group-1-races-boost-sprint-programme/

ということで俄かに注目を集めたパヴィリオン、1頭が取り消して12頭が出走してきました。6対4の1番人気に推されたリマート Limato は当日記初登場ですが、2歳時は4戦無敗だった快速馬。
逃げたのは3番人気(6対1)のストラス・バム Strath Bum 、ゆったりしたスタートから先行馬群に付けたリマート、残り1ハロンで抜け出すと、後方から追い込む2番人気(9対2)のテンドゥー Tendu に1馬身半差を付ける楽勝でした。他の馬が目一杯追っている中、馬なりで抜け出したリマートはスピードも瞬発力も1頭だけ違う印象です。更に1馬身半差で5番人気(12対1)のアダーイ Adaay が3着。

ヘンリー・キャンディー厩舎、ジェームス・ドイル騎乗のリマートは、ケンプトンでデビュー勝ちし、同じケンプトンで一般戦に連勝。更にニューバリーとレッドカー(2歳トロフィー)のリステッド戦にも連勝してシーズンを終了、これで無傷の5連勝となるせん馬です。
6月19日に行われるコモンウェルス・カップには5対2~3対1のオッズが出され、文句ない1番人気。創設レースを圧勝するに相応しい短距離界のスターに成長するでしょうか。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください